時価の変動により、利益を得る目的で所有する有価証券。期末は時価で評価し、評価差額は営業外損益とする。時価評価後は、切放法(時価を翌期以降の帳簿価額としてそのまま使う方法)または洗替法(翌期首に反対仕訳をして取得原価に戻す方法)のどちらを採用しても良い。
取得原価で評価するが、満期の償還額(額面)と取得価額が異なる場合に、その差額が金利の調整と認められるときは、償却原価法によって評価する。償却原価法の適用は、原則として利息法によるが、定額法による評価も一定の場合に認められる。評価差額は「有価証券利息」勘定(営業外損益)で処理する。
(例)額面70,000円のA社債(満期日×12年3月31日)を×9年4月1日に66,013円で取得した。約定利率は年1%、利払い日は9月末、3月末の年2回である。①取得時、②第1回の利払い日(×9/9/30…1)および③第2回の利払い日(×10/3/31…2)における償却原価法(利息法。実質利子率:年3%)の仕訳を行いなさい。
① (借) 満期保有目的債券 66,013 (貸) 現金預金 66,013
② (借) 現金 350
満期保有目的債券 640 (貸) 有価証券利息 350
有価証券利息 640
③ (借) 現金 350 (貸) 有価証券利息 350
満期保有目的債券 650 有価証券利息 650
※第1回目の利息受取:額面70,000円×0.01(約定利率)×6/12ヵ月=350円
運用利息合計:66,013円×0.015(半年)≒990円…約定利息+償却原価
償却原価(原価加算分):990円-350円(約定利息)=640円
※第2回目の利息受取:額面70,000円×0.01(約定利率)×6/12ヵ月=350円
運用利息合計:(66,013+640)円×0.015≒1,000円…約定利息+償却原価
償却原価(原価加算分):1,000円-350円(約定利息)=650円
議決権の過半数を所有するなど相手を支配している株式(子会社株式)や、重要な影響を与える投資先の株式(関連会社株式)は、期末に取得原価で評価する。事業戦略上、基本的に売却する予定はなく、時価で評価する必要性がない。
売買目的・満期保有目的・支配目的等以外の目的で保有する有価証券。
期末は時価で評価する。帳簿価額と時価の差額は、有価証券の評価損益(損益計算書に計上する損益項目)とはせず、直接に貸借対照表の純資産の部に計上する(純資産直入法)。
評価差額を損益としないのは、売買目的有価証券のように『時価の変動によって利益を得ようとしていない』ので、時価との評価差額を業績(損益計算)に反映させる必要がないからである。
(例)A社株式(原価5,000千円)の期末時価は5,400千円であった。実効税率を40%として税効果会計の適用をともなう期末評価の仕訳を行う。
以 上
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