経済的付加価値(EVA)

経済的付加価値(EVA)の意味

経済的付加価値(EVA)とは、経営財務指標のひとつで、米国・スターン・スチュワート社が考案し、同社の商標登録となっているものです。
EVAはEconomic Value Added の略称です。

一般に、企業の経済価値を判断するには貸借対照表や損益計算書などの決算書に基づく会計データが重視されています。

しかし、決算書から得られる会計データは利益情報として利用価値があるものの、株主の立場からすると、株価と利益の相関関係が必ずしも明らかでない点が指摘されています。

また、資金調達にはコストがかかるものであるという思想のもと、借入などの負債には「支払利息」という分かりやすいコストがある一方で、資本金や留保利益に対する「株主が求めている投資リターン(配当や予想値上がりによる見返りの率)」などが損益計算書には反映されません。

こういった自己資本に対する資本コスト(株主が要求するリターン率などの情報)を企業の経営成果(利益)が上回っているかどうかを確認する意味でも、経済的付加価値は株主の視点における企業評価の指標として脚光を浴びています。

この意味で、株主重視の考え方を取り入れた経営指標と言えます。  
 

経済的付加価値(EVA)の計算

計算式は次の通りです。
企業があげた利益から、資本コストを引くことで算出されます。

EVA=(税引き後営業利益)-(資本コスト) または、
 
    = (投下資本利益率-資本コスト率)×投下資本

計算例

A社の次の財務状況をもとに、EVAを求めなさい。

貸借対照表

資 産5,000万円負 債2,000万円 …利子率5%
純資産3,000万円 …資本コスト率10%

※法人税率は40%である。
※総資本(負債+純資産)に対する税引前の営業利益率は30%である。

【計算過程】
1.資本コスト率:負債5%×(1-0.4)×構成比40%= 1.2%
         自己資本10%×構成比60%    = 6.0%
                  計      7.2%

2.NOPAT:5,000×0.3(営業利益率)×(1-0.4)= 900万円

3.EVA=NOPAT 900 万円-資本コスト5,000× 7.2 %
     =900万円-360万円
     =540万円

※NOPAT(ノーパット。Net Operating Profit After Tax)
…「税引き後営業利益」=営業利益×(1-実効税率)

【解答】A社のEVAは( 540 )万円である。

以 上

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