外貨換算会計の入門

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外貨換算会計の意味と外貨建取引

外貨換算とは、外貨建取引や財務諸表項目の外貨表示額を自国通貨(円)表示に変更することである。外貨建て取引は、基本的に外国通貨で表記されている取引であって、外国通貨で支払が行われるのが通常想定されるものであろう。

為替相場の種類

①直物為替相場 SR(Spot Rate)

取引時(または発生時)の為替相場… HR(Historical Rate)

決算時の為替相場…CR(Current Rate)

期中平均為替相場…AR(Average Rate)

②先物為替相場…FR(Forward Rate)

外貨表示の原価と時価の呼び方

①外国通貨による原価…HC(Historical Cost)

②外国通貨による時価(または実質価額)…CC(Current Cost)

取引発生時の会計処理

外貨建取引は、原則として、その取引が発生した時の為替相場(HR)による円換算額をもって記録する。

(例)5月6日に、700米ドルを輸出販売(船積予定日5月9日)する契約を結び、手付金100米ドル(HR@100円)を受け取った。船積基準で売上計上する。

5月9日になり、予定通り商品を船積みした(HR@101円)。

5/6(借)現金10,000 (貸) 前受金 10,000

※100米ドル×@100円=10,000円

5/9 (借)前受金 10,000 (貸) 売上 70,600
売掛金 60,600

※前受金10,000+売掛金60,600(600×@101)=70,600円

代金決済時の会計処理

外貨建金銭債権債務の決済(外貨建の円転換を含む)にともなう「現金の収入・支払い」の円建て金額は、原則として、決済時点における為替相場(HR)で記録する。

その時生じた損益(為替決済差損益)は、「為替差損益」として処理する。
為替差益(収益)と為替差損(費用)は原則として両建てせず、相殺した後の純額を損益計算書の営業外収益または営業外費用の区分に表示する。

(例)5月9日に発生した売掛金600米ドル(HR@101円)を6月30日に現金預金で受取った。支払日の為替相場は@99円である。

6/30 (借)現金預金 59,400 (貸) 売掛金 60,600
為替差損1,200

※現金預金59,400(600×@99)+売掛金60,600(600×@101)=-1,200円

決算時の会計処理(外貨建て資産負債の換算替え)

・貨幣項目 …決算時の為替相場(CR)

・非貨幣項目…取得時または発生時の為替相場(HR)

※貨幣項目:外国通貨、外貨預金、外貨建金銭債権債務、デリバティブ

(例)決算日において、外貨建て売掛金200ユーロ(HR@136)、外貨建て借入金500ユーロ)HR@134)、外貨建て前払金50ユーロ(HR@135)があった。

決算日の為替相場が@140ユーロだとして、必要な決算整理仕訳を行う。

決算整理(借)売掛金 800 (貸) 為替差益 800
(借)為替差損3,000 (貸) 借入金3,000

※貨幣項目:売掛金@(140-136)×200ユーロ=800円(為替差益)

借入金@(134-140)×500ユーロ=-3,000円(為替差損)
※非貨幣項目:前払金(貨幣で回収されず、仕入勘定に振り替わる。)

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