第5週④ 納品書から売上の記録をする

【キッズ簿記(BOKI)Step2】

今回は「喫茶ABCへの売上はどう書くの?」というテーマです。

毎日50個のケーキを買ってくれる喫茶ABCはありがたいお客様です。
キッズベーカリーの安定経営を支えてくれるこの売上も、帳簿に書き残さなければいけませんが、その書き方について学んでいきましょう。

進行:きょうも、もかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
毎日、喫茶ABCにケーキ50個を届けることになっているケイイチくんですが、配達したときにマスターに渡してくる紙があります。
それは、納品書ですね。
納品書は、○○屋さんに材料を届けられるたびにケイイチくんももらっているので、わかると思いますが、ここで練習問題です。
喫茶ABCに売り上げた金額と、竹とんぼの頭、そして頭の横のプラス・マイナスを書いてみてください。

柴山:こんどは、ケイイチくんが売る側に回った場合です。

進行:では、答えを見せてください。
まず、もかさんですが、左に現金、右に売上の竹とんぼで、どちらも竹とんぼの左がプラスで右をマイナスにしています。
そして、現金のプラス側に10,500シバ、売上のマイナス側に10,500シバを書いています。
りょうたくんも左に現金の竹とんぼ、右に売上の竹とんぼを書いていますが、現金は左がマイナスで右がプラス、売上は左がプラスで右がマイナスになっています。
そして現金の右側に10,500シバ、売上の左側に10,500シバと書いています。
理由を聞いてみたいところですが、どうでしょうか?

柴山:ある程度はできていると思うので、もう一歩という感じがします。
思い出してほしいですが、現金はどちらがプラスでしたか?

りょうたくん(以下、りょうたくん):左ですか?

柴山:そうですよね。
右にプラスがきているから、書き直してもらっていいですか。
そうすれば2人とも現金はわかっていますよね。
あとは、売上ですけれど、もかさんはどうして売上を右側に書いたのですか?

もかさん(以下、もかさん):竹とんぼの頭に何を書けばいいのか頭に浮かばなかったのですが、売り上げたから、とりあえず売上と書いてみました。

進行:右側に書こうと思ったのは、商品が出て行っちゃったからですよね、きっと。

柴山:答えはこちらになります。
まずは現金が10,500シバ増えたらどうなるかですが、これはりょうたくんももかさんも今までずっとやってきたことなので、しっかりと覚えていますね。
問題は売上ですが、商品を渡して売り上げたということで、「売上」を頭に書くことが今回の新しいお約束になります。
ケーキが渡されて出て行ったというイメージで、右側に書きます。
これが、商品を渡したということは、簡単言うと売上ということになります。
はじめて出るときに右側なので、右をプラスにしたと考えていただければ良いです。
必ず、1つのTの字の右側に書いたら、もう1つのTの字には左側になるイメージです。
どっちかを左に書いたら、もうひとつは必ず右に書くというイメージはありますよね。
なので、両方が左とか両方が右ということはないということを実感できればいいと思います。
だから、りょうたくんはもう一歩でしたね。
売上まではわかったけれど、10,500が右か左かだけの違いでしたから、その程度ならすぐわかるようになります。
ここまで、2人とも十分進歩しています。

進行:複式の竹とんぼの書き方にもずいぶん慣れてきたと思いますが、この2つの竹とんぼがどんな関係なのか、書いている時に想像したりしていますか?

りょうたくん:ない(笑)

柴山:無意識のうちに、気がついたら書いたということですか(笑)

もかさん:商品を売ってしまって、こちらには商品が無くなったから、売上のマイナス側に金額を書いて、その代わりに現金が入ったから、現金のプラス側に金額を書きました。

進行:先生、どうでしょうか。

柴山:商品が出て行ったというもかさんの考え方は良いと思います。
原因と結果というとわかりやすいかもしれせんが、たとえば、テストの点数が良かったとしたら、それは、きちんと勉強をして、勉強をしたところが出たからですよね。
努力があって結果があったということですよね。
このように、原因と結果という関係でこの2つの竹とんぼを見てみると、新たなことがわかってきます。
現金が増えたということは、一種の結果ですよね。
それでは、なぜその結果が得られたのでしょうか?

もかさん:ケーキを売ったからです。

柴山:そうです。
ケーキを売ったから、相手がお金をくれました。
ということは、ケーキを売るというのは、現金が増える原因となる行為と考えられます。
この場合の売上の原因は、商品を渡したという行為です。
これを右側に書いて、そこから受け渡されるようにして、結果として現金が左側から入ってきたというイメージで考えておけばいいと思います。
原因の結果という関係で考えるとどうですか?

りょうたくん:何とも言えないですけれど……

柴山:そんなものかな、という感じですかね。
もかさんはどうですか?

もかさん:商品を売ったときに、売上の竹とんぼのプラス側に金額が入るのはなぜでしょうか?

進行:いつもだったらプラスが左側なのに、竹とんぼのプラスとマイナスが逆になっているのはなぜかということですよね。

柴山:プラス・マイナスのことはいったん忘れて、深く考えずに、受け渡したと思ってくれれば良いです。
なぜ、これがプラスになるのかというと、1つの考え方としては、売上は初めて出るときは右ですよね。
初めて出るときに右のものは右がプラスと思っていいです。
ところで、りょうたくんに質問ですが、この世で1番大事なものって何ですか?

りょうたくん:お金です。

柴山:そのとおりです(笑)
会計というのは、お金を中心に考えるのです。
まずお金ありきで、お金は左って決まったのだから、それ以外はみんなお金に従う形で、プラスとマイナスの位置が決まるのです。
お金が出たとき(入ったとき?)は左ですが、そのときに同時に登場してくる売上は、たまたま右であることが普通なので、結果的に右がプラスになると思っていただいても良いです。
少し難しいけれど、ここは、「そんなもんかなぁ」という程度で大丈夫ですよ。

先程、売上はお金が増える原因という話をしましたが、商品やサービスを提供することによって得られる儲けのことを、少し難しい言葉で「収益」といいます。
収益は費用の反対です。
費用はお金が減る原因でしたが、逆に、お金が増える原因を収益と言います。
収益という原因があるから現金が増えるんだなという、だいたいのイメージができれば大丈夫です。
ここは、最初は大人でも苦労するところだから、気にしなくても大丈夫です。

進行:売上の竹とんぼの場合は、現金が増える原因だから、右側がプラスで左側がマイナスになるということはわかったと思います。
ここで復習ですが、右側がプラスになる竹とんぼは以前にも時々出てきたと思いますが、その仲間について、先生にもう1度説明をお願いしたいと思います。

柴山:右側がプラスになる竹とんぼが売上の他にもあったかな、ということを思い出してほしいです。
何となく覚えているかもしれませんが、たとえば、「借入金」というのがありませんでしたか?
借入金の場合は、左に普通預金や現金があって、右側で借入金というのをやりましたよね。
支払義務があるので将来減るということをお話したと思います。
それから、「資本金」というのもありましたね。
現金が左側に入るときの相手は右側がプラスになりますよね。

進行:現金が入るときは、その相手は右側だと覚えておけば良いということですね。
プラスが右側になるのはだいたいこの3つですか?

柴山:そうです。
借入金、資本金、売上というものが右側にプラスが来て、そのときは決まって現金が左側になります。

進行:出て行ってしまうイメージの竹とんぼですよね。

柴山:そうですね。
借入金は将来お金を返さないといけないのでお金が出ていくし、資本金はケイイチくんの持分で、売上は商品が出ていくというイメージです。
この3つ以外はだいたい左側がプラスだと思ってください。
わからなかったら、暗記してしまってもいいです。
わからなくても、いずれ理解はついてきます。

進行:先生、レッスン24のまとめをお願いします。

柴山:商品やサービスを提供することを売上げと言います。
次に、配達で商品を売り上げたときの帳簿の書き方ですが、納品書などの資料をもとにして、合計額を「売上」という竹とんぼの右側に書きます。
そして、「収益」とは現金が増える原因のことです。

進行:今日は大変でしたが、もかさん、りょうたくん、どうでしたか?

もかさん:右側にプラスが来る竹とんぼは難しかったですけれど、パターンが少ないから覚えられると思います。

りょうたくん:今日は何もございません。

柴山:逆に、深く考えないほうが良いかもしれないですね。

進行:柴山先生、明日の予定を教えてください。

柴山:明日は、第5週のまとめです。
今週、仕入と売上、そして、商品を売る相手が2種類あるなどの知識を学んできました。
こういったところについて、大事なところだけを取り上げてお話したいと思います。

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