まず、定額法による減価償却の復習をします。そしてその復習した内容を踏まえて、期の途中で取得した場合の減価償却についてお話します。
1年の途中で資産を買うほうが実際問題多いです。わざわざ年度末や1年の初めに買うというのはありますが、たまたまです。
会計がやりやすいから、経理のことを考えてわざわざ、年度末、1年の初めにあわせて買うということはないです。
営業活動の状況によって、例えば7月1日に買ったり、10月12日に買ったり、買う場所なんて現場の都合なので、そんないちいち区切りのいい時期に買うことはなかなかない。売ることもそうです。
ということは、1年の途中で売ったり買ったりした場合に減価償却をどのようにするかということを今回学んでいきましょう。
買う場合の月割り計算ができるのは、売る場合も同じことなので基本の考え方は同じです。
月割り計算するということを分かっていただければいいので今回は時間を効果的に使うために、買う場合のケースで月割り償却を見ていけばオーケーだと思います。
まずは復習です。定額法による減価償却の復習です。例えば、120万円の車両運搬具、有形固定資産の取得原価がありました。
例えば、年間の見積り使用期間を耐用年数と言いますが、6年。例えば、120万円の車両を買ってきて6年間使おうとしました。
取得原価120万円で、耐用年数6年です。そして耐用年数が到来したとき、寿命がつきたときの見積り処分価格のことを残存価額と言います。よく会計実務で行われるのは0円という想定がよく行われます。
昔は10%というのがあったのですが、今は0円というケースなので問題文の指示に従ってください。
耐用年数到来時の見積り処分価額のことを残存価額と言って、今回は0円としましょう。
そして6年なら6年後、耐用年数到来時の残存価額に向けて、一直線に一定額ずつ価値が減るという考え方を定額法と言います。
ストレートラインメソッドと考えることができます。直線的に下がっていきます。
直線法です。計算は6年で毎年毎年均等に下がっていくとするならば、120万円÷6年で、毎年一定額ずつ減少ということで、年間20万円ずつ下がっていって、1年後は100万。2年後は80万、3年後は60万、4年後は40万、5年後は20万、最後は0円、というように直線的に下がっていく。
ストレートラインで下がっていくと考えていただければいいでしょう。これが定額法による減価償却です。
そして、少し違う計算例ですが、記帳の仕方についても復習しましょう。
例えば、取引例として、×1年度、備品30万円を購入して現金を払いました。
借方備品30万、貸方右側現金 30万。柴山式総勘定元帳も借方左側、資産のエリアで備品が30、貸方右側、現金30と入れ替えます。
そして1年後、12月31日、決算日になりました。1年間の使用による備品の価値減少分を見積って、減価償却費として記帳しました。
定額法、耐用年数5年、残存価額0円としますとどうなるか。30万円÷5年で6万円。
年間なので、借方減価償却費6、下の費用のエリアで、減価償却費の左側、借方6、決算で仕訳します。勘定を記入します。
そして貸方減価償却累計額は、資産のエリアの備品のマイナス評価勘定と言いました。こういった形で記帳することを思い出してみてください。これが1年分です。
12分の12か月です。言い方によっては5年は60か月なので60か月分の12か月という言い方もできます。月割りでやることもできます。
では次です。今回のテーマはこれです。期の途中で取得したときの減価償却。
この応用系が1年の途中で売却したケースなのですが、同じように考えればいいです。
期の途中で買った場合です。取得した月から決算月までの月数に応じて金額を減らしましょう。
1年の途中で買うと、その買った月から決算までが12か月に満たないです。6/12とか7/12とか。
例えば、3月決算の会社が10月1日に買ったら、10、11、12、1、2、3となります。
あるいは10月の10日に買っても同じです。期の途中、月の途中で買ったら切り上げます。
減価償却費を多めに計算したほうが、実は節税になるのです。費用が多く計上されて利益が圧縮されます。
下がりますので、税金計算上、利益は下がりますので節税しやすいのです。納税制有利なんて言い方もありますが、基本的には、期の途中にやった場合は、実際の問題は問題文の指示に従いますが、通常は切り上げます。
期の途中でも0.5とかにしないです。例えば、12月10日だったら10/30とか10/31とか日割り計算しません。属する月は1か月増やします。例えば、6.5ではく7にするのです。月の途中での取得等は、月数を切り上ることが多いです。実務的にも、問題文の指示にもそれが多いと思います。取得した月から決算月までの月数に応じて金額を減らします。
期中取得の減価償却費は、年間償却費に対して月数/12です。月数÷12です。
事例でいきましょう。×1年3月16日に取得した備品30万円につき、当期の決算に減価償却しましょう。12月決算としましょう。1月1日から12月31日までが12か月。
でも3月の途中からなので、16日であっても3月1日から買ったとみなします。少し遡ります。月数を増やします。売却もそうです。
3月16日に売ったら0.5ではなく、末に売ったと考えて1か月まるまる増やしますので切り上げてください。売る方も買う方も切り上げるのが基本です。
それは問題文の指示に従ってください。3月16日に買っても3月1日に買ったと考えて、10/12か月とします。
では見ていきましょう。実際の計算です。
例えば、3月16日に取得した備品30万円につき、当期の決算、×1年12月31日に減価償却しましょう。耐用年数5年。残存価額0円。定額法です。
ということは1年分の減価償却費を出して、それに対して10/12という掛け算をしてもいいです。
例えば、30万円÷5年。残存価額は0です。30万-残存価額0。つまり30万円が要償却。必要な償却で、要償却額と言います。30万÷5年で6万円です。6万円×(10/12)か月というふうにもう一度計算して5万円というやり方もありますし、受験簿記上、最初から月数でいってもいいです。
30万円×5年って、12か月×5年で60か月だから、30万円×10/60か月。先に掛け算をしたほうがいいです。割り切れないこともあるので、そのほうが対処できます。実践的にはまず分子を掛けます。
割ってしまうと割り切れないことがあるので、0.99999なんて気持ち悪い数字になることがあるので、テクニックとして先に掛けるのです。
そうすると、30万×10/60か月とやると5万円と計算します。1回割ったあとに掛けると、割ったときに0.166とかすごい小数点になってしまって、最後に掛けると99999みたいに気持ち悪い数字になることがあるので、テクニックですが、危ないと思ったら先に分子で掛け算をします。
そういうやり方があるということを参考までに知っておいてください。
大事なのは、3月16日にやっても3月1日から買ったとみなして、切り上げて10/12か月の分だけ、月割り償却をするということを知っておいていただければいいでしょう。
その様子を問題文で見ていきましょう。3月16日、備品30万円を購入し、現金を支払いました。1年後、12月31日、期末です。
決算日になりました。当期取得した備品につき、価値減少分を見積って、減価償却費として記帳しました。10か月だけど、期首から数えて1年後と考えてください。定額法、耐用年数5年、残存価額0円です。
まずは30万円÷5年で6万円としました。2段階でいきましょう。6万円×10/12か月で5万円としました。借方減価償却費5万円、貸方減価償却累計額5万と、先ほどの1年分は6でした。
同じ事例だけど、期首に買えば6万円。でも3月に買えば10か月分ということで5万円と、少し差があります。このように月割り計算の考え方を知っていただけると、簿記の初心者の学習としてはオーケーです。よろしいでしょうか。
では、まとめです。まず1番目、定額法による減価償却の復習です。例えば、30万円で買いました。耐用年数5年で残存価額0円ならば、30万円÷5年で6万円。
これで1年分です。借方減価償却費6、貸方減価償却累計額6となります。
期の途中で買った場合は、月の途中であっても最初から買ったと考えて切り上げます。厳密に言うと、9.5/12かもしれませんが、その分は全て切り上げて、9.5ではなく10か月にしましょうということで、10/12なので、30万円÷5年で6万円。
6万円×10/12で5万円。全ての期間を60か月という大きな月数で見てもいいです。
月数で表現して、5年を60か月として30万円×10/60か月で5万円でもオーケーです。
このように考えていただければいいでしょう。ぜひこの月割り計算をスムーズにできるようになっていただくと、本番の受験簿記の試験でも時間を節約できて合格が近づきますので何回か練習をしてみてください。
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