簿記ャブラリー第2章、3級・2級商業簿記のテーマとして、今回は「小口現金」について解説します。
まずは、この用語の定義を確認しましょう。
小口現金とは、会社内で少額の現金を部署ごとに管理するための資産勘定です。
このテーマは3級の範囲に含まれ、重要度としては星2つ程度に位置づけられています。
日常的に使用する少額の資金には、事務用品代や宅配便代、交通費、コピー代などがあり、これらは一度に数千円程度の支払いが一般的です。
高額になることはほとんどなく、数万円を超えることは稀です。
大量の現金を会社内で保管することはセキュリティ面でのリスクを伴いますし、万が一盗難や災害で現金が紛失した場合の損害も大きくなります。
そのため、会社では現金の上限を設定し、例えば5万円や10万円といった金額で管理することが一般的です。
こうしたリスクを最小限に抑えるために使用されるのが「小口現金」という勘定科目です。
実務においては、小口現金勘定を使用する機会は少ないですが、簿記の試験ではよく出題されるテーマですので、覚えておくことをお勧めします。
また、小口現金は英語で「ペティキャッシュ」とも呼ばれることがあります。
次に、具体的な取引例を見てみましょう。
例えば、用度係から交通費4,000円の支払報告を受けた場合、会社はこの金額を小切手で補充します。
簿記の試験では、このような取引がよく出題されます。
この場合の仕訳は2通り考えられます。
1つ目は、「旅費交通費:4,000円/小口現金:4,000円」といった仕訳です。
2つ目は、「小口現金:4,000円/当座預金:4,000円」といった仕訳です。
どちらの仕訳が適切かは問題の指示に従って判断する必要があります。
例えば、まず「旅費交通費」を借方に計上し、「小口現金」を貸方で減少させた後、すぐに小口現金を増加させる仕訳を行うことができます。
また、最初から「旅費交通費」を借方に、貸方に「小口現金」を計上する形も考えられます。
最後に、小口現金の目的についてまとめます。会社内で多額の現金を保管すると、盗難や紛失のリスクが高まります。
そのため、現金には上限を設け、最小限の額を管理することが重要です。
このようなリスクを管理するための勘定科目が「小口現金」であり、この仕組みを理解することは簿記や実務で非常に重要です。
試験や実務で活用できるよう、しっかり覚えておきましょう。
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