今回は「手形割引」と「手形裏書」について説明します。
まず、「裏書」についてです。
裏書とは、手形の裏面に自分の名前と住所を記入し、その手形を他者に譲渡することを指します。
これにより、手形を支払い手段として使用することができます。この手形の譲渡方法は、いわゆる「使い回し」が可能なため、「回し手形」とも呼ばれます。
次に、「割引」について説明します。
割引とは、手形を銀行に持ち込んで現金化することです。
ただし、ビジネスの観点から見ると、手形割引はあまり推奨されません。なぜなら、手形割引を利用することは実質的に借入れと同じであり、「隠れ借金」として捉えられることがあるからです。
私自身、会計士としては手形割引による資金調達はお勧めしません。
割引手形が頻繁に使われている企業は、資金繰りがうまくいっていない可能性が高いためです。
また、手形を利用した資金調達にはリスクが伴います。
手形は便利な面もありますが、特に昭和時代のビジネス文化に根付いており、昭和から平成初期にかけては、資金調達の手段として重要な役割を果たしていました。
当時は株式市場や他の資金調達手段が十分に発展しておらず、銀行業務も現在のように便利ではありませんでした。
例えば、ネットバンキングがなく、銀行の営業時間も限られていたため、手形が重要な資金調達手段として利用されていたのです。
現在では、資金調達手段は多様化しています。
クラウドファンディングをはじめ、さまざまな方法が活用できるようになりました。
手形は紙の取引であり、取り扱いにはリスクが伴います。
そのため、手形に関するトラブルも多く発生しています。
現代では、電子取引が普及したことにより、手形を使用した取引は少なくなり、代わりに他の方法で資金調達が行われています。
ただし、手形の仕組みやその歴史は、会計の知識として理解しておくことが重要です。
関連する用語には、「受取手形」「約束手形」「為替手形」などがあります。
手形を受け取ると、通常、支払期日(満期日)は数ヶ月後に設定されるため、その間は現金化することができません。
このため、手形による入金は必ずしも望ましいものではありません。
そこで、手形の所持者は、手形の裏面にサインをして「裏書」を行い、経費の支払いに使用したり、満期日前に銀行で割引を受け、利息を差し引かれた金額を現金で受け取ることができます。
裏書と割引は、いずれも手形を他者に譲渡する手段であり、会計処理では「受取手形勘定の減額」として記帳されます。
以上の内容は、参考として知っておくと良いでしょう。
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