配賦(2級工業簿記)

今回は「配賦」について解説します。
簿記においてこの概念は非常に重要ですので、しっかりと理解を深めていただきたいと思います。

簿記2級の試験では、配賦の理解が問われることが多く、その重要度は非常に高いです。
では、まず「配賦」の定義から見ていきましょう。

配賦とは、製造間接費をあらかじめ定められた基準に従って、各製品や各部門に分配する手続きを指します。
この際に関連する用語として、「実際配賦」、「予定配賦」、「製造間接費」、「部門費」などがあります。

ここでは「実際配賦」の計算手順を詳しく説明します。
実際配賦では、当月に発生した製造間接費の実際の合計額を、事前に決めた基準に基づいて割り、1単位あたりの間接費(配賦率)を算出します。
この配賦率を使って、各製品に製造間接費を配分していきます。

具体例を挙げて、計算方法を見てみましょう。
例えば、今月の実際製造間接費が945,000円で、その内訳が変動費340,000円、固定費600,000円だったとします。
実際の操業時間が450時間であった場合、次のように計算します。

まず、総額945,000円の実際製造間接費を、操業時間450時間で割り算します。
945,000円 ÷ 450時間 = 2,100円(1時間あたりの配賦率)

この配賦率2,100円を用いて、製品ごとの製造間接費を計算します。

次に、製品ごとの操業時間に基づいて配分していきます。
例えば、製品No.10が210時間、製品No.20が240時間だったとします。
この場合、それぞれの製品に配賦される製造間接費は次の通りです。

製品No.10:2,100円 × 210時間 = 441,000円
製品No.20:2,100円 × 240時間 = 504,000円
これらを合計すると、441,000円 + 504,000円 = 945,000円となり、実際の製造間接費の総額と一致します。

次に、この配賦に基づく仕訳を見ていきましょう。

実際製造間接費945,000円を現金で支払った場合の仕訳
借方:製造間接費 945,000円
貸方:現金 945,000円

その後、製品ごとに配賦した製造間接費を仕掛品に振り分ける仕訳
借方:仕掛品 945,000円
貸方:製造間接費 945,000円

このように、製造間接費を適切に配分することによって、各製品にかかるコストを正確に把握することができます。
配賦率を使ってコストを分配することで、製品ごとのコスト計算がしやすくなり、正確な財務管理が可能となります。

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