「配賦差異」について、今回は2級の工業簿記で非常に重要な概念を解説します。
製造間接費を予定配賦または標準原価計算を用いて計算する際、標準配賦を行うと、実際に発生した金額との差異が生じます。
この差異は「配賦差異」と呼ばれ、工業簿記において非常に重要なテーマです。
試験対策としても、配賦差異の理解は欠かせません。
まず、配賦差異の定義について説明します。配賦差異とは、製造間接費の予定配賦額(別名、正常配賦額)と実際に発生した製造間接費との差額のことです。
この差異を把握することは、原価管理やコスト管理を行ううえで非常に重要なポイントとなります。
配賦差異に関連する用語には、「実際配賦」や「予定配賦率」、また「製造間接費」や「部門費」などがあります。
さらに、配賦差異には「予算差異」と「操業度差異」の2種類があり、これらを区別して理解することが求められます。
次に、配賦差異の計算方法について説明します。
製造間接費の予定(正常)配賦額は、以下の計算式で求めることができます。
予定(正常)配賦額=予定(正常)配賦率×実際操業度
実際に発生した製造間接費との差額が配賦差異となります。
もし、実際に発生した金額が予定額を上回った場合、その差額は追加のコストとして認識され、借方に記入されます。
この場合、差異は「借方差異」と呼ばれます。
一方、実際発生額が予定額を下回った場合、コストが節約されたこととなり、貸方に記入されます。
この場合の差異は「貸方差異」と呼ばれ、「有利差異」とも言われます。
配賦差異が借方に計上される場合は「不利差異」と呼ばれ、貸方に計上される場合は「有利差異」と呼ばれるため、差異が有利か不利かを理解することも重要です。
次に、実際の例を用いて配賦差異を計算してみましょう。
まず、製造間接費の予定配賦率が1,900円、実際操業度が450時間だったとします。この場合、予定配賦額は次のように計算されます。
1,900円×450時間=855,000円
この予定配賦額に基づいて、仕訳を行います。予定配賦額が855,000円となるため、仕訳は次の通りです。
借方:仕掛品 855,000円
貸方:製造間接費 855,000円
次に、実際に発生した製造間接費が945,000円で、その支払いが現金で行われた場合、仕訳は次のようになります。
借方:製造間接費 945,000円
貸方:現金 945,000円
その後、配賦差異を計上します。予定配賦額と実際発生額との差額を求めると、次のようになります。
855,000円−945,000円=▲90,000円(差異)
実際発生額が予定配賦額を上回っているため、差額は追加の費用として認識され、借方差異として処理されます。仕訳は以下のようになります。
借方:製造間接費 90,000円
貸方:配賦差異 90,000円
このように、配賦差異を正しく計上することで、製造間接費の管理がより正確に行えるようになります。
配賦差異は、原価計算において重要な役割を果たしており、コストの管理や改善に役立つ情報を提供します。
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