「逆のれん」30億円

最近では、けっこうなトピックであったアオキとコナカによる、フタタ争奪戦は、王子製紙のTOBがあまりにも話題性豊かなので、あまり目立ちませんでしたね。

で、結局、年齢も近く、仲のよさそうな2代目の経営者同士が、手を組んでがんばろう!となったのがコナカによるフタタ完全子会社化の印象でした。(私の私見です。)

先行きがどうなるかは、まったくわかりません。

私個人としては、新聞報道で知りうる限りの情報では、うまくいくかどうか、これからが正念場ではないかと…

経営は、仲良しクラブではないので、これからの手腕が問われるところですね。

ちなみに、AOKIによるフタタ経営統合発表前は、フタタ株は500円を切っていました。

その後、経営統合の方針が明らかになってから、株価が急騰、9月11日現在では、693円です。
で、フタタの1株あたり純資産が975円。

PBRは、693/975=0.71倍って、こりゃあ、低すぎですぜ!旦那!!

普通は、1株あたり純資産の2倍が普通の株価ですから、あまりにも市場の評価、低すぎましたね?

経営者の手腕、疑われても仕方ないです、厳しいようですが。

まあ、ヤフー!ファイナンスで2期前の業績を見ると、赤字ですし、今期も業績はほぼトントンに等しい苦戦ですから、市場の慎重な評価もわかります。

と、このように、バランスシート上(ここでは1株あたり)の純資産が高くて、株式の買収価格が低いと、「逆のれん」の状態になってしまいます。

       連結バランスシート(コナカ)
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            |のれん 30億円 ←フタタの逆のれん?

新聞報道によると、フタタの割安株取得による逆のれんは、30億円だそうですから、上記のような姿になるでしょう。

これは、償却すると、逆に営業外収益という収益として、損益計算書に表示されるのですから、面白いですね。

まあ、子会社を、純資産よりも安く買い叩いたので、その分儲かった、というイメージなんですが…

その背景は、実はそんなに単純じゃないこともあります。

そういったことを理解するには、やはり連結の知識、企業結合の知識も、背景知識として知っておきたいですね。

逆のれんというのは、やや中級レベルの論点ですが、M&Aが活発化してきた昨今では、用語の意味だけでも
知っておきたいところです。

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