「経常赤字」の意味を吟味する

新会社法において、損益計算書の様式が、少しだけ簡潔になりました。

前の損益計算書を知らない!という方は、スルーしていただければOKです。

簡単に言うと、「当期純利益」という項目が、損益計算書の末尾になったんです。

それはそれとしまして、ここで、カンタンに損益計算書のフォームを確認しておきます。

話をカンタンにするために、税効果を無視しますね。

          損益計算書  (単位:万円)
     ――――――――――――――――――――――――
     売  上  高      100
     売 上 原 価       70(-)
                  ―――
       売上総利益       30  ←(商品の粗利)
     販売費および一般管理費   21(-) 
                  ―――
        営業利益        9  ←(本業の成果)
     営 業 外 収 益        4  ←財務活動等の成果
     営 業 外 費 用        3(-) ←財務活動等のコスト
                  ―――
        経常利益       10 ←(正常な状態の収益力)
     特 別 利 益        5
     特 別 損 失        7
                  ―――
     税引き前当期純利益      8
     法人税、住民税及び事業税   3(-)
                  ―――
     当 期 純 利 益        5
                  ===

上記のように、経常利益は、「営業利益までの段階の業績」と、「営業外の業績」に分けて考えることができます。

「営業外」というのは、本来の営業目的の活動とは違うが、毎期・経常的に生じる活動という意味です。

たとえば、預金の受取利息とか、株式の受取配当金とか、株式の売却益とか、含み益とか、為替相場の変動による利益などは、営業外収益になります。

そうそう、雑収入なんてのもありますね。

一方、借入金の支払利息とか、株式の売却損とか含み損とか、為替相場の変動による損失などは、営業外費用の仲間です。

おおむね、財務活動や為替変動などによる収入や費用・損失が、営業外として取り扱われます。

ここで、ある会社の経常利益が、たまたま赤字だったとしましょう。

経常赤字、などと言われます。
その時、気をつけるべきは次の3点です。

その1 本業で赤字になったのか。
その2 本業は黒字だけど、営業外の損益で赤字になったのか。
その3 上記1または2は、どのセグメント(製品種類・地域など)が原因なのか。

          損益計算書  (単位:万円)
     ――――――――――――――――――――――――
     売  上  高      100
     売 上 原 価       70(-)
                  ―――
       売上総利益       30  ←(商品の粗利)
     販売費および一般管理費   36(-) 
                  ―――
        営業利益       △6  ←(本業の成果)
     営 業 外 収 益        4  ←財務活動等の成果
     営 業 外 費 用        3(-) ←財務活動等のコスト
                  ―――
        経常利益       △5 ←(正常な状態の収益力)
          :

たとえば、上記のような場合は、本業で利益が出なかったため、結果として経常利益もマイナスとなってしまったケースですね。

そこで、つぎにチェックすべきは、セグメント別に、どこが足を引っ張ったのか、という観点です。

会社のセグメントというのは、その会社の経営戦略そのものですから、どの事業領域が好調で、どの事業領域が不調かが、会社の将来を見るうえでも重要となります。

特に、経常利益の赤字原因が営業利益にある場合、本業の度の部分が現状のアキレス腱かを、さらにチェックする必要は大ですね。

そこを早急にてこいれしないと、次の決算期に向けて、傷口が大きくなる可能性もあるわけですから。

このように、経常利益が悪化する局面では、つぎに、セグメント別の業績確認が、非常に重要となってきます。
注意して業績をウォッチしていきたいものですね。

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