会社の業種を2つに分けると、次のようになります。
1.製造業(メーカー)
2.商業(卸売、小売、サービス業)
ここで、製造業と商業の違いですが、ひとことでいうと、
「物を作るか作らないか」
の違いなのですね。
●物を作る=製造業
●物を作らない=商業
1.製造業
<工場内> <製品倉庫>
・―――――――・
| |
| 未完成 | 完 成
投入 生産 販売 ●
● →→→→ ● →→→→ ● →→→→ ▲
1原材料 | 仕掛品 | 製 品 得意先
(しかかりひん)
↑
↑
加工プロセス
(2労務費、3経費)
2.商業
<仕入先> <商品倉庫>
・―――・
| |
| |
仕入| | 販売 ●
● →→→→ ● →→→→ ▲
1仕入原価 商 品 得意先
上記のように、製造業では、「1原材料 2労務費 3経費」と3種類のコストが発生しています。原価の3要素とも呼ばれます。
これに対し、商業では、「1仕入原価」の1種類しかコストが発生していませんね。
このことを、損益計算書で見ていきましょう。
損益計算書
―――――――――――――――
売 上 高 ×××
売 上 原 価 ▲××× ←←☆
―――
売上総利益 ×××
: :
上記の☆印、つまり売上原価の内訳が、製造業の3種類のコスト、または商業の仕入原価になるわけなのです。
1.製造業
(1)材料費(物品の消費額。原料、素材、部品など)
(2)労務費(労働サービスの消費額。賃金、給料など)
(3)経 費(その他の資源の消費額。電力料、外注費など)
2.商業
(1)仕入原価(商品を購入した時にかかった支出額)
このように見ていくと、売上原価の内訳は、製造業の方が、はるかに複雑となります。
これが、「原価計算」という会計分野が独立して存在する理由なのですね。
さて、ここまでで、製造業のプロセスを見ていきましたが、工場内の生産能力では、受注をまかないきれない、なんていう場合もあります。
そういった場合、受注の一部や、加工の一部を、自分の工場では行わず、外部の者に委託することがあります。
こういった取引を「外注」といいますね。
自動車メーカーにおける部品の外注なんかは、典型例です。
また、大手の製造業者が、一部の加工を小規模でほぼ専任の外注先に発注することを「下請けに出す」なんていったりしますね。
下請けは、外注形態の一つです。
工業簿記の世界では、個々の製品とのつながりがはっきりしている経費の事を「直接経費」といいますが、外注費は、直接経費の代表選手です。
ちなみに、外注先の下請工場なども、もちろんメーカーですから、そちらの方でも「原価計算」は行われています。
つまり、外注費の中にも、「材料費+労務費+経費」は、当然含まれています。
さらにいうなら、外注先の利益も乗っかっていますよ。
したがって、外注費=外注先の「材料費+労務費+経費+利益」という構図が成り立ちます。
だから、予定以上の受注があったりして、生産をどんどん外注にまわすと、意外に利益が残らなかった、なんていうこともあるかもしれませんね。
これまで外注していた部品や加工工程の一部を、自社の工場内でできるようにすることを「内製化」といいますが、これも、立派な原価計算の意思決定領域です。
この機会に、しっかりと覚えておきましょう。
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