第8週① 一日の取引を振り返ろう!

【キッズ簿記(BOKI)Step3】

「ステップ2、本日開店いらっしゃいませ」の最後の週となる今週は、「閉店の後は何をするの?」というテーマで勉強していきます。

材料を仕入れて、商品を作ったり、売ったりして1日が過ぎていきますが、商売はそれだけでは終わりません。
1日の営業が終わった後に、どの商品が何個売れたのか、いくら儲かったのかなどの集計の作業も大切な仕事になります。
今週は、そのやり方を学んでいきましょう。

進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
そして、この番組を見ているあなたも、わかりづらいところがあったら、繰り返し見て勉強していきましょう。

開店からもうすぐ1か月を迎えようとしているキッズベーカリーの1日を改めて見てきたいと思います。
朝11時の開店前は、卸売りの○○屋さんが届けてくれた材料を使ってケーキを作っています。
そして、それを喫茶ABCに届けています。
さらに、11時を過ぎると、お店にやってきたお客さんにケーキを売りますが、午後8時になったらお店の営業は終了ということで、今回はここからのお話になります。

それでは、具体的にどんなことを帳簿に書いているのか、見てみましょう。
仕入、売上、費用の支払いにお金の残高と、書くことがたくさんありますが、閉店しても気を緩めることはできないということですね。
キッズベーカリー以外のお店も、閉店後はこういうことはたくさんやっているのでしょうか?

柴山:普通はお掃除や後片付けをしますが、その他にも1日の取引の内容を集計したり、帳簿に書いたりするのです。
なぜ集計をするのかというと、毎日少しずつやっておけば、後で楽になるからです。
たとえば、1週間分とか1年分をまとめてやると、取引の数が多くなって大変になります。
最初の頃の学習でやったと思いますが、1日10個の取引があったとしたら、1週間で70個という大変な数になってしまいます。
夏休みの宿題と同じで、溜めずに少しずつコツコツやりましょうね、ということです。

今までは、仕入や売上など、お店の中の取引内容を個別に1つずつの場面を取り上げて学習してきましたが、この場面では、1日の取引の全体像を一歩引いて見ていきます。
このように、ひと目で全体がわかるようなものを、鳥のように高いところから見た図という意味で、「鳥瞰図」と言うこともあります。
それでは、どのような取引があったかということを確認していきますが、もかさんもりょうたくんも一緒に考えてみましょう。

まずは図の左からです。
○○屋さんがいますが、これはどのような取引かわかりますよね。
材料の仕入でした。
では、左から2番目は誰でしょうか?

もかさん(以下、もかさん):喫茶ABCのマスターです。

柴山:これはどういう取引でしたか?

もかさん:1日にケーキをたくさん売っています。

柴山:そうですね、配達売上です。
それでは、りょうたくん、左から3番目は誰ですか?

りょうたくん(以下、りょうたくん):お店のお客さんです。

柴山:店頭売上のお客さんですね。
その他は、費用の支払いや金庫に現金がいくらあるのかの確認をします。
このように、商売は色々な取引から成り立っているということが、このことからもわかりますね。

進行:キッズベーカリーの1日でどのような取引がされているのかを確認しましたが、ここで問題です。
どんな竹とんぼを書いたでしょうか?
ということで、2人に答えていただきます。
それぞれの取引で、どのような勘定科目が書かれたやり取りが行われていたか、それぞれの竹とんぼの頭に勘定科目を書いてください。

柴山:掛け仕入、掛け売上、店頭売上とかいろいろありましたね。

進行:では、答えを見せてください。
もかさんのほうが、○○屋さんとの取引が仕入(掛仕入)と現金の2つ、喫茶ABCのマスターとの取引は配達売上(掛売上)と現金、お客さんとの取引が店頭売上と現金、文房具が消耗品費と現金、お金の確認は現金と書いてくれました。

りょうたくんのほうは、○○屋さんとの取引が掛仕入と現金、喫茶ABCのマスターとの取引が配達売上と掛売上、お客さんとの取引が店頭売上と現金、文房具が消耗品費と現金、お金の確認が現金と書いてくれました。
先生、どうでしょうか。

柴山:合っているところと、少し違うところがありますね。
それでは、答えを1つずつ見ていきましょう。
もかさんから正解を読んでもらいましょう。
○○屋さんとの取引はどうなっていますか?

もかさん:仕入と買掛金です。

柴山:それでは、りょうたくん、喫茶ABCのマスターとの取引はどうでしょう。

りょうたくん:売掛金と配達売上です。

柴山:それでは、お店のお客さんはどうですか?

もかさん:現金と店頭売上です。

柴山:これは2人とも合っていましたね。
では、りょうたくん、文房具はどうですか?

りょうたくん:消耗品費と現金です。

柴山:お金の残高確認はどうですか?

もかさん:現金です。

柴山:ということで、合っているところもありましたが、掛仕入と掛売上のところさえわかれば2人とも完璧です。
もう、これからは同じ問題が出てもできそうですよね。

進行:2人とも、仕入と現金と書いているのは、掛仕入をやる前の段階の竹とんぼの頭を書いたということで、これはこれで正解だと思いますが、どうでしょうか?

柴山:たしかにそうなのですが、掛仕入、掛売上と書いているので、それならば買掛金、売掛金のほうが正しいということです。
でも、この答えを見たらもうわかりましたよね。
大丈夫ですよ。

進行:これは、上の段と下の段で分けているのは、何か意味があるのですか?
柴山:複式竹とんぼなので、必ず2つの勘定科目が必要になります。
「二面性」といって、1つの取引には2つの視点があるということは以前お話をしたと思います。
だから2つの竹とんぼがあるのですが、どちらが上でもどちらが下でも構いません。
今回は、わかりやすいように、竹とんぼの右側に金額を書くものを下の段にして、左側に書くものを上の段にしたというだけです。
日々の取引と竹とんぼの関係は何となくイメージは湧きますか?

もかさん・りょうたくん:はい。

柴山:わかってもらえれば大丈夫です。
取引の内容によって勘定科目のペアが決まっていると覚えていただければ良いです。

進行:先生、レッスン36のまとめをお願いします。

柴山:1番目、キッズベーカリーの1日の取引には材料仕入、配達での売上、店頭での売上、消耗品費などの支払、現金の残高管理などがあります。
2番目、それぞれの取引に関係する勘定科目は、材料の仕入は「仕入」、配達の売上は「配達売上」、店頭の売上は「店頭売上」、文房具代の支払は「消耗品費」、現金の管理は「現金」です。
3番目、取引から帳簿への流れはどうなるかというと、それぞれの取引に関係する勘定科目に転記します。
たとえば、材料の掛仕入ならば、「買掛金」と「仕入」などのようになります。

進行:今日は今まで出てきたものをまとめて見るような形でしたが、どうでしたか?

もかさん:さっき問題を解いてみてわかったことは、最初の頃に勉強したことは意外と覚えているのに、最近やったものは覚えていないことが多いから、何度も繰り返していくと覚えられるのかなと思いました。

進行:繰り返し勉強することが大切なのでしょうね。
りょうたくんはどうですか?

りょうたくん:まとめて見るとわかりやすいと思いました。

進行:柴山先生、明日の学習内容を教えてください。

柴山:明日は「現金はいくら残っているかな?」というテーマです。
お店に来るお客さんへのおつりを払ったり、細かい費用の支払い、そして何よりもお店でいくら売り上げたのかを集計するためには、現金を数える必要があります。
でも、思いつきで数えるだけでは計算間違いを起こしやすく、いつまでもお金の管理がきちんとできないですし、正確な数字もわかりません。
そういったミスを防ぐための、現金管理の方法を勉強しましょう。

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