柴山政行氏(以下、柴山):お店を経営するうえで、設備などの物は大事な資産です。
でも、すべての物は使えばどんどん古くなっていきます。
そして、古くなれば、買ったときと同じ価値では売れません。
では、物の価値が落ちていく状態を、いつの段階で評価して、計算をして、帳簿に残すのかという手続きを学んでいきます。
進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
そして、この番組を見ているあなたも、わかりづらいところがあったら、繰り返し見て勉強していきましょう。
キッズベーカリーが開店して以来、お店の1日の営業が終わった後には日計表、そして、月末になったら月次試算表を作って、いろいろなことを分析しながら一生懸命頑張ってきたケイイチくんですが、開店して1年が経ちました。
ところで、先生、この表の終わりには、12月31日に「1年目の終わり(最終日)」と書いてありますが、キッズベーカリーが終わりというわけではないのですよね?
柴山:もちろん終わるわけではなく、ただの区切りにすぎません。
12月31日というのは、個人でお店を経営する人や個人で働いている人などにとっての「決算日」なのです。
「決算」とは、計算を決めるという言葉を短くしたものだと思ってください。
学校でいうと「終業式」のようなものです。
もかさんもりょうたくんも、各学期の最終日に通信簿をもらうこともありますよね。
個人で働く人たちにとっても、12月31日というのが1年に1回の「終業式」の日、つまり1年間の商売の通信簿が出る日なのです。
ちなみに、学校の「1学期」「2学期」と同じように、1月1日から12月31日までの1年間を商売では「期」といいます。
1年で「1期」ということになります。
そして、1年の始まりの日を「期首」、1年の途中を「期中」、1年の終わりを「期末」といいます。
期末テストの期末と同じですね。
進行:学校の期末テストの場合は先生が評価しますけれど、この場合の「通信簿」は誰がつけるのでしょうか?
柴山:これは、もちろん自分でつけるしかありませんね。
商売の場合は、日々の取引を通じて、どのくらい儲かったのか、それともあまり儲からなかったのかというような結果を出すことになります。
毎日の成績を表すものは「日計表」といいましたが、では、1か月の成績を表すものをなんといいましたか?
もかさん(以下、もかさん):月次試算表です。
柴山:そのとおり、月次試算表ですね。
そして、1年の最後の日に作る月次試算表が、1年間の通信簿にあたります。
進行:別の表を作るのではなく、12月の月次試算表がそのまま通信簿になるということですか?
柴山:そうです。
そのまま、それが通信簿の原形になるのです。
たとえば、この表です。
現金の残高が11月末に40,000シバあって、12月中に748,800シバが入ってきて、728,800シバを支払いました。
12月末時点での現金の残りは60,000シバとなります。
12月31日が1年間の通信簿を決める日なので、最後の通信簿では、現金は60,000シバという成績なのですね。
そこで、キッズベーカリーの12月の月次試算表を見てみましょう
進行:1年間にケーキを売った総合計は、配達売上と店頭売上を足した額で、12,212,100シバです。
そして、1年間の費用の合計が9,202,550シバです。
これがケイイチくんの1年間の成績ということになります。
りょうたくん(以下、りょうたくん):これは……良いのか、悪いのか、わかりません。
もかさん(以下、もかさん):結構、ケイイチくん儲かっているじゃないですか。
りょうたくん:柴山さんに比べたらまだまだじゃないですかね。
柴山:上手いこといいますね(笑)
進行:ケイイチくんはかなり頑張ったと言っていいでしょうか。
柴山:頑張りましたね。
ところで、始めたときの資本金はいくらになっていますか?
りょうたくん:300,000シバですね。
柴山:今、いくら預金がありますか?
もかさん:2,596,450です。
柴山:300,000から始めて、こんなに増えたのですね。
今、資本金の話が出ましたが、借入金の欄を見てください。
何か気がつくことはありますか?
もかさん:わかりました。
柴山:何でしょうか?
もかさん:全部返済しています。
柴山:そうです。
これから説明をしようと思っていましたが、先に答えを言われてしまいました。
キッズベーカリーを開店するときには300,000すらなかったので、○○銀行に融資をお願いしに行って、500,000シバを借りました。
そのときに作ったのが、このような契約書でした。
何という名前の契約書だったか、覚えていますか?
りょうたくん:金銭消費貸借契約書です。
柴山:そうですね。
この契約書のなかに第3条という条件の部分には、いつまでに返済すると書いてありましたか?
りょうたくん:12月31日です。
柴山:そうです。
では、この取引を竹とんぼで見てみましょう。
1月1日、銀行から500,000シバを借り入れて普通預金口座に預け入れました。
そして、12月31日、返済期日が来たので、普通預金から500,000シバを支払って借入金を返済しました。
この場合、どのように書きますか?
もかさん:普通預金の右側に500,000シバを書いて、借入金の左側に500,000シバと書きます。
柴山:そのとおりです。
では、その結果、借入金の残高はいくらになりますか?
りょうたくん:プラスマイナスゼロです。
柴山:そうです。
このように、借入金は無事返済できました。
ケイイチくんは最初300,000しかありませんでしたが、1年後に500,000をきちんと返済したのです。
柴山:1番目、1年の最後である「期末」をほかの呼び方では「決算日」といいます。
2番目、最終月(12月)の売上や費用の月末残高は、1年分の売上や費用の合計を意味します。
3番目、借入金を返済した場合は、借入金の竹とんぼの左側に金額を書きます。
進行:りょうたくん、どうでしたか?
りょうたくん:儲かっていて、ケイイチくんがうらやましいです。
柴山:自分自身でもこういう儲かる商売をやりたいですか?
りょうたくん:柴山会計事務所みたいな仕事をやりたいです。
柴山:ありがとうございます(笑)
進行:では、柴山先生、明日の内容を教えてください。
柴山:明日は「決算日の時点で、設備はいくら?」というテーマです。
キッズベーカリーの店主としてのケイイチくんの1年間の通信簿は出ました。
しかし、商売で使った設備にも通信簿があるのです。
物は使ったら古くなりますが、では、古くなった分をどうやって計算して評価し直せば良いのか、そういったことを勉強します。
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