その典型例が、多くの方が苦手にしている純資産の部です。
純資産の内容は結構複雑です。
株主資本、資本金、資本準備金、利益剰余金、自己株式、評価換算差額、新株予約権、少数株主持分などがあります。
少数株主持分と新株予約権は、以前は違った扱いでした。
新株予約権については、以前は新株引受権といっていて、会社法が改正される平成18年より前は流動負債に分類されていました。
これには理屈があります。
私が会計士の財務諸表論の出題担当であったら、「新株予約権には2つの考え方があるが、その経緯と理由について論じなさい」という問題を考えると思います。
話が逸れましたが、財務諸表の理論にしても計算にしても、まずは型を覚えたほうが楽なときがあります。
総合問題が苦手な人というのは、財務諸表の型がわかっていない人が多いのです。
たとえば、損益計算書であれば、上から「売上高」があって、「売上原価」があります。
売上原価の内訳は「期首商品棚卸高」、「当期商品仕入高」、「小計」、「期末商品棚卸高」、「棚卸減耗損」、「商品評価損」で、これらを差し引きして売上原価になります。
売上高から売上原価を引いて「売上総利益」になって、その下が「販売費および一般管理費」、「営業利益」、「営業外収益」、「営業外損失」……の順番で表示されます。
このようなひな形を、紙に何度も書いて覚えてしまいましょう。
そして、もう1つ大事なのが、貸借対照表です。
借方は資産の部で、「流動資産」、「有形固定資産」、「無形固定資産」、「投資その他の資産」、「繰延資産」となります。
その区分のタイトルを覚えて、それぞれの代表的な勘定科目を覚えると、簿記の勉強をする上でも楽なのです。
貸方は、上から順に「流動負債」、「固定負債」、「純資産」となります。
純資産はみなさんが一番苦手なところなので、純資産の内訳だけでもひな形を覚えると良いです。
「Ⅰ株主資本」とあって、その下には、「資本準備金」、「資本剰余金」…資本剰余金にも「資本準備金」と「その他資本剰余金」があります。
「利益剰余金」も、利益準備金や任意積立金などがあります。
「その他利益剰余金」というのもあります。
その下に「自己株式」、「評価・換算差額等」があります。
連結になると「評価・換算差額等」は「その他包括利益累計額」のように、色々と表示の決まりがあります。
手間はそれ程かからないので、全部覚えてしまいます。
ひな形を書いて、それを毎日5分間読んで考えてみます。
それを1週間ぐらい続けたら、今度は白紙に内容を書いてみます。
書けなかったところはもう一度やってみてください。
最近の会計学の理論のようなところで、純資産の部の表示についての知識を問う問題があったはずです。
そこは出来が悪かったはずなので、この機会に覚えてください。
理論だけではなく、計算問題にも役立ちますので、貸借対照表・損益計算書・包括利益計算書の表示を今のうちに覚えてください。
それらを覚えても時間に余裕があるならば、キャッシュフロー計算書の表示と株主資本等変動計算書の表示も覚えてみてください。
ここまでできたら完璧です。
財務諸表のどの部分のことを問われているのかということがわかると、計算でも理論でも、少し余裕が持てます。
財務諸表のひな形を覚えるというのは会計の全体地図を覚えるのと同じことですので、ぜひやってみてください。
私が会計士の受験生時代にこれをやってから点数が飛躍的に伸びました。
ぜひ、試してみてください。
これからも、私が今までに短期間で効果のある勉強法など、体得したノウハウをみなさんに紹介したいと思いますので、ご自身でも出来そうなものがあったら試してみてください。
私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。
PREV
机の上には、やるべき問題集だけを置いておこう!
|
NEXT
2級合格から1年以上経っている方のリハビリ法
|
形から入ってしまった方が、結果的に理解が早くなるケースがあります。