簿記の過去問を解くには、国語の読解力も大事です!

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「過去問を解くには、国語の読解力も必要です」というテーマでお話をしたいと思います。

柴山式の場合は、例題と過去問の組合せで合格していただくという効率学習法を提唱しています。

過去問の学習の本質はパターン学習ではないということは今までも繰り返し強調してきましたが、今回も改めてお伝えしたいと思います。

過去問とまったく同じ問題は出ませんが、過去問の文章のレベルは毎回同じです。
何故過去問をやるのかというと、本試験の問題文の堅い言い回しに習熟してもらいたいからです。
これはとても大事なことです。
例題は解かせる問題ですが、過去問は解かせない問題です。
ひっかけや雑音など、あなたのイージーミスを誘うような罠がたくさん仕掛けられているのです。

その罠が仕掛けられている文章をかいくぐって正解にたどり着くことが、最終的に目指しているところです。
例題は解かせる問題なのでシンプルな文章になっていますが、柴山式の場合は過去問を若干意識して問題を作っているため、少しだけノイズを入れています。

とはいえ、例題を一通り終えた後に初めて過去問に取り組むと、手も足も出ないのです。
しかし、過去問特有の問題文に慣れていないので、最初は出来なくても当たり前です。
なので、問題文に対する慣れが必要なのです。
慣れるためには、国語力を養う必要があるのですが、そのためには日頃から堅い文章を読むことが大切です。

堅い文章を読むことは、あなたの教養を高めることにも繋がります。
柔らかい文章だけを読んで堅い文章を読まなければ、思考力が後退します。
しかし、現在の本というのはわかりやすく説明することが求められています。
私が本を出版するときにも「わかりやすく書いて欲しい」と言われます。
昔の本はわかりづらいものが多いですが、あれは意味があるのです。
堅い文章を読むことで、一生懸命考えて、そこから応用力や想像力が身に付くのです。

過去問はとても堅い文章ですが、慣れてくると推理小説に似た「味」があることがわかります。
過去問は全部を詳しく説明してくれないのですが、その不親切な文章を征服したときの歓びがあります。
あえて難しい文章に挑戦して、読み切ったときに充実感を味わえるという意味では、過去問は山登りにも似ています。

だから、実は過去問を読むことが私は好きなのです。
過去問を読むと、難しい文章を読めるようになるという実感があるのです。

そこでおすすめの過去問は、工業簿記です。

135回の1級の工業簿記はそれほど文章が無いので、2級の知識でほぼ解ける問題です。
最近出ていなかった傾向なので戸惑った方も多いと思いますが、あれは基本です。
135回に限っていえば、工業簿記は、それほど文章は難しくないのですが、通常では工業簿記のほうに「読ませる」問題が多いのです。

なので、試験回によっても違うのですが、商業簿記よりも工業簿記・原価計算の問題の方がストーリー性があるので、工業簿記・原価計算の問題文を読み込むことで国語力がつきます。
これを読んで、「どういう生産体制なのか」「どういう現場の状況なのか」ということを想像する力が身に付きます。
問題を無理して解かなくてもいいので、工業簿記・原価計算の過去問で文章が多いものを意識して、毎日少しずつ読んでみてください。

登場人物や問題文の背景にある生産システムの動きをイメージして、それを簡単な図にしてみるのです。
この練習は本番で役に立ちます。
過去問の堅い文章に普段から親しみましょう。
問題を解くのではなくて、読んでください。

以前にも「過去問は読め」と言ったことがありますが、それは過去問の堅い文章に慣れ親しみながら、例題の網羅的な知識を駆使すれば合格するからです。
個別の網羅的な知識は例題でいいのですが、過去問特有の文章に慣れるには、過去問を読むしかないのです。
過去問は練られているので、良問が多いのです。

したがって、過去問はパターン学習ではなくて、国語力を鍛えるという意味では非常に良いものです。
商業簿記も堅い文章なのですが、例題の寄せ集めのような文章で、論点が多すぎる上にストーリー性がありません。
よりストーリー性があってビジネスライクなのは工業簿記・原価計算なので、文章が比較的多い試験回の工業簿記・原価計算の問題を読んで、その文章が言っている背景の生産システムをイメージする練習をしてみてください。

1級の実力がぐんと伸びます。

誰でも初めてのときは出来ないのです。
それは、文章になれていないからです。
だから、出来なくても気にしないでください。
文章に慣れればあなたにも出来るので、大丈夫です。
過去問の文章を読んで、慣れていきましょう。
国語力が過去問や本試験問題を解く、1つの大きな鍵です。
一朝一夕で国語力を養うことはできません。
国語力がないと過去問は解けませんから、今からコツコツ、2か月3か月かけて、少し堅めの文章を読みましょう。

テキストの堅い文章でも構わないですが、出来れば4月に入ったら過去問を毎日読んで欲しいです。
ただし、今現在、過去問が手元にある方は、わからなくても、解けなくてもいいので、何を言っているのかを読み取る練習だと思って、問題文を読んでみてください。

私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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