簿記学習、柴山式総勘定元帳と資本連結の超入門

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「柴山式総勘定元帳と資本連結入門」というテーマでお届けします。

柴山式総勘定元帳というのは、インプットで知識の整理をするときに役に立つ理論です。

これは私が専門学校での指導経験などから編み出した短期速習法なのです。
柴山式総勘定元帳は勘定科目の全体像を示すので、柴山式で勉強された方は、苦手な方が多い簿記2級の工業簿記で満点を狙いにいけるのです。
なぜかというと、工業簿記は勘定連絡体系が分かればマスターできるからです。
メインは勘定連絡なのです。

日商簿記検定1級になるとその傾向がさらに顕著になって、工業簿記・原価計算は基本的には勘定連絡体系がしっかり分かって、自分が今、その全体の中のどこをやっているかという、立ち位置がわかれば難しくないのです。
もっと言うならば、簿記1級の商業簿記・会計学の難しい論点でも、柴山式総勘定元帳で分解できてしまうのです。
公認会計士試験も財務諸表論もこれで受かってもらっています。
今回は連結を使ってみます。

連結こそ、柴山式総勘定元帳の威力を発揮するので、まずは入門のレベルでお話します。
柴山式総勘定元帳を使うと、とても連結がやりやすくなります。
私が受験生だったときもそうなのですが、「資本と投資の相殺消去って何だよ」と思うことがよくありました。
いわゆる、貸方が子会社株式(S社株式)で、借方に資本金とか資本剰余金が来るケースです。
私は最初にあれがピンと来なくて、とりあえず丸暗記したのです。

今回は、柴山式総勘定元帳で資本連結が分かるというお話ですが、これは成果連結でも役に立ちます。
未実現利益の控除、特に売上原価のところは苦手にしている人が多いですが、柴山式総勘定元帳の勘定連絡を使えばすぐに分かります。
これはまた別の機会にお話しますが、まずは子会社株式と子会社の純資産項目の相殺消去の意味がきちんと分かっていないと先にいけないので、今回は「柴山式総勘定元帳と資本連結の超入門」ということでお話をします。

取引例は2つあります。

1つは、親会社(P社)と子会社(S社)にそれぞれ総勘定元帳を用意しています。
柴山式総勘定元帳は、十字を切って、右上の真ん中に線を引いて、左上がⅠ、右上がⅡ、右真ん中がⅢ、右下がⅣ、左下がⅤというように、5つのエリアに分けます。
Ⅰは資産グループ、Ⅱは負債グループ、Ⅲは純資産グループ、Ⅳは収益グループ、Ⅴは費用グループのエリアです。

今回出てくるのは、現金勘定という資産と、S社株式という資産と、資本金だけです。
まずはP社の現金勘定は借方が100万、資本金が貸方100万があります。
これは簿記3級の内容ですが、出資のことです。
親会社が100万の出資を現金で受けて、借方「現金100」、貸方「資本金100」となります。
そして、そのうち30万円を子会社の投資に当てました。
子会社の株式を買った、あるいは出資したのです。

そのときの仕訳は借方「S社株式30」、貸方「現金30」となります。
この投資をすると同時に、お金はS社のほうに入ります。
P社の現金が30万出ていって、S社の現金勘定に30万入りました。
これは、P社個別の決算からすると、現金が減っているので、P社の個別の財務諸表上は現金残高は70だけれども、P社とS社を連結したグループ全体では、P社の金庫からS社の金庫に資金が移動しただけなのです。
連結上はグループ間の資金移動なので、P社グループ全体では100の現金があるけれど、P社の金庫に70があって、S社の金庫に30があるというように、置き場所を分割しただけなので、全体としては100に変わりありません。

グループ全体として考えると、S社の「資本金30」というのは意味がありません。
意味があるのはP社の資本金100だけです。
30の置き場所が変わっただけで、あとは内部取引なのです。

したがって、S社株式というのは本支店会計における支店勘定と同じで、S社の資本金は本店勘定と同じなのです。
だから、本支店会計が分かっていればこれも分かるのです。
P社における「S社株式」は支店勘定で、S社における「資本金勘定」は本店勘定なのです。
支店と本店は照合勘定なので、簿記2級では相殺します。
それと同じイメージです。

では、単純合算したらどうなるのかですが、P社の現金残高は70で、S社の現金残高は30なので、全体として現金100は変わりません。
「S社株式」という、支店勘定に相当する内部取引勘定が30あって、資本金についてもP社の100とS社の30は被っています。

したがって、S社株式30と資本金のうち30は重複していますので、決算上公表するときには資本金は130ではなく、100なのです。
S社の「資本金30」というのは親子間の内部取引なので、この30は消去します。
このダブりを解消するために、連結上の仕訳として、借方「(S社の)資本金30」、貸方「S社株式30」として、最後は「現金100」「資本金100」という、P社が単体だったときの数字に戻ります。

このように、単に元の状態に戻すだけなのです。

これが資本連結の第一歩、投資と資本の相殺消去です。
ぜひ、このイメージを持っていただければと思います。
これはPDF化してダウンロードできるようにします。
まずはこれが分かればOKです。

これは100パーセント出資のケースでしたが、70パーセント出資の場合などになれば、70対30で少数株主持分に振り返るような処理をするのは次の段階でやることです。
まずは本支店会計の延長として、子会社株式は“支店勘定”に相当して、子会社における資本金勘定は“本店勘定”に相当するということを知ってください。
だから、もしメモをするならば、「S社の資本金は本支店会計の本店勘定に近い」と書いておきます。

それから、「親会社におけるS社株式は支店勘定に似ている」と書いておけばいいのです。
だから、簿記2級の知識は大事なのです。
本支店会計が分かれば連結の基本は分かるのです。
連結上は、P社における個別決算のS社株式は支店勘定に似ていて、S社における資本金30は“本店勘定30”に相当すると考えてください。
S社の株主だけを考えるならばS社の資本金は30でいいのですが、親会社で考えた場合はS社の30は意味がありません。

柴山式総勘定元帳を使うと、連結決算について苦手意識がなくなります。
大手専門学校で教えていた頃は、授業の半分以上を柴山式総勘定元帳で説明していました。
割賦販売も返品調整引当金もこれでいけます。
退職給付引当金こそ一番やりやすいです。
柴山式総勘定元帳は、5人のクラスで4人が会計士の試験に受かっているほど合格率が高いやり方です。

この機会に、柴山式総勘定元帳を使って知識をゲットしてください。
柴山式総勘定元帳は、工業簿記・原価計算だけではなく、複雑な商業簿記・会計学の取引、連結決算も理解できます。
あとは自信を持って問題演習を繰り返せばいいのです。

頑張ってください。
私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

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