上に行けば行くほど処理のスピードが速く、同時に正確性が高いということとイコールです。
スピードと正確性は比例します。
処理のスピードが遅いということは熟練度が低いということで、正確性が落ちると思ってください。
処理のスピードと正確性は比例するという前提です。
横軸については、右に行けば行くほど理解度が高く、本質を理解していて、左に行くほど理解度が低いということです。
理解度が高くて処理のスピードが速いのが理想ですが、現実的にはなかなか上手くいきません。
これをやるためには相当時間がかかります。
たとえば長年研究するなど、期限がなければいいのですが、私たち受験を志す者には期限があります。
日商簿記検定1級ならば6月・11月というふうに試験日が決まっていて、限られた時間のなかで短期集中的に結果を出さなければ行けません。
期限がある状態で理解度の高さを求めるのは非常に難しいものがあります。
しかし、大部分の受験生は義務教育時代の習慣が身に付いてしまっているので、どうしても“完璧君シンドローム”になってしまいます。
これは仕方のないことです。
10人中9人は、知らず知らずのうちに「理解しよう、理解しよう」とするのです。
もちろん、その姿勢自体は素晴らしいことですが、「6・3・3」の12年とか、大学に入って研究をして専門分野を究めるなどして、今後5年、10年、20年…という長期的な視野で勉強するならば理解を求めてもいいです。
簿記だって日商簿記検定1級レベルになれば専門的ですし、上場企業の決算もやりますし、税効果会計も本気で理解しようと思ったら2・3年はかかるのです。
そのようなことを考えたら、半年や1年以内に合格レベルにいこうとするならば、理解というのは後追いでもいいのです。
「期限があるから理解度を高める」という考え方は、合格には不向きです。
もちろん、理解がゼロというのはまずいですが、そのバランスが今回のテーマです。
では、どの程度理解すればいいのかということで見ていきますと、理解度20パーセントというのはかなり分かっていません。
「イメージはできるけれど、そんなもんかな」という感じです。
「納得できない部分もあるけど、まあまあこんな感じかな」という、「イメージができればOK」というくらいのところで、理解に関しては程々のところで手を打っておいた方が、受験勉強という意味では効率的です。
これを毎日毎日自分に言い聞かせてください。
そうしないと、気がつくと1つの問題に2時間かけたとか、過去問1回分に半日かけたというふうになってしまうと、時間がもったいないです。
過去問は、3時間問題ならば、1回分全部でせいぜい5時間が限度です。
1時間半の試験であれば、倍はかけずに2時間半ぐらいまでにしておいたほうがいいです。
商簿・会計を1回分やったら1時間半なので、その場合は2時間半ぐらいで勉強を止めるのです。
最初の1回だけはしようがないかもしれないですが、最初の1回であっても無制限に時間をかけすぎてしまうと時間が勿体ないので、1回の過去問に関しては商簿・会計で2時間半というふうに決めたほうがいいと思っています。
工簿・原計はせいぜい5時間、できれば4時間でパッとやってしまいます。
最初の取り組みで10時間かける人がいますが、そういうやり方はしてはいけません。
どんなに長くても1回分3時間の倍である6時間までですが、それでも長いと思います。
そこまで考えても分からないものは分からないので、短期多回転をして3回転目に入ったほうがいいです。
大抵のことは3回転しなければ分からないのです。
だから、過去問は3回転が最低ノルマで、4回転、5回転するのが当たり前です。
まず、理解は半分にして先に行かないと時間が間に合いません。
これは重要なことですが、合格者の理想的な状態というのは、処理のスピードが8割から9割です。
どの例題も9割の精度でできるようにしてください。
過去問も最低8割で、9割程度はできるようになってください。
ということは、理解なんてしている暇はないのです。
「理解」というのは、本質を理解して、誰かに説明できるレベルにまで落とし込むということを皆さんは考えていますが、そこまではできません。
合格者だってそこまではできていません。
合格者は、完璧に理解しているのではなくて、「処理が早い」ということがポイントなのです。
処理が早くなれば、「型」が先にきて、後から「魂」が入ってきますから、慌てないことです。
まずは、理解は2割から3割、最大6割で結構です。
8割9割と完璧に理解しようとする必要はありません。
結果的にそうなったら、それは「ラッキー」と思ってください。
理解は2割から5割でいいですから、とにかく「手作業」をしてください。
どんどん手を動かして、処理のスピードを上げて、平均して9割程度の精度でできるようになってください。
簡単に言えば、目標時間が5分ならば4分でやるということです。
8掛けのスピードで完璧にできることがこの目標です。
私が例題などで「目標時間は5分」と言ったら4分でやってほしいのです。
決まっている制限時間でやるのが目標ではありません。
制限時間はそのレベルならばできて当然ということです。
少し厳しい部分もあるかもしれませんが、スピードなのです。
資格試験は考えるスピードが速まれば速まるほど、理解は後からついてきます。
その資格試験の知識を使って実務をこなしていくうちに、必要に応じて、必要なところは分かるようになりますから、大丈夫です。
処理のスピードを9割まで高めて、理解度は2割から6割でいいです。
このバランスを意識してください。
みなさんは処理のスピードを3割から4割もいってないのに、理解度だけを9割にしようとするからダメなのです。
縦軸を上に高めることが大事です。
「作業」だと思って、日々手を動かして、処理スピードを高める練習をしてみてください。
昨日、2名の方から簿記1級合格をしたという嬉しい報告をいただきました。
この後も合格者が出てくるかもしれませんが、今の段階で135回の合格体験記を書いていただける方が出てきたので、近々発表できると思います。
合格している方というのは、理解は半分ぐらいのつもりでやって、どんどん処理スピードを高めています。
勉強時間の8割は作業なのです。
練習問題なのです。
処理スピードを9割まで高めて、理解は4割5割でいいという感覚でやってみてください。
理解は結果なので、分野によっては理解が9割までいくこともあります。
勉強時間の大部分を処理スピードを高める練習に費やす感覚で勉強してください。
私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。
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縦軸は処理のスピードで、横軸は理解度です。