東芝の不適切会計と内部統制の限界

皆さんこんにちは。前を向いて歩こう。

今回は、「東芝の不適切会計と内部統制の限界」をテーマにお話しします。

ここ最近2日連続で日経新聞の一面を飾ったあの会社といえば、ピンとくるかもしれません。東芝ですね。

7月21日一面、東芝、組織的に利益操作。
不適切会計第三者委員会報告。1562億円、トップが関与。
つまり、経営者、過去三代の社長さんが現場に業績アップの利益操作に繋がるようなプレッシャー、圧力をかけたんじゃないかという疑いがあって、歴代三社長が辞任と。
そこから7月22日、写真入りです。
田中社長さんが出てらっしゃいますが、東芝、来月に新経営陣、不適切会計歴代三社長辞任。

ここでちょっとコメントを言わなくていいような気がするんだけど、田中社長さんです。
会見の中で、直接的な指示をした認識はないと反論したといっていますが、あまり世間的な印象は良くないかなと。

そもそも経営者というのは言い訳抜きで責任を取るのが仕事。
そのために高い報酬をもらっているのです。
自分は言い訳を言った認識はないと言っても、認識がないこと自体がもしかしたらセンスの問題ですが、認識がなくても、こういう雰囲気の事を言えば、トップがこう言えばそれは社員がびびるだろうくらいのことは、多分長年会社員やってれば分かるんじゃないかなと思ったり。

いい訳を言っちゃいけません。

印象を悪くするだけなので損です。
この辺はどっしりと構えて、責任はあるんだから、トップとしてこういった事態を引き起こしたということをきちんと素直に言った方がいい。

ちょっとしたチクッとした反論は、思っても言うタイミングがあります。
今はちょっとあまりうまくないんじゃないかなと。
私がリスクマネージメントのコンサルタントだったら、
「気持ちは分かるけど、今は言うのはうまくない」
と言うかもしれません。

歴代三社長が辞任をする。ここで実は監査っていう仕事があります。公認会計士。
私も公認会計士ですから監査をやったことがありますが、上場企業の決算が正しいかどうかチェックします。
その時の理論にこういうのがあります。
内部統制。内部コントロール。内部管理です。
内部管理がきちんと社内で機能していればそんな簡単に大きな不正とか大きなミス、間違いは起きないんです。粉飾とかなかなか起きない。

そもそも内部コントロールを誰が作るかというと、経営者が構築します。
内部統制、内部コントロールは経営者が作るものなので、それを作った、ある意味、神様みたいなものです。
仕組みをつくる神様。

その仕組みの上にいる神様みたいな存在の経営者が、内部統制を無視して暴走したら、それは内部統制機能しないでしょう。
有名な監査論の一つの内部統制の限界なんです。いろいろあるんです。

社内で複数の人が共謀して不正をすると、なかなか内部統制と言えども見つからない。
見つけにくいという限界もあるし、有名な限界の一つは、そもそも内部統制を作った経営者がそれを無視して暴走したら、
その暴走を、あるいは間違えるを止めるという事はなかなか内部統制の枠内では無理である。
神様が暴走しているんですから。

内部統制を構築した、そもそも作った張本人がその内部統制を無視したら内部統制はなかなか機能できないねということになります。
内部統制の内部コントロールの限界を如実に示すいい事例じゃないかなと思います。

ともあれこれは、非常に大きな社会的な問題で、東芝の社員の方が、特に不正会計に関与しなかったまじめにやっていた社員が同じように東芝の社員ということで、しばらく世間から冷たい目で見られる。
下手するとそのお子さんとかお孫さんがちょっと学校で、何だお前のお父さん東芝かなんて言われたらちょっとかわいそうでしょ。
そういったことを、この方たちは自覚してたのでしょうか。
「バレなきゃいいや」と。

だからこの辺は、ここまで大きな問題になったわけですから、当然辞任だけではなくて退職金を満額もらうのかどうかってとこも、ちょっと私個人的に会計士なので興味があります。
その退職金がどうなったかとか、そのあと個人的にどのような償いっていうと変ですが、どういったことに責任を、辞めることが責任を取ったじゃありません。
どのような行動をとったかで、行動まできちんとこの歴代三社長さん、どういう行動をとったかきちんと開示すべきだと私は思います。

この不正事例、非常に大きな社会的影響を及ぼします。
東芝1社だけの問題ではない。
今、外国人投資家が多いんです。
日本の会社のディスクロージャー、決算書は信用できないという印象を海外に与えたら、東芝だけで済まない話です。
だから東芝だけだと思ってはいけません。
これは日本の資本市場の信頼を裏切るような話です。

これらが原因で日経平均の株価が下がる、他の会社の株価も同じように信用できないとなって下がったら、東芝の経営者、どう責任取るんでしょう?
責任は取れないと思います。
責任の所在は分からないかもしれませんが、間接的にはそういったことまで影響があるわけです。
だから東芝に限らず、大きな会社、上場企業の社長さんっていうのは、やはり襟を正してこの機会にまた真面目に経営しましょう、というふうに考えて頂くことが大事。

上場企業の社長になるってことはそういうこと。
上場企業の経営者になるってことはそういうこと。
言い訳はしない。
きちんと社会的に大きな存在であることを自覚して、しっかり頑張っていただくと。

今回これだけの大きな問題になったのだから、この後の東芝という会社は社会でいろいろ活動すると思います。
これからも社会貢献をしていくと思うので、ここからが本当の勝負だと思います。
なので、これからの東芝の頑張りを期待したいなと。
あと監査法人の担当会計士、担当監査法人も大変だと思いますが、ぜひこれにめげずに頑張って頂きたいなと思います。

ともあれ、今回は経営トップの責任はしっかりと明らかにして退職金の問題も含めてどういうふうな責任の取り方をしたのか。
辞めるだけが責任じゃないんです。
辞めた後、 辞めるときにどういうことをしたか、行動で示して欲しいと思っています。

これだけ社会的に問題が起きたわけですから、日本の会計実務に対して情報開示、上場企業の決済に対して信用を落とす一つの間接的な要因となりえるわけですから。
こういった影響の大きさも自覚して、上場企業の経営者の方々にはしっかり経営の努力をして頂ければなと、私はささやかながら思います。

今回の時事ニュース、いろんな意味で私たちに大きな教訓を与えてくれました。
私もこれを今日の一つの教訓として、これから自分の身を引き締めて頑張っていきたいと思います。

これからも私はあなたのお役に立てるような、あるいはあなたの成長発展に役立つような情報を提供していきたいと思います。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

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