今回は「年金現価係数の意味と使い方」というテーマについてお話をしたいと思います。
現価係数を発展させた年金現価係数ということについて学習します。
これは工業簿記・原価計算のほうがよく使うような気がしますが、商業簿記でも使う可能性はありますので、大事な簿記1級特有の概念です。
では取引例です。
支払うのは1年後からです。
1年後から毎年度末に10,000円ずつ3年間定額を支払います。
一定期間ごとに定額を払うことを「定期金」という言い方をしますが、
会計の世界では「年金」といいます。
毎年10,000円ずつ3年間支払う場合の割引現在価値を求めるという内容です。
つまり、今いくら用意して5%で運用すれば毎年1万円ずつ支払うことができるかということです。
これは複利計算なので元利込みですので、1年後の10,000円は5%で1年間運用をします。
2年後の10,000円は、今もし用意するならば2年間5%で運用します。
3年後の10,000円は、今用意するならば3年間5%で運用します。
前回の知識の応用ですが、1年後の10,000円は1.05で割って9,524(現価係数0.9524)で、2年後の10,000円は1.05の2乗で割って9,070(現価係数0.9070)となります。
3年後の10,000は、3年間運用しますから、1.05の3乗で割って0.8638が現価係数となって、8,638になります。
そしてこれらを合計すると27,232となります。
このように1つずつ丁寧に現価係数を掛けて現在価値を出して、すべてを合計するやり方もあります。
これは前回学習した現価係数を積み上げるやり方です。
年金のパターンというのは、同じ金額なのでもっと簡単に、一発で計算ができます。
年金現価係数の表が問題文で出ていることがありますので、「年金現価係数」という言葉に注目して、ある利回りのもとで何年間か年金を払った場合の合計の現在価値を年金現価係数といいます。
たとえば1年後の1円は今の現在価値は0.9524で、2年後の1円は今の現在価値で割ると0.9070で、3年後の1円は今の現在価値で割り引くと0.8638です。
つまり、1円に対する係数を全て足してしまうのです。
0.9524という1年後の現在価値、0.9070という2年後の現在価値、0.8638という3年後の現在価値、この3つを足すと、2.7232という年金現価係数になります。
毎年一定の金額を支払ったり受け取ったりする場合は、現価係数を足して、それに定期金をかけ算すれば結果は同じになります。
今回は10,000円の年金×2.7232、つまり3という元利合計に対して元本は2.7232だといっているわけです。
毎年1万円で、3という元利合計に対して2.7232が元本です。
そうすると利息は3-2.7232なので、0.2768となります。
したがって、10,000×2.7232で、答えは27,232となります。
現価係数で毎年の10,000円を計算して積み上げても27,232円になりますし、現価係数を出してそれに10,000円を掛けても答えは27,232になります。
現価係数を足したものを年金現価係数といって、毎年一定額の年金を受け取ったり支払ったりするときに使えるテクニックですので、ぜひ覚えておいてください。
私はいつもあなたの簿記1級学習を心から応援しております。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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