視聴者様からのお悩み相談ということで、今回も明るく元気にご質問をお受けしたいと思います。
お悩みに明るく回答するのはアンバランスな感じもしますが、物事を前向きに考えるという形で、元気にいきたいと思います。
今回いただいたご相談は、メールのタイトルが「試験直前期および当日の心構え」でした。
この方は仮にMさんといたします。
来年、公認会計士試験を受けるという方なのですが、ポイントを申し上げると次の2点です。
1.試験直前期の過ごし方
2.十分な睡眠がとれなかった時の当日の心構え
この方は以前に別の資格試験を受けられたのですが結果が上手くいかなかったらしいのです。
その理由が、直前に十分な睡眠が取れずに寝不足になったためだということです。
こういった経験を踏まえて、公認会計士試験を受けるときにはできれば同じ失敗は繰り返したくないということで、どうしたらいいのかという主旨のご質問です。
メールの中身を読ませていただきます。
「こんにちは。いつも楽しく拝聴させていただいております。お言葉に甘えて質問いたします。私は数か月間から朝4時半に起床しております。これは公認会計士試験の受験に備えてです。公認会計士試験は順調にいけば来年受験します。質問は、試験直前期にも規則正しい生活を維持する方法……」
先を読んでいくと、「7月24日はBATICを受験したのですが、試験直前の夜は寝付けなくなり、さらに試験前々日の夜に父を病院へ連れて行くこととなり、極度の睡眠不足の状態で試験を受けることとなりました」
巡り合わせが良くなかったみたいですね。
たしかにこれは大変だったと思います。
「おかげで試験は散々でした。私は元々試験で緊張するタイプではなく、直前期に体調を崩すこともこれまではありませんでした。しかし、今回、以上のことを体験し、同じことを繰り返さないようにするため、対策に頭を痛めております。
私が調べた範囲では、試験当日に体調不良となったとしても、頭ではなく体が条件反射のように解答することができるようになるまで問題練習を繰り返す。そして当日朝に1本3,000円のドリンク剤を飲み自己暗示をかけるなどの対策などもあるようです」
ここからは最後の質問なのですが、「百戦錬磨の柴山先生にお尋ねしたいのは、試験直前期の過ごし方、および、万が一に十分な睡眠を得ることができなかった場合の当日の心の持ちようということで、ご回答よろしくお願いします」ということです。
たしかにこれは深刻といえば深刻です。
普段はおそらくリラックスしてできているのでしょうが、直前期に不安になったのでしょう。
夜、寝付けなくなったというのがポイントでしょう。
そういう意味では、今回のご質問は「直前期の過ごし方」とは言いながら、夜、寝付くためにはどうしたらいいかということなのかもしれません。
おそらく心配になってしまうのでしょう。
なぜ心配になるかというと、悪いことを考えてしまうからです。
たとえば「本試験では勉強してないところが出るのではないか」、「覚えたことを忘れてしまうのではないか」、「力が発揮できないのではないか」、「あがってしまうのではないか」などと、悪いことをたくさん考えてしまいます。
そうすると寝付けなくなってしまうのかと思います。
こういうときのヒントとして1つご参考になるのは、デール・カーネギーの「道は開ける」です。
これは悩みを取り除く本なのですが、そこから引用させてもらっています。
夜に寝付けなくなるということとは少し違うのですが、まず一番の問題は当日の睡眠不足状態で、トラウマになりかねないような大きな失敗をしてしまったようなので、まず2番の回答からしていきます。
十分な睡眠が取れなかったときの当日の心構えについてですが、実はこれが分かると直前期の過ごし方も多少は分かってきます。
なぜかというと、「当日に何か失敗するのではないか」という不安から眠れなくなると思うのです。
だから、これは仮説なのですが、試験当日のことを考えているのではないかと思うのです。
「本試験ではちゃんと答案を書けるのか」「合格できるのかな」「上手くやれるかな」「パフォーマンスを発揮できるかな」などと考えていると不安になってきます。
そういう不安が直前期の夜に眠れなく原因の1つではないのかと思いますが、そういった仮定でお話をします。
1つの考え方なのですが、デール・カーネギーさんの考え方を応用させてもらうと、「最悪の状況を定義し、備えるべし」です。
ポイントは「定義」です。
最悪の状況を定義します。
デール・カーネギーさんの本には「起こりえる最悪の事態は何かを自問自答する」と書いてあったと思うのですが、私は「自問自答」を「定義」としました。
つまり、あなたにとって当日何が起きたら一番条件が悪いのかを考えます。
Mさんの前回のBATICの受験のことを思い返すと、ほぼ完全徹夜で極度の睡眠不足の状態で本試験に行くということが最悪の状態なのだと思います。
それを定義したら、それを改善する案を考えます。
それに対してどんな案があるのかをご自身で考えてほしいです。
できれば、これは夜ではなく昼間考えてください。
寝る前には考えないでください。
昼間考え尽くしておけば夜に考えなくて済みますので、今から考えましょう。
デール・カーネギーさんが言うには、最悪の状況を明確にしたらそれをいったん受け入れます。
最悪の状況を避けようとするから不安になるのです。
「最悪の状況になったら嫌だな」と思うと眠れなくなるのです。
そうではなくて、「最悪の状況が来てもいいよ」という心構えでいるのです。
先ほどご紹介したメールの中にもありましたが、睡眠不足の状態でも解けるように練習するというのも対処法ではありますが、それでも心配だと思います。
ですから、1度正面から最悪の状況を見てみます。
デール・カーネギーさんの言っているポイントは何かというと、「最悪の状態を避けようとするな」ということです。
最悪の状況をはっきりと定義しないから、何があるか分からない不安な状態になるのです。
漠然とした不安感から夜眠れなくなるので、「最悪」を明確にします。
見たくないかもしれないけど、その現実をはっきりさせて、それが起きたらどうするかを考えます。
それをはっきり意識することによって、「これ以下の悪いことはない、自分はどん底なのだ」と思うと、そこから這い上がるしかありません。
最悪の状況が分かっていると、それより下がないので、逆に人間は安心するのです。
ですから、最悪の状況である「当日は一睡もしない状態で本番に臨んでる」と考えます。
「それを避けたいな」と思うとまた不安になってしまうので、「それは来てもいいよ」と思います。
最悪の状態を受け入れる覚悟をしましょう。
最悪の状態が起こってもいいように、最悪の状況に備えるという意味です。
ということで、最悪の状況を定義してみましょう。
今、定義してしまったかもしれませんが、ご自身で考えてください。
最悪の状況というのが「完全徹夜」だと定義したら、完全徹夜の状態をイメージします。
そして、いざとなったらその状況を受け入れると覚悟をします。
この覚悟が第2ステップです。
覚悟をした上で、それを改善するために準備するということです。
大事なのは「定義」「覚悟」「準備」です。
デール・カーネギーさんは「準備」の部分を「解決策を考える」と言っていますが、最悪の状態を考えて、そして、最悪の場合はその状態が来てもいいと思うのです。
「来てもいい」と思えば気が楽になるはずですので、避けようとしないで、「いらっしゃい」というぐらいに、受け入れる覚悟を持ちます。
ただし、来ても大丈夫なように今から備えればいいのです。
そして、プラスアルファとしてもう1つ。
寝る前は何も考えない。
寝る前は今日1日五体満足で眠れることを感謝しましょう。
日本は平和すぎます。
今日1日五体満足で健康に眠れることはありがたいことです。
世の中にはそれが当たり前ではない国はたくさんあります。
極端なことを言うと、今日1日健康でここまで生きてこられたことに感謝しましょう。
感謝をすると不安になりません。
まずは、人から命を狙われずに今日1日を無事に過ごし、寝床につけたわけです。
命の危険なくベッドの上で横になれる、日本の安全な状態に感謝しましょう。
「今日1日安全に暮らすことができて、ありがとう」というふうに、感謝して1日を終わらせましょう。
不安ではなく、感謝して終わることです。
明日のことは考えません。
デール・カーネギーさんの本にもありますが、昨日と明日は遮断して、今のことしか考えません。
寝るときには何も考えないというトレーニングをしましょう。
これが一番のポイントです。
そして、昼間に最悪の状況を定義して、昼間に備えておきましょう。
これをぜひ守ってください。
朝4時半に起きるという意志の強さがあるのだから、できるはずです。
ただ、その意志の強さは寝る前に発揮せず、寝る前はリラックスしてください。
夜寝る前はリラックスと感謝です。
昼間に最悪の状態に備えて、夜はすべてを忘れて、リラックスして、感謝をして寝る。
これがシンプルですが一番あなたにとっての備えになると思います。
ぜひ頑張ってください。
Mさん、私はあなたの会計士合格を応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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