今回の「頑張ろう日商簿記1級合格」は会社の値段を決めるということについて考えてみたいと思います。
よくM&Aという言葉を聞くことがありますが、普通の商品を買うように会社そのものを買って、その会社を自分が支配するというケースもあります。
こういうことを合併・買収などと言ったりしますが、日商簿記検定1級ではそういった時に会社をいくらで評価するかを考えます。
よく「○○株式会社を50億円で取得した」というような形で出題されます。
その時に「のれん」というものが発生するのですが、これはプレミアム部分です。
どういうふうに考えるかというと、例えば簡単な会計の基礎知識を確認しながら見ていきます。
まずB/Sというのはバランスシートで財産の一覧表です。
左側に資産があって、右側に借入金などの負債と呼ばれるものがあります。
従って左側にある財産は全て株主(オーナー)のものではなく、例えば100の資産のうち60借金を負っていたら、借金を返済して残った手取り40が純資産となります。
純資産の「純」はネット(差し引き)という意味で、純額であることを意味しています。
総資産である100から60の借金を引いて、純額としての資産が40あります。
この会社をX社とすると、X社を誰かが欲しいと思った場合、最初の目安は40なのです。
B/Sに記載されている40を払ってX社を売って欲しいと言います。
しかし、あなたがX社の株主だったらどう思うでしょうか?
40でこの会社を売るでしょうか?
売らないですよね。
なぜかというと、将来利益をもたらして儲かるからです。
実は将来の利益がいくらになるかということに従って、これは株価にも関係しますが、株式の会社、つまり会社の値段が決まります。
将来的に儲かって色々な良い思いができるから(リターンがあるから)40では売りたくないのです。
例えばX社は年10パーセントの利益がずっと10年間手に入ると予測したとします。
これは買い手側が予測します。
いくらまで払って良いかという買収価格の上限を考えます。
それを考える時に、将来儲かる金額より高くは買いたくありません。
例えばX社を買い取ったら10年間運用して、10年後にこの会社を何らかの金額で売ると考えましょう。
1年で10パーセントの利益が上がるとすると、40の会社が1年後に44(税引後)に上がります。
5年後は1.1倍を4回繰り返して44×1.1の4乗で64まで成長します。
では、10年後に売ると考えた場合はどうなるでしょうか。
利息などの資本調達コストを無視して、5年後には64に増えます。
ずっと10パーセントで10年成長した場合、40×1.1の10乗で103ぐらいになります。
103が10年後の持分の価値になります。
ということは、今この会社が40だとするならば、将来103になると今から予測しましたので、103よりも安く買えれば買う意味があります。
これは買い主側の計算であって、持ち主はこれとは別に計算をしますが、買い主としては103よりも安い値段であれば買う意味があります。
そこで、70で買うと決めて、相手が了承すれば70で買えば良いのです。
そうすると70を払って40を手に入れました。
差額の30はプレミアムなので「のれん」になります。
このように、将来の返ってくるであろう売却価値の予測が上限なのです。
ですから、このケースであれば103までならば買うかもしれません。
しかし、もっと安く買えればラッキーです。
このように、この会社を買いたい時には将来の利益を予測して、10年後なら10年後に売ると考えたら10年後にいくらになるかという価値を考えて、将来の利益を乗せた後の純資産をイメージして株価を予測します。
そうすると、必ずしも40では買いません。
将来を考えて少し高めに買うからプレミアムがつくのです。
こういうイメージを考えて頂くと非常に買収価格というのは分かりやすいという気がします。
将来の一定の時点でどのぐらい純資産がどのぐらい成長するのかを予測して、いくらまで払っても良いかを考えます。
これは1つの見方で、他にも色々な考え方がありますが、将来に得られるキャッシュを予測して買い取り価格を決めることもあります。
このように将来の利益を予測することが株価や会社の値段を決める時のポイントだということを知っておいてください。
これは株式投資だけではなくて、会社の経営者の立場で、自分の会社が今40の資本だけど、将来103に上がると予測したら、これを110や120というようにもっと高く成長させるためにはどうしたら良いのかというふうに経営改善を考えたりします。
資本を成長させることによって会社が発展して、今の純資産が将来どれぐらい成長するかに応じて買収価格もある程度目安がつくということを知っておいてください。
こういうことを知っておくと、会計の勉強が楽しくなると思います。
ぜひご参考になさってください。
私はいつもあなたの日商簿記検定1級合格、そして会計学習、会計スキルのレベルアップを心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。
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