全体としてみると色々な決まり事があって大変そうですが、1つずつの処理を細かく分けると、案外なんとかなります。
どの部分が苦手なのかも明らかになります。
何となく全体の印象で苦手意識を持たれている方も多いと思います。
メールの質問でも、少しわからない部分があると全体がわからないというように、わからないことを過大評価してしまうことがありますが、そんなことはありません。
たとえば、10の処理があって、そのうちの3番目あたりがわからないと、1から10までのすべてが難しく感じてしまうことがありますが、よく見ると、3番目さえクリアすればそれ以降の処理は簡単になるということもあります。
1つのテーマを取り上げて具体的に考えてみたいと思います。
1級特有の論点で、実務でも大事ですし、日経新聞でもよく取り上げられる、「減損損失」というテーマについて考えます。
減損損失というと、最終的には固定資産の将来の収益性が下がったので、特別に評価損のようなものを計上します。
そのときには借方は減損損失、貸方は直接控除ならば備品や機械装置や建物という形になります。
これは取得原価主義の枠内で行われる特別な処理ですが、この処理の正確性がなかなか確保できなくて、こういったものが商業簿記や会計学で出題された場合に、ミスをしてなかなか点が取れないということがあります。
最近の傾向からすると、減損が単体で出題されることは考えにくく、共用資産やのれんを絡めてくる形で少し捻ってきます。
しかし、それらの問題も、処理の流れを細分化して見ていけば何とかなります。
柴山式ならば、例題の積み上げで1級レベルに十分対応できます。
減損会計を漠然と考えるとぼやけて見えますが、まず、なぜ減損をするのかというと、現段階でその固定資産から得られる収益が将来下がると見込まれるので、下がる分だけ現在の帳簿価額を減額するという大まかな主旨さえわかっていれば、その主旨に従って処理をすればいいのです。
柴山式の1級講座ならばフローチャートが書いてあるので、その通りにやればいいのです。
初めにやることは、減損の兆候があるかどうかを見ます。
減損の兆候がある場合は、減損会計を適用するかどうかの判断をしますが、そのときに固定資産の帳簿価額を求めます。
これをまず分解します。
減損の判定の中でも、まず帳簿価格を求める部分を分解して取り出します。
帳簿価額を出したら、もう1つは割引前将来キャッシュフローを足す行為が必要です。
したがって、固定資産の現時点での帳簿価額と割引前将来キャッシュフローの数字を比較して、割引前将来キャッシュフローが帳簿価額よりも下がっているときに減損を実行します。
ここまでできました。
では、減損を実行する場合ですが、帳簿価額と回収可能価額を比較して、回収可能価額まで減額しますから、回収可能価額と帳簿価額の差額が減損損失になります。
そして、回収可能価額のところでさらに細分化できます。
回収可能価額には2つあります。
まずは、使用価値という、将来キャッシュフローの割引現在価値です。
それと、正味売却価額という、現時点でその資産を売却処分したときの時価から処分に直接係る費用を引いたものです。
回収金額と使用価値を比較して高い方を回収可能価額として、その回収可能価額と帳簿価額の差額を減損損失とします。
今お話したような流れを1つずつ丁寧に分解して追いかければいいです。
減損会計という全体のテーマをフローにして、さらに途中の1つ1つのポイントもさらに細分化します。
このように、テーマをスタートからゴールまでの流れで見ていくのです。
今のお話では個々の資産をやりましたが、共用資産の場合でも同じようにスタートから減損の兆候、減損の判定、回収可能価額の計算、回収可能価額と帳簿価額の差額を減損損失として把握して仕訳をする、という流れをフローチャートなどの図にして、どの部分で自分がつまずいているのかということを分析すれば大丈夫です。
苦手なテーマであっても、一体として見るのではなく、細分化するのです。
金融商品会計で財務構成要素アプローチというのがありました。
金融商品を全体としてみないで、パーツを部分譲渡するという発想がと同じです。
自分が理解できていないパーツを越えれば、後は楽かもしれません。
ぜひ、この考え方を使ってみてください。
難しい論点も、その構成要素をパーツごとに1つずつ検討してみれば必ず突破口があるはずです。
私はいつもあなたの1級合格を心より応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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