各ステップにあった学習の心構え

がんばろう日商簿記1級合格。今回は1級の各学習の段階おける考え方についてお話したいと思います。

簿記の学習の全体像ということからするならば、簿記検定4級が入門、3級が初級、2級が中級、1級以上は上級と考えられます。

それとは別に、2級の勉強が終わった状態からスタートして、1級の入口に入ることを入門と考えることもできます。

そこから1級の勉強が少し進むと1級の学習の初級レベル、1級の勉強を何回転かしてある程度掴めてくると1級学習の中級レベル、この中級レベルの期間が少し長いですが、中級レベルの後半になってくると1級検定試験の合格可能性が見えてきます。
1級の学習のスタート時点を入門とするなら、中級レベルの後半あたりから合格する可能性が出てきます。

1級の内容を、基本論点を中心に8割・9割マスターするのが上級レベルの入口となります。
公認会計士や税理士簿記論のレベルになってくると、まさに上級のど真ん中にいくということです。

今、書いてみましたが、日商検定1級を始めた頃、要するに2級の合格レベルが1級学習の入門レベルです。
このときは1級の専門用語の数に圧倒されます。
3級と2級にもギャップを感じたと思いますが、2級と1級との間ではさらに大きなギャップを感じますが、気にすることはありません。

2級よりも1級のほうが圧倒的にステータスが高いのですから、それなりのステータス・専門性に合わせてギャップがあるのは当然と思ってください。
必ず乗り越えられるギャップです。

入門段階では、ほとんどわからないと思って結構です。
これをわかろうとするから、ストレスが溜まるのです。
そのように勘違いされている受験生の方が多いのですが、入門段階で1級を理解することは不可能です。
もっというならば初級レベルでも理解はできません。
この段階で「理解させてください」というリクエスト自体が現状をわかっていないことになります。

わかりやすいテキストというのはたしかに存在しますが、すぐにわかるテキストというのはあり得ません。

そもそも、やっていることが難しいので、どんなにイラストを使おうが、噛み砕いて説明しようが、わからないものはわからないのです。
わからないことを「何とかわからせてくれ」と、他人依存になるようなメールが最近目に付くので、そこは気をつけてください。
それは、ご自身の学習の態度に問題があります。

私は小学6年生や中学2年生にも簿記1級を教えたことがありますが、彼らは食いついてきます。
小学生や中学生も食いついてくるのだから、大人が食いつけないわけはありません。

甘えてはいけないのです。

誰かがわからせてくれるのではないのです。

あなたが自分から食らいついて1級の知識を得ていくのです。
最初から「まったくわからないから何とかしてくれ」などと泣きついているような考え方では1級はずっとマスターできません。

大事なことは、わからないものだと思って気にしないことです。
わからないまま2回転3回転するという経験を積んでいないので、それはご自身の経験不足です。
まずは、わからないまま3回転4回転をしてみてください。

この段階でほとんどの方が挫折します。
一見やっているように見えるけれど、実は身を入れてやっていないということです。
真剣に取り組んでいれば、5回転目ぐらいになってくるとある程度の手応えを感じます。
それが中級です。
つまり、入門というのは理解しようとしてはいけないのです。
さらに言えば、入門と初級で理解しようとするのは、おこがましいです。
この時点で「わからないから何とかしてください」というのはナシです。

合格実績がある教材ならば、程度の差はあれ必ず理解できます。
人間ですから、日本人ですから、日本語ですから。
これが外国語で書いてあるならしようがないですけど、日本語で書いてあるのだから必ずわかります。

わからないのではないのです。
わかろうとしていないだけです。
もしあなたが、これをわからないと思っているのなら、それはあなたがわかろうとしていないだけです。

人のせいにしてはいけません。
わからないのは自分が悪いのです。

どの教材もそうですが、合格者がいるということは必ず到達しているのだから、必ずわかります。
合格した人とあなたに差はありません。
やったかやらないか、それだけです。
周りのせいにしないで、自分のやるべきことをやればいいのです。

そのやるべき量をできるだけ少なくしたのが柴山式です。

まず、入門は1回転か2回転して大まかにアウトラインを掴みます。
2回転してもわからないですから、どうせわからないのですから、早く回しましょう。
2割か3割はわかることもありますが、それでいいと思います。
100パーセントわからないわけではありません。

必ずわかります。なぜなら、2級レベルも入ってるからです。
一部は2級レベルの知識でも点数がとれます。
結局、まったくわからないということは、2級がわかってないということなのです。

次の初級レベルは3・4回転します。
3・4回転を中級レベルと思っている方がいますが、それは違います。
ここでもまだ繰り返して、徐々に積み上げていきます。
そのときには、目の前の簿記の勉強をする喜びを感じてください。
興味をもってください。
わからなくても楽しいと思ってください。誰かがあなたを楽しませるのではなくて、自ら楽しいと思った後に目の前のことが楽しくなります。

先に楽しんでください。

楽しいものを人から与えられるという癖がついていた方は、ここで切り替えましょう。
人があなたに与えるのではありません。

あなたが自分で楽しむのです。
これが前向きな楽しみ方です。

人によっては5回転しているかもしれませんが、5回転目ぐらいになると中級の入口です。
個人差はありますが、ここでようやく少し可能性が見えてきます。
知識がある程度積み重なって、半分から6割ぐらいは例題ができるようになってきます。

ただし、本試験を受けたら多分20点か30点です。しかし、それでいいのです。
そこから5回転・6回転して、気がついたら中級レベルの半ばに差し掛かると、例題が6割から8割できるようになってきます。
例題が8割できるようになったあたりから合格の可能性が出てきます。

以前、合格インタビューをした前村さんなども、論点によっては10回転ぐらいしています。
すべて10回やれとは言いませんが、苦手な問題は10回ぐらいやって当たり前です。
私から言わせれば、上級レベルを合格する人は10回やって普通だと思います。

5回は少ないです。
2回・3回なんて撫でただけで、全然やったうちに入りません。
4回転ぐらいまではまだ初級であるということを自覚してください。
それが1級というものです。
だから専門家なのです。だから評価が高いのです。

3回もやらないうちに「このテキストわかりづらい」なんて言うのはおこがましいです。
ここは重要なところです。
自分で努力をしないで誰かにわからせてもらおうというのは、1級をめざす者としては学習の心得がなっていません。

マインドで負けてはいけません。
個人差はありますが、だいたい5回転以上やると中級の半ばに差し掛かります。
上級になると、下書きを省略して問題文を活用するという、応用系にいきます。
中級ではどのように仕訳を書くかというところで四苦八苦すると思いますが、上級になると下書きを頭の中でイメージして、本当に必要なところだけを書いて、下書きを減らします。

中級の後半から上級になると70点を取れる状況になってきます。
ぜひ、段階に応じた勉強を考えてください。
3回転・4回転までは初級だということを知っておいて欲しいと思います。

個人差はありますが、あなたもコツコツ頑張れば必ず1級の合格レベルに到達します。
日本語を操るよりも簿記1級のほうがまだ簡単です。
日本語が話せるあなたなら1級はいけます。
頑張ってください。

各ステップに合わせて勉強をしてください。
3回・4回は勉強したうちに入らないから大した量ではないと思っていたほうが気が楽ですよね。
つらいと思ってやらないことです。
歯を磨くように、あまり深く考えずに、淡々とこなしてください。

私はいつもあなたを応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

PREV
今日のおすすめ本『エッセンシャル思考』
NEXT
第139回日商簿記3級、キッズBOKIから小中学生合格!