平成27年 連結改正ワンポイント②持分の一部売却

がんばろう日商簿記1級合格、今回は「平成27年の試験、改正連結ポイントその2」ということで、持分の一部売却についてお話してみたいと思います。

連結上、子会社の持分を一部売却して持分比率が減るケース、支配継続と持分の変動、子会社ではあるけれども、たとえば70パーセントから60パーセントに下がるけれどまだ連結をするという状況で見ていきたいと思います。

事例です。
A社がB社の株を70パーセント取得したというケースです。
これは前回の『がんばろう日商簿記検定1級』で学んだ「改正連結ポイントその1」の追加取得と基本的に同じ事例ですが、今回は売却をしたというところだけ違います。
見ていきましょう。

【1】子会社株式の原価は150,000
【2】B社の資本金は100,000、利益剰余金100,000
【3】のれんは10年で償却
【4】1年目のB社の純利益20,000
そのうちの30パーセントが非支配株主持分に振り替わるということです。
【5】年度末にB社株を7パーセント売却

70パーセントの10分の1を売却したということは、個別決算上は150,000の70パーセントが10分の1で7パーセントなので15,000の原価を売り渡して、そのときの金額が17,500なので、売却益は2,500になります。
この2,500については通常、税率40パーセントの法人税を払っていると思ってください。
これを踏まえていきます。

個別決算上A社はどのような処理をしているかというと、連結のスタート時は子会社株式借方150,000、貸方現金150,000となっています。
連結1期目の年度末に、現金借方17,500、貸方子会社株式15,000で売却益が2,500です。
これに関しては税金がかかっています。
イメージとしては、損益として売却益2,500×40パーセントで法人税等借方1,000、貸方現金1,000です。
法人税等の費用1,000については、後で、数字は一致しませんが、概ねこの金額を修正しますので、注意してください。
これは改正前の連結にはなかった話で、ポイントになります。

B社はどうなるかというと、支配権を取得したときは、株主の取引なので、B社自体は関係ありません。
ⅳで1年目の純利益20,000というのは、イメージとしては、損益振替から資本振替をして、借方損益20,000、貸方利益剰余金20,000と、利益剰余金が20,000増えていますね。
この20,000はいったん親会社に合算した後に、連結上は30パーセントの6,000を非支配株主持分に振り替えます。
これは前回の連結の改正ポイント1の事例でもやったとおりです。
では、連結仕訳消去しましょう。

まず1番目、借方資本金100,000、これはいったん合算した後です。
貸方は、子会社株式150,000をいったん全部消します。
本来200,000なので、200,000の70パーセントというのは140,000です。
140,000の持分に対して150,000払っているので借方にのれん10,000がきます。
貸方非支配株主持分60,000、これは200,000×60,000、支配獲得時のB社の資本は資本金100,000、利益剰余金100,000で合計200,000、200,000の30パーセントで6万になります。
のれんの償却、10,000を10年で割って1,000償却します。
貸方のれん1,000、借方のれん償却額1,000となります。
カッコ3、純利益が2万ありますので、これの30パーセントの6,000を、非支配株主に帰属する利益借方6,000、連結上の費用みたいなものです。
貸方非支配株主持分6,000となります。
非支配株主持分は60,000と6,000を足して66,000になります。

これはB社のバランスシートを見ると、資本金が100,000で、1年後、100,000+20,000で120,000、合計220,000の30パーセントで66,000なので、連結上、合っていますね。
カッコ1で非支配株主持分60,000、カッコ3で純利益の振り替えで非支配株主持分6,000、合わせて66,000、バランスシートの連結1年度末のB社のB/Sは資本金100,000と利益剰余金120,000となっていますね。
100,000+20,000で120,000、220,000×30パーセントで66,000、ストックでも合っています。

問題は売却の仕訳です。

これが古い基準とは違うのですが、新しい基準では、貸方、連結で、最初150,000となっていますが、よく見てください。
個別上、いったん、カッコ1、子会社株式借方150,000と書いてありますが、カッコ5の貸方で子会社株式15,000となっているので、差し引き63パーセント相当で、150,000-15,000で135,000しか残高がありません。

135,000しか残高がないのに、いったん、カッコ1の開始仕訳で150,000引いているので、15,000引きすぎていますよね。
引きすぎている貸方150,000をカッコ4で借方15,000として埋めます。
それと売却益2,500を取り消します。

借方を見てください。
合計17,500というのは、A社の個別決算の借方現金17,500に置き直したようなものなのです。
連結のカッコ4、借方子会社株式15,000、借方売却益2,500、合計17,500、これは現金預金と同じです。借方は売却額なのです。
17,500で売却していました。

貸方は非支配株主持分の7パーセントの減少額、つまり、B社のバランスシートを見ると、資本金100,000、利益剰余金120,000、合計220,000の状況でこの7パーセントを売ったということなので、この7パーセントだけ非支配株主持分が増えたと考えます。
貸方非支配株主持分15,400というのは、計算すると220,000×0.07です。
もらったお金が非支配株主持分に振り替えて15,400貸方、もらったお金は17,500借方なので、差し引き2,100。

これは何かというと、今は資本剰余金でやります。
昔は子会社株式売却益の修正でしたが、今は違います。
これは経済的単一体説といって、現在、連結決算というのは子会社の少数株主をすべて想定していて、親会社以外のその他の非支配株主も所有者と考えるので、非支配株主との取引もオーナーとの取引になるので資本と考えます。
払込資本なので資本剰余金とします。
子会社株式の売却益を取り消して払込資本にするのです。
これが今回の改正論点の1つのポイントです。

もう1つ大事なのは、資本剰余金にするのですが、個別決算上、売却益に対する法人税を資本剰余金に振り替えます。
法人税だと費用ですよね、そして利益剰余金が減っています。
利益剰余金を減らさずに資本剰余金と相殺します。
したがって、どこまでいっても資本取引なのです。
法人税だと損益ですよね、完璧には一致しません。

連結ベースに直しているので、連結ベースで法人税等を調整しているため、このへんは大ざっぱに考えてください。
いろいろ議論があり、会計士レベルだと細かい話がありますが、みなさんは1級なので、計算ができれば大丈夫です。
いったん個別で1,000の法人税をあげますが、これをそのままあげるとまずいので、連結ベースに直した状態で法人税等を資本剰余金に振り替えて、払込資本の取り消しとします。
2,100の40パーセントで貸方法人税等840、資本剰余金に対して法人税相当を調整するということです。

もしわからなければ暗記でいいです。
どちらにせよ想定としては、個別でいったん借方法人税等1,000とあげていますが、ここに置いたままではまずいので一部取り消して資本剰余金に負担させているという意味なのです。
税効果的なイメージがあるので、個別で法人税をやっていますから、これを売却益にしたくないのです。
売却益を取り消している以上、法人税も消さないとまずいのです。

そのときに個別ベースではなくて連結ベースで調整するということです。
会計理論上、ここは少し議論があるのですが、1級では会計理論の話は出ないので、仕訳だけ覚えてください。
一部売却に伴う資本剰余金にかける40パーセントの税率をかけたものが、反対に書いて法人税等の調整になるということを考えてください。

カッコ4の2つの仕訳を覚えておいて欲しいです。
まずは、借方子会社株式15,000、売却益の取り消しで借方2,500、貸方非支配株主持分15,400は売却時点の子会社B社の資本×7パーセントということです。

もちろん、連結上の資本なので、評価差額があればそれも加味します。
それで7パーセントで15,400、非支配株主持分が増えます。
差額の資本剰余金は法人税等は関係するはずなので、法人税等の個別の一部取り消しをします。
連結ベースに直して840、資本剰余金の売却の修正2,100×40パーセントで840になります。この仕訳をイメージして欲しいと思います。

柴山式の連結のテキストでも改正に沿って示してあるので、ぜひ参考になさってください。
持分の一部売却は資本剰余金、子会社株式の売却損益を取り消して資本剰余金に振り替えますが、そのときの非支配株主持分の増加額は売却時点のB社の資本に関して譲渡した変動する持分比率をかけて計算します。
お手持ちのテキスト、あるいは柴山式の1級商業簿記・会計学のテキストで確認してください。

今回の改正論点で、今後どこかで出る可能性があります。

2015年6月の140回で出るかどうかはわかりませんが、今後出る可能性がある重要論点なので、連結改正ポイントその2、一部売却ということでご提案しました。
ぜひ参考になさってください。

柴山式の1級のテキストにも書いてあるので、ぜひ参考になさってください。

私はいつもあなたの1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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