クレーム処理の第一歩は、まず、すぐ会いにいくことから始まる

最近、アイドルの世界や大学スポーツの世界などで不祥事や失敗があって、それに対して記者会見をやることが多くなっています。

問題が発生したとき、初動を間違えると相手の怒りを増幅させて大変な事態になってしまう可能性もあります。

失敗することは誰にでもあると思うのですが、その失敗の影響を大きくするかすぐに収めるかは、初動にかかっています。

私は27歳のときに監査法人に入りましたが、新人のときに上司から言われたことをすごく覚えています。

何を言われたかというと、相手が怒ったときや失敗したと思ったときは、まずは何をさしおいてもすぐに会いに行くということです。

そして、自分に非があると思ったら、まずは自分が間違っていたところを認めて謝ります。
そのとき、相手は怒っていると思うので色々と言ってくると思いますが、相手の話していることを「さようでございます」と黙って聞きます。

話の途中では相手が間違ったことを言うかもしれませんが、そこを修正せずに、まずは聞き役に徹します。

相手の話を全て受け取って、相手が落ち着いてから正しいことを話します。
そもそもそのクレームの原因が自分にあると思うのならば、話を聞いて、言い訳をせずに自分の非を認めるところから始めます。

会計士など理屈をある程度使う仕事をしていると、言い訳が上手くなってしまって、失敗したと思ってもすぐに行きたくないのです。

「きちんと事実を確認してから」「すぐに軽々しく言ってはいけないと思う」などと行かない言い訳を並べるのですが、それは違います。
行きたくないだけなのです。

だからこそすぐに行くのです。
失敗をしたと思ったらまずは会いに行きます。

すぐに会いに行くのが難しかったら、すぐに電話をします。
すぐに自分から相手に働きかけて、失敗があれば認めます。

そして、話をしっかり聞きます。
話を聞くという覚悟をして、時間をおかずにすぐに行きます。

相手に悪い事をしたならば、すぐに謝りに行く。
これが私は27歳のときに当時のボスから教わったことです。

このボスは変わった経歴の持ち主で、40歳を過ぎてから会計士に受かった方です。
それまでは三井物産という大手商社にいました。
何年も営業畑にいた方なので、一般の会計士とは違います。

私もそうですが、身だしなみやスーツはそれ程気にしないのですが、そのボスはスーツの胸ポケットにハンカチーフを入れたりしてお洒落でした。

コミュニケーション術に長けている方が上司で良かったと思っています。
その方が教えてくれたいくつかのうちの1つは、「相手を怒らせたらまずは行け」ということでした。

準備なんてしなくてもいいので、すぐに行くことが大切なのです。
行くのが怖いから行かないわけで、まず行って誠意を見せます。

私はその教えを今でも自分の会社の部下に言っています。
すぐに行くことが難しい場合には電話を入れて「私はこういうミスをしました」と、きちんと自分の謝りを認めて、相手の話を聞きます。

そのときに相手が言い間違えても、下手に正してはいけません。
そんなことをすると相手をかえって怒らせてしまうので、最後まで聞きます。

そして、落ち着いたところで理性的に話をします。
論理は後です。

まずは感情なので、そこについて相手がなぜ怒っているのか、自分に原因があるのならばすぐに行って謝って来ることが大切です。

「まずは会いに行け」最近の一連の騒動を見ていて、このことを思い出しました。
何かあった場合には、自分から働きかけて会いに行くという気持ちが大事だと思います。

これが危機管理の基本ではないのでしょうか。
よかったら参考になさってください。

私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

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