PDCAがうまくいかない時にこそ、真のリーダーシップがわかる

今回はみなさんお馴染みのPlan・Do・Check・Action、いわゆるPDCAの話です。
私はPlan・Do・Seeという言い方がシンプルで好きなのですが、今の流行りはPDCAなのでPDCAに任せますが、どちらでも構いません。

計画・実行・検証です。
Actionというのは、改善しない人が多いので、あえて入れたのかなと思います。
しかし、検証の中に改善も含まれていますので、私はPlan・Do・Seeのほうが好きですが、PDCAということでお話をします。

今時は小学校や中学校でもPDCAをやっていますが、理想と現実というものがあって、ビジネスの世界や社会の現実で上手くいかないPDCAが多いです。

結果が出ないケースというのが多いのですが、PDCAのそれぞれの局面で取り組み方が甘いと「PDCAで上手くいかないじゃないか」と思ってしまうことがあります。
多くの方が上手くいくと考えていますが、上手くいかないことのほうが多いのです。

理想としては100のことをやりたいのだけれど、実際は8対2の法則で8割は上手くいったけれど2割が上手くいかなかったので、そこだけ微調整すればなんとかなるだろうと考えるのです。

しかし、これは甘い見積りです。
そうなることもありますが、その確率が2割です。

理想通りにいくことは滅多になくて、PDCAを実際やってみたらPlanは100でも実際は20ぐらいしかできないこともあるのです。
特に慣れていないことはそうなってしまいます。

勉強でもそうで、例えば1週間で100問解こうと思ったら、最初の1日2日はやるけれども3日目からやらなくなって結局20問しかやっていないということがあります。
2割しかできなくて8割できないと嫌になってしまいます。

私のコンサルティングの現場であったことですが、ある大きな会社で営業研修をやりました。

そこで営業方針を抜本的に見直そうとして管理職が集まって1泊2日の合宿をしたことがあります。

一生懸命練ったプランがあって、リーダーとしては自信満々で会社に戻って、プレゼン資料を作って何十人かの部下の前で話をしたのです。

そうしたら、そのスピーチをしたリーダーの方が話していると、思ったほど部下がついてこないのです。

「一生懸命話しているのに、なぜ分かってくれないのだろう?」ということで、その方は落ち込んでしまって、やる気がなくなってしまったのです。

100の目標のうち、20どころか5や10もできていなくて、ほぼ0に近い状態でした。
一生懸命頑張ってプランを発表しても、周りがついてこなかったのです。

これは要するに「俺たちが働いているうちに、リーダーたちは合宿行って美味いものでも食いながらやってるんだろう」というように、斜に構えている可能性もあるわけです。

そういった相手の心情を考えずに、プランがその通りいくだろうと思って甘い見込みでプランを発表するのです。

そうすると、「それはできないよ」というような反発が先に来てしまいます。
「自分たちは一生懸命働いているのに、みんなリゾート地に行っている」のようなイメージを持ってしまうのです。

私はそもそもこの合宿のときに「上手くいかない可能性がある」ということは言いかけたのですが、みなさん一生懸命頑張っているので言わないで様子をみていました。

そして、案の定、戻ってきてからプランを実行する最初の段階でガツンと部下からやられてしまったので、しゅんとなってしまったのです。

これが経験不足のリーダーシップのケースです。
ここで人間力が問われるのです。
だいたい会社の改革なんてそんなものです。

特に、周りを巻き込まなければいけないときに、変えようと思っていきなり考えても大抵独善的になってしまいます。

良い計画であっても、それをどう実行させるかが本当のリーダーなのであって、プランを作ることがリーダーなのではありません。

もちろん、プランもヘトヘトになるくらい一生懸命作らなければいけないのですが、一生懸命作るだけで仕事が終わってしまうのです。

そのあと実行させるという次の工程でもエネルギーを持っていなければいけませんので、情熱をたくさん持っていないといけないのです。

プランはスタートなのです。
しかし、プランを作るときにも手を抜いてはいけません。

段取り8割なので一生懸命プランを作るのですが、さらなるエネルギーで実行しなければいけません。

それは情熱なのです。
そこで人間力が問われます。

Doの段階で周りがついてこないことがあるのですが、そこで嫌になってしまうと、せっかくプランを立てたのにやらないということになります。
これは二重のリスクがあります。

今回できないだけではなくて、次回また新たなプランを作ったときに「結局同じでしょ」と言って周りがついてこなくなりますので、「だったらやらないほうがいい」ということになってしまいます。

プランを作るということは諸刃の剣なのです。
下手するとリスクがあるのです。

やり切れば良いけれど、やり切れなかったときに「プラン作っただけで、できないではないか」と思うと、次のプランも皆さんに伝わらなくなってしまうので“オオカミ少年”になってしまいます。

ですから、やると決めたら腹を据えてやり切れなければいけません。
PDCAをいうのは怖くて、PDCAには光と影があります。

言ったのにやらないと本当にオオカミ少年になってしまうので、次に良いプランを作っても誰もついてこなくなります。

ですから、プランを作ったら絶対にやり切れなければまずいです。
PDCAというのは覚悟が必要なのです。
Planを決めたらDoはやり切らなければいけません。

そうすると、最初はついてこないということを知った上で「ここはダメになるけれど、次はどうするか」という、この80のマイナスでやる気をなくすというのは甘い見込みだからです。

「最初から8割できないこともあるのだ」という経験をしているリーダーならば、ここからだと思って本当に真剣に検討して、ここから本当にエネルギーを出します。

経験不足だと、8割上手くいかないときにしゅんとなってしまうことが多いです。
この点についてはリーダーシップ教育が必要で、失敗したところが本当の教育だと思ってできるかどうかです。

100のプランを立てて、そのうち8割思いどおりいくなんていうのは出来すぎです。
こんなに実行できることはほとんどありません。

ここからが本当の再プランが始まるのです。
「ここは絶対にやり通すぞ」という意気込みを見せて、背中で引っ張っていかなければいけません。

2代目・3代目社長によくありますが、この苦労を知らないと格好良いプランだけ作ってしまうのです。
どうせできないのだから、格好良いプランなんて必要ありません。

プラン100のうち20しかできないという現実に直面したときに、さらにエネルギーをみなぎらせて「俺についてこい!みんなでやろうよ」というふうにエネルギーを2倍化できるようなリーダーが本当の人間力のあるリーダーです。

これを1回経験すると「あの人が言ったプランは絶対あの人やり通すな。じゃあついていこう」というふうに良いほうに行くので、PDCAは諸刃の剣なのです。

プラスにいくこともあるし、失敗すると「なんだ、あの人ダメだ」と言われることもあるのです。

みなさん見ています。
ダメなときにさらにやる気をもって押し進めるのです。

PDCAを自信をもってやり通すというのが真のリーダーシップのスキルアップになると思います。

ですから、100のプランを作って20しかできないときはチャンスだと思いましょう。
「並のリーダーはここでやる気をなくすかもしれないけれど、俺は違う。上位5パーセントのリーダーになるぞ」と思いましょう。

ここからが本当の情熱です。
ランチェスターで言う「情熱53パー」というのはこれです。

上手くいかないときにこそ人間力が問われるのです。
チャンスが来たと思って、ここをきっかけに5パーセントのリーダーになってください。

これは簿記検定でも同じです。
2割しか問題ができなくても、そこで心を折れずに、やる気をなくさずに、なぜ出来なかったのかをしっかり検討して、ここでエネルギーを2倍にして突き進んでください。

そうすると案外ガラッとできるようになります。
8割方思いどおりにいかないときこそが本当の人間力・リーダーシップ力が問われるときです。

ピンチはチャンスです。
ぜひ頑張ってください。

私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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