結果的に、工業簿記に合格する人は工業簿記が得意になりやすく、柴山式では特にその傾向があります。
工業簿記は商業簿記に比べて範囲が狭いので、早く合格レベルに到達しやすいです。
最初は取っつきにくいのですが、勉強を始めてみると、案外早くマスターできます。
これは日商検定1級でさらに顕著になります。
ですので、柴山式で1級に合格する方は工簿は8割を得点して、商簿・会計で3割ぐらい得点して、合計7割以上というパターンが多いです。
商業簿記のほうが範囲が広く、1つずつの論点が細切れなので覚えることが多く時間がかかります。
一方、工業簿記はストーリーがあって、1個間違えると芋づる式に他も間違えてしまうケースはありますが、逆に言うと、ストーリーがわかってしまえば芋づる式に全部解答できてしまいます。
ですので、最初にいくつかの少ない壁を越えてしまえば、案外範囲は狭いです。
とはいえ、日常生活では工場へ行くことはなかなか無いので、工業簿記は馴染みが無いという意味で苦手意識をもっている人が多いのです。
まず原価には、「3要素」というものがあって、まず「材料費」と「労務費」があって、それらのいずれにも属さないものを「経費」とします。
通信費、交通費、消耗品費、交際費……これらはすべて経費になります。
さらに、これらを「直接費」と「間接費」というものにそれぞれ分けます。
そうすると、全部で6つに分けることができます。
私は社会人向けの原価計算講義では、原価計算における費用(原価)は「3要素6分類」と言っています。
3つの要素があって、それをさらに2つずつに分けるので6分類になります。
この6分類をどう組み合わせるかで、原価計算の方法は2つあります。
これがわかってしまえばそれほど難しくはありません。
大枠さえわかってしまえば、細かいところは1つずつ丁寧にやっていけばいいです。
「直接材料費」「間接材料費」「直接労務費」「間接労務費」「直接経費」「間接経費」……この6つしかありません。
そして、「個別原価計算」といって、注文を受けてから作る“オーダーメイド”のケースと、同じものを大量生産する場合の「総合原価計算」があります。
例えるならば、紳士服の量販店のように、同じスーツをたくさん作って売っているケースと、その人に合わせてオーダーメイドで作るスーツの違いです。
個別原価計算と総合原価計算は手続は違ってきますが、それぞれ被っている部分があります。
個別でも総合でも、直接材料費というものは、その製品の中心となる原材料や部品の費用のことを直接材料費といいます。
それ以外は、大ざっぱに言うと「加工費」といいます。
「直接材料費」と「加工費」の2つしか出てこないのが総合原価計算です。
大量に生産するので平均単価が大事になってくるのです。
それ以外の、間接材料費、直接・間接労務費、直接・間接経費はすべて一括りに「加工費」とします。
それに対して、製造間接費は1品ごとに原価を振り分けるので、もう少し細かくなります。
製造間接費というのは、「間接材料費」「間接労務費」「間接経費」の、間接費の要素だけを集めます。
製造間接費は大ざっぱに計算します。
各製品にいくらかかったのか後付けできないものは間接費になって、後付けできるものが直接費になります。
例えば、スーツであれば生地や布は後付けできるので直接材料費になります。
スーツを作るためにかかった人件費は、賃率といって1時間あたりの賃金×時間数ですぐ計算できるので、直接労務費も各製品に後付けできます。
直接経費の主な事例は外注費です。
特定の製品の製造を外部に委託する外注費は直接経費です。
これらを各製品に集計するのが個別原価計算です。
そして、個別の場合でも総合の場合でも必ず直接材料費は一匹狼となって、必ず独自に配分します。
これを知っておけばいいと思います。
費用をキャラクター付けして、直接材料費は一匹狼と考えると面白いですね。
少しでも工業簿記を楽しんで勉強できればと思います。
原価の3要素6分類をぜひ参考にしてみてください。
私はいつもあなたの2級合格を心より応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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