一会計期間における資金の収支状況を、一定の活動区分別に表示し報告するための財務諸表である。企業の利益情報だけでは得られない、資金的な余裕状況を知る貴重なデータとなる。個別CF計算書と連結CF計算書がある。
CF計算書が対象とする資金の範囲は、「現金及び現金同等物」である。
・現金…手許現金および要求払預金(当座、普通、通知など)をいう。
・現金同等物…容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資をいう(3ヵ月以内定期など)。
(例)A社では、当期の売上収入8,000、仕入支出4,400、人件費支出1,200、その他営業支出880、利息の支払額20、法人税等の支払額350千円だった。以上より、営業活動によるキャッシュ・フローは1,150千
(=8,000-4,400-1,200-880-20-350)と計算された。
(例)A社では、当期の有形固定資産の取得額は800千円、他社への貸付額は200千円あり、いっぽうで有形固定資産の売却収入が100千円、貸付金の回収額が300千円あった。以上より、投資活動によるキャッシュ・フローは550千円(=800+200-100-300)と計算された。
(例)A社では、借入金の増加額が900千円、新株発行による増資額300千円、借入金の返済額が1,100千円、自己株式の取得による支出額が120千円、配当金の支払額が80千円あった。以上より、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナス100千円(=-400+900+300-700-80-120)と計算された。
Ⅰ営業活動による キャッシュ・フロー | (※直接法で 表示している) | |
営業収入 | 8,000 | |
商品の仕入支出 | △ 4,400 | |
人件費支出 | △ 1,200 | |
その他の営業支出 | △ 880 | |
小計 | 1,520 | ←※本来の 営業CF |
利息及び配当金の受取額 | 0 | |
利息の支払額 | △ 20 | |
法人税等の支払額 | △ 350 | |
営業活動による キャッシュ・フロー | 1,150 |
Ⅱ投資活動による キャッシュ・フロー | ||
有価証券の取得による支出 | △ 0 | |
有価証券の売却による収入 | 0 | |
有形固定資産の取得による支出 | △ 800 | |
有形固定資産の売却による収入 | 100 | |
貸付けによる支出 | △ 200 | |
貸付金の回収による収入 | 300 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △ 600 |
Ⅲ財務活動による キャッシュ・フロー | ||
借入れによる収入 | 900 | |
借入金の返済による支出 | △1,100 | |
株式の発行による収入 | 300 | |
自己株式の取得による支出 | △ 120 | |
配当金の支払額 | △ 80 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △ 100 |
Ⅳ現金及び現金同等物に係る換算差額 | 0 | |
Ⅴ現金及び現金同等物の増加額 | 450 | |
Ⅵ現金及び現金同等物の期首残高 | 1,000 | |
Ⅶ現金及び現金同等物の期末残高 | 1,450 |
営業活動により獲得したキャッシュ・フローから、経営を維持するために必要な設備投資の額を引いた差額のことである。
営業で稼いだ資金から必要な設備投資を引いた残りなので、「企業が自由に使える資金」がどれくらい増えたか(減ったか)を判断する指標となる。
M&Aなどで企業価値を測定するさいに、将来得られると期待されるフリー・キャッシュ・フローの合計を割引現在価値に直して計算する。
なお、便宜的にCF計算書の「営業活動によるCF」と「投資活動によるCF」を合計した金額をもって、フリー・キャッシュ・フローとみなすことが多い。
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