まずは1番目、収益認識に係る会議基準とは何かということについて見ていきましょう。
収益認識に係る会議基準とは何か、企業の売上をどのように認識し、これは日付の決定です。
どのように認識し、どのようなタイミングで財務諸表に反映するかについて定められた会計基準のことです。
2021年4月から始まる会計年度を開始時期として、上場企業や大会社について強制適用となっています。
上場企業等、大きい会社は強制適用になっていますので、私たち公認会計士、監査法人などは、こういった会計処理がちゃんと新しいルールに乗っ取って行われたかどうか、監査チェックしたりするわけです。
従来日本では収益の認識、売上の認識について体系的なルールが決められてきたとは言い難い面がありました。
少し昔に会計学を勉強した方、発生主義会計とか実現主義なんていう言葉は聞いたことあるかもしれません。
そういった個々のルールがなんとなくあるわけです。
学者さんそれぞれが、こんなものかなということでまとめて、そういった会計学者さんとかが学会とかで個々のルールを集めてなんとなく体系化した感じがあるのですが、ルールとしてピタッと法令としてというか、統一ルールとして、こうですよっていう統一見解を整理した交通整理したものはなかなかなかったのです。
個別にあるものを拾い集めているという感じだったのですが、今はそういったやり方だと、今の経済活動の複雑化とかいろんな意味であまり望ましくないと。
こういった収益認識に関する統一的なルール、分かりやすいルールを一つ決めておきましょうと。そうすると実務にも役に立ちます。
あともう一個は、近年の経済活動の複雑化です。
私が公認会計試験の受験生だった30年前、1990年頃、30年以上前です。あの頃は、いつも現金取引。
いつも現金を持ち歩いて、現金で取引をするのが当たり前でした。
あと預金です。その頃はもちろん電子マネーなんて概念はほぼ無かったですし、もっと言うと暗号資産って発想がなかった。
今みたいなオンライン取引はほぼありませんでした。
あと小切手、手形。もう従来型の昭和の取引がまだまだあった時代です。
今みたいに取引がオンライン化されて、あとはクラウド化など、複雑ではなかったのです。
だんだん世の中の取引、経済活動が複雑化してきました。
そういった形でその複雑化した経済状況の実態に合わせて、やはり統一した分かりやすい収益認識の共通ルールがあった方が今後、会計処理をする方もやりやすいということで、この経済活動の複雑化に対応するために会計基準の整備が必要となったと考えられています。
こういったことも一回知っておくと、私たちが勉強している簿記の収益認識というのはこういった最近の社会の背景があるんだなと思うと、意義のあることやってるんだなと思えてモチベーション上がりますね。
では次です。実際に細かいことは皆さんお手持ちのテキスト、柴山式なら柴山式の通信講座等で勉強していただくとして、ここではよく見る言葉を2つご紹介します。
契約資産、契約負債。これは分かってしまうと会計処理は難しくないので、パターンを知っておきたいていただきたいと思います。
試験に今後よく出ると思います。1級では結構バンバン出てきます。
契約資産とは。商品を販売し、代金を受け取る権利はあるけれども、契約上の問題、いろんな事情があって売掛金などの法的に確定した、そういった債権とはできない場合に使う資産勘定。
権利の一種です。法的請求権。
言ってしまえば、工業簿記を勉強しているなら、仕掛品、未完成の状態。完成したものは製品って言います。
商品を引き渡して請求が完成している状態を製品というと。
最終完成が売掛品とするなら、途中の未完成品、仕掛品です。
それを契約資産と思ってください。
途中のさなぎです。成虫として蝶になったら売掛金だけど、途中のいも虫とかさなぎの段階が契約資産と思ってください。まだなりきってないということ。
最後のつめが終わってないということです。
これを契約資産と言います。契約資産はいずれ売掛金みたいな形になるわけです。売掛金の一歩手前ということです。
具体例を見てみましょう。すべての履行義務を満たして、はじめて代金の請求ができる取引。
これは要するに取引をしました。例えば独立した義務が2つありました。
1つの契約なんだけど、独立した義務がそれぞれあって一方で義務を履行した。
サービスを提供したけれど、その代金はまだ確定してないから売掛金にできなくて契約資産にしましたみたいな感じです。
例えば商品Aと商品Bを販売する契約を結びましたが、商品Aのサービスの提供っていう義務の履行と商品Bのサービスを提供する、商品を提供する履行は、AとBそれぞれ独立しています。
こういったものがあった場合は、いつも同じタイミングでそれを提供するとは限りません。
タイミングがずれた時にどうするのか?いう話です。
例えば2つあって、商品Aが10万円、Bが7万円としましょう。
商品Aだけ10万円渡しました。そこの売上代金は売掛金にできませんということです。
商品Bの販売で請求できる。Bの販売、引渡しをするまでは代金が確定しませんから売掛金とは言えないのです。
未完成の売掛金なので契約資産と言います。
では取引で見てみましょう。
例えば7月1日に商品A10万円と商品B7万円それぞれ独立した引き渡し義務が、履行義務があるものを販売契約として結びました。
それと同時に商品Aを発送しましたので10万円の売上を立てます。
代金は商品Bの2つ目の独立履行義務を果たして販売して初めて請求できるので、商品Bを販売するまでは売掛金としてはできません。
その売掛金一歩手前で契約資産というさなぎの状態、未完成の売掛金という意味で考えてください。契約資産です。まだ最終確定していません。
仮の売掛金みたいな感じです。
契約資産借方10万円、貸方売上10万円ということです。
商品Bを出荷、引き渡すまでは売掛金として確定しませんから、請求できませんから、とりあえず仮の請求権、仮の売掛金です。
次②、7月8日に残りの商品B7万円分を引き渡したので、丸7万円収益。
そこでやっと全て売掛金が確定しますので、②の7月8日に売掛金が発生します。
独立した履行義務の最後の義務がちゃんと履行されて売掛金として請求しました。
請求書はこの7月8日付けです。7月8日売掛金17万円。貸方は最初の契約資産10を貸方に書いて消します。
借方売掛金17。商品Aに対する契約資産10、残り7万円が売上。売上は17万円で売掛金17万円となりましたが、確定したのは7月8日ということをご理解ください。
途中経過で①7月1日売上がたちましたが、この時に一旦、契約資産という形で取り扱っています。
これを知っていただくといいでしょうね。
すごく大事なところなので、2級1級関係なく試験対策としても大事なところですし、実務では知っておくとすごく役に立ちます。
よかったら動画を1回止めて、これを3回くらい書いていただくのもいいと思います。
では次、契約負債にいきましょう。3番の契約負債です。
契約負債とは何か。商品を今度は販売する前に代金を受け取ったときに使う負債勘定ということが言えます。
これまでは「前受金」勘定を使って仕訳をしていて、3級ではこれに相当するものとして「前受金」でやっています。
前受金でないことはないです、別にやってもいいです。これは問題文の指示に従って、具体的な前受金勘定を使っても全然オーケーです。
ちなみに本当に細かいことを言うと、契約負債と前受金は厳密には一致しません。ちょっと違うんだけど、概ね重なる部分が多いので、前受金という勘定科目で処理しなさいと言ったら前受金を使ってください。3級はこっちです。
2級1級の場合は、問題文の指示に従ってください。契約負債という勘定科目を使うことも当然あります。
具体例。収益の計上時期が異なる複数の取引をやった場合。X社に対して、当期首に商品A200万円と2年間の保守サービス。
商品の売上と保守サービスという違う取引になっています。
収益の計上時期が違います。当期首に商品A200万円の引き渡し、2年間の保守サービス24万円は時間契約です。合わせて契約締結し、同日に商品Aの引き渡しを行い、普通預金に224万円が振り込まれました。200万と24万で224万です。
左が借方224万円、問題は貸方です。
借方普通預金224万円。貸方、売上200万円。これ何かというと、200万円の商品の引き渡し、計上時期が異なります。
Aは200万円。役務サービスの方はまだ売上にできません。
期首の段階です。X社に対して当期首に商品A200万円と2年間の保守サービス、全く計上時期が違います。
契約を合わせて締結しました。商品Aの引渡しをしました。借方普通預金224万円を受け取りました。
そのうち、履行義務を果たしたのは商品Aだけなので200万円が売上、借方現金224万円、貸方売上200万円。あと25万円が前受金みたいなものです。
かつての会計基準なら前受金ってやっても構いませんし、あるいは問題文の指示です。
契約負債でやるケースが一般的となっています。
貸方で契約負債という負債、一種の前受金みたいなものだと思ってください。
では次です。②一年後、12か月経ちました。元々、見て分かるように、当期首に2年間の保守サービスです。ということは24か月です。
24か月のうち期末で12か月経っていますから1年分の収益があります。
これは役務収益でいきましょう。24万円全て前受金をもらっています。
24万円について24分の12か月という形にしますと、12万円。半分です。
役務収益という形にしましょうということになります。
24万円×12か月/24か月。従って12か月の役務収益を計上します。
貸方は②決算でやります役務収益です。12/24か月の保守サービスにつき収益計上を行います。
24万円×12/24。24で割ると1か月あたり1万円、掛ける12か月なので12万円、借方契約負債12万円を取り崩して、貸方役務収益に12万ということで、当期の収益は200万+12万で212万という答えになります。
もしこういう問題が出たら、当期の収益を挙げよと言ったら200万円の売上と12万円の役務収益で212万円と答えればオーケーです。
この仕訳は大事なので、典型的な取引です。どの教科書も出ていますし、柴山式もこういった話はしていますので、ぜひこれでご理解いただけたらと思います。
借方契約負債12万円、貸方役務収益12万円です。
では本日の授業のまとめに入りましょう。
1番、収益認識に係る会計基準とは何か。
ポイント、収益認識に係る会計基準とは、企業の売上をどのように認識し、どのようなタイミングで財務諸表に反映するかについて定められた会計基準のことです。
そして2021年4月から始まる会計年度を開始時期として、上場企業や大会社について強制適用となっています。
次です。契約資産が発生する場合の仕訳です。
まずは借方10万円、貸方この分だけ10万円が消えて売掛金に変わると。売掛金の一歩手前です。
次です。契約負債は前受金みたいのもので、現金をもらって売上にならない分は貸方契約負債。
そして期間に応じて役務収益の場合は、契約負債を取り消して役務収益に振り替える。
こういったパターンを知っていただくといいと思います。ぜひ今回のまとめを含めてご理解をしていただければと思います。
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