固定資産の取得・賃借 (たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第3回)

はじめに

今回の内容ですが、開業準備でやること・決めることを例示しました。
商売を始めたらどのようなことをするのかを知っておくといいです。

例えばお菓子屋さん、ケーキ屋さん、カレーショップ、あるいは整体院や美容院をやりたいなどいろいろな仕事があると思います。

あるいは工場を作って、お客さんから注文を得て材料を加工して製品を作って売る。
または、卸売業と言って、メーカーさんと契約して商品をたくさん卸してきて、それを小売店やいろいろな会社に売るBtoB、ビジネストゥビジネスのような形もあります。

開業準備でやること・決めること

あなたの得意分野、関心がある分野、あるいはこれから成長すると思う分野で自分の力を試してみたいと思ったら、商売を決めて自分なりの計画を立てます。営業目的と言います。

私だったら会計教育、経営コンサルティング、会計事務所、公認会計士として監査をするなど、いろいろな仕事があります。

皆さんの得意分野、関心のあることを仕事にして営業目的を明らかにしましょう。

何をするか決めたら、いつ始めるのか、これも大事です。独立する日、開業する日を決めましょう。

次にどこでやるのか、本店所在地をどこにするか。東京でしょうか、大阪でしょうか、ローカルなビジネスもありですし、今はネット社会ですからネットもあります。

本店所在地を決めましょう。どれくらい利益を得るのかという事業計画を立てます。
こういったことのお手伝いをするのが、我々会計事務所の人間や、公認会計士税理士の専門分野です。会計の知識がないとなかなかできません。

事業計画を立てましょう。そして誰と何人で始めるのか、人員計画です。
さらに資金はどれくらい必要か、これも会計士税理士が専門とするところで、銀行にどのくらい融資をお願いするかなど、資金収支のお金に関する予定を立てます。

そして、最初に何を準備するのか、設備投資です。一番小さいところでいくと、パソコンや電子黒板、このようなオフィス機器も設備ですし、大きいところでは工場を建てる、建物を買う、あるいは大きなビルに部屋を借りると保証金が1,000万など、設備投資を考えなければいけません。

設備投資について

今回のテーマはこの7番目、設備投資です。開業準備をするにあたってどのような設備を用意するかが大事です。会計的な側面から見ていきましょう。

1番、営業場所を確保します。建物や土地の不動産の取得または賃貸が可能です。
今だったらだいたい賃貸です。最初から自分で不動産を買ってやると処分が大変です。借りておけば賃貸借契約と言って返せます。大抵は賃貸でしょう。

そして2番目、営業用設備等の取得。例えばパソコン、コピー機、机、いす、棚です。棚やパソコンなどは買うでしょう。コピー機はリースもあるでしょう。

あとは自動車など、いろいろあります。備品と車両運搬具あたりは自前で持っているケースもあるかもしれません。特に営業をする方です。営業場所の確保、営業用の設備を取得しますが、その取得に関して会計処理簿記の世界ではどのように取り扱うのかを見ていきたいと思います。

固定資産とは

固定資産の定義です。固定資産とは、長期にわたって所有する資産のことです。
次に、固定資産の種類です。

3級は(1)の有形固定資産をやります。一番わかりやすいものです。(2)無形固定資産や(3)投資その他の資産になってくると、だんだん簿記検定2級や1級の内容になってきます。

まずは有形固定資産からいきます。具体的な姿かたちのあるものを有形固定資産と言います。そして(2)無形固定資産は特許権など形のないものです。そして(3)投資その他の資産ということで、投資を目的としたものや有形・無形に含まれないものです。

例えば差し入れ敷金です。部屋を借りると、家賃の例えば1か月分、2か月分など何か月分という形で先に保証金を預けます。何かあったときに修繕などに充てることがあります。

最後部屋を返して出ていくときに、ある程度返してもらうこともできます。保証金はその他の資産です。まず3級は有形固定資産と言って、備品や建物を学びます。

固定資産の具体例を見ていきましょう。有形固定資産とは何か、建物、本社ビルや倉庫、工場の建物などがあります。

そしてお店の建物、店舗もそうです。そして建物付属設備で給排水設備など建物に付いている設備があります。簿記検定には建物付属設備は出ませんが実務的には大事です。構築物は地面にくっついているもので、塀やアスファルト、砂利をひいたりするとそれも構築物になります。

そして車両運搬具は自動車やトラックです。機械装置は製造業の工場で使う機械です。備品は広いです。パソコン、プリンター、応接セット、棚、ロッカー、机などいろいろあります。そして土地は敷地、不動産です。建物と土地は不動産です。

実務に関係しますので参考までに見ていきましょう。

(2)無形固定資産というのがあって権利です。特許権、商標権、ソフトウェアなど、2級や1級など上の級でやります。のれんはM&Aなど会社を合併買収などをしたときに出てきます。連結決算なども出てきます。

(3)投資その他の資産は、3級で出る可能性はそんなにありませんが実務で使います。例えば1年を超える定期、長期定期預金は実務でありそうです。それから投資有価証券、持ち合い株などという言葉もあります。

長期貸付金、1年を超えた貸付金もありそうです。投資不動産は賃借料をもらう投資用に不動産を買う不動産投資と言います。自分で使うのではなく、賃借料を取る投資用不動産です。

それから差入保証金は実務でありますので、3級の勉強をされている方も会計事務所の職員になったり、本社の経理担当者になったらこの差入保証金は、貸借対照表という決算書類の固定資産の一番下に出てくるということを知っておいてください。

保険積立金は、会社も保険に入りますので費用にならないものから入ってきたりします。簿記3級という意味では有形固定資産が一番大事です。実務的には長期定期預金や差入保証金などが時々ありますのでご参考になさってください。

有形固定資産の取得に関して、これが3級の試験対策に関係しますし、実務的にも大事です。まずは建物、本社の建物、工場、倉庫、店舗などです。

建物付属設備は建物にくっついているもので給排水設備、ガスや電気設備などがあります。それから構築物は、塀や舗装、緑化施設などがあります。試験には出ませんけれども実務ではときどき見受けられます。

車両運搬具は、自動車、オートバイ、トラックなどです。機械装置は製造用の機械やブルドーザーなどです。

そして備品は、家具、パソコン、テレビ、棚など一番身近な固定資産は、おそらく備品でしょう。それから土地、営業目的に使用される敷地です。

固定資産の仕訳

取得に関して記録の仕方を考えましょう。仕訳の型を覚えましょう。

左側に固定資産、右側はお金が減ります。あるいは借入金や負債や現金のマイナスです。建物を購入し、普通預金から支払った。例えば1,150万円で建物が増えました。

右側普通預金で払ったと、現金が減って物が増えました。建物や固定資産は物です。金、物、権利という3種類の資産のうちの物です。金が減って物に代わった、資産の運用状況が代わったといいましょう。

2番目、有形固定資産の取得原価ですが、取得時の評価額を取得原価と言います。購入資金があります。建物本体が1,000万円としましょう。

その取得に必要な関連費用を付随費用と言います。付随費用150を足して1,150です。本体と付随費用です。付随費用は引取費用や据え付け費、あるいは試運転費、仲介手数料、登録免許税、整地費用などがあります。

仕訳を見ていきましょう。パソコン20万円を購入し、引取費用1万円とともに現金を支払った。引取費用は運賃のようなものです。21万円とします。

20万円ではないのがポイントです。パソコンを買わなければ1万円の費用がかからなかったのだから、パソコンを買うためにかかった支出額を取得原価と言います。

支出額イコール取得原価です。その資産を買うためにかかった支出額です。本体以外に関連する付随費用も本体に入りますので、備品の評価額が21万、左側です。

柴山式総勘定元帳の資産の備品というTの字の左側に増加を書きます。次は現金21万円が減ったので、右側現金が減りました。総勘定元帳は現金というTの字の右側に書きます。

そうすると左と右の互い違いに1個ずつ書いています。複式記入と言います。左側借方備品21、右側貸方現金21です。これは白紙に2回か3回書いて手になじませましょう。
深い意味はありません。かけ算九九と同じです。音読しながら書いて覚えましょう。

固定資産の修繕

次です。固定資産の修繕です。買った後に少し劣化したときに手直しすることを修繕と言いますが、固定資産の修繕を行ったらどうなるかということで、修繕費の支出を見ていきましょう。1番、定期修繕や補修など、固定資産を維持する支出です。

少し悪くなったものを元に戻すだけです。補修と言います。これは収益的支出と言って収益に関係します。収益に対比させる費用としての支出です。修繕費と言います。

左側修繕費10、右側普通預金10です。例えば価値を高める、追加で建物を買ったイメージです。物は増えていないけど機能がアップすれば価値は上がります。

その資産の価値を上げるような支出を改良などと言います。改良したりするものを資本的支出と言います。資産的支出と言えばわかりやすいでしょうけど、資本だと思ってください。そんなものかで結構です。資産になるものを資本的支出と言います。借方左側建物80、右側普通預金80です。

同じように普通預金で払っているけど、収益的支出と言って維持費用の場合は修繕費です。価値を高めるものを資本的支出と言います。

修繕の簡単な仕訳例を見ていきましょう。建物の修繕を行い、普通預金口座から90万円を業者に支払った。右側貸方、出す方です。

普通預金90のマイナスです。パソコン内の総勘定元帳は、左側が資産、右側が負債、右の真ん中が純資産、あるいは資本と言います。右下が収益、左下が費用というグループです。今回は資産の中の普通預金というお金が90減りました。

上記のうち80万円は建物の価値を高める改良(資本的支出)だったので、お金が減って建物が増えます。左側建物80です。そうしてもう一つ、残りの10万円は建物のかべにヒビが入っていたために行った補修、原状回復の費用なので収益的支出と言います。

残り10は費用修繕費です。普通預金90が減りました。そのうち80が建物という物に代わりました。同じ資産グループの中で移動しました。金から物に移動しました。

残りの10は費用に落ちます。この境界を越えて資産から費用に落ちましたと考えてください。普通預金90が減りました。建物という物に80が置き換わりました。

10は修繕費という費用になりました。借方建物80、借方修繕費10、貸方普通預金90、これを言葉に出しながら3から5回、場合によっては10回書いてみます。
1日おいてまた書くと頭に入ります。暗記のテクニックとしてやってみてください。

問題文です。土地を購入した。購入代金500万円に加え、不動産仲介手数料・登録免許税・整地費用の合計46万円を普通預金口座から支払った。付随費用の46万円と500万円で560万円を普通預金口座から支払いました。

右側普通預金546万、左側土地546万です。お金から物に代わりました。借方土地546万、貸方普通預金546万です。ぜひこれをできるようになってください。

2つ目、建物の修繕を実施し、工事業者に現金100万円を支払った。修繕代金の内訳は次の通りだった。建物の耐用年数を伸ばす改良、価値を高める改良が84万円です。

定期点検および定期修繕が16万円で収益的支出です。現金が右側貸方100万減りました。借方建物84万、借方修繕費16万です。

これを現金の右側に100万、左側建物84万で、資産の中で100万から84万だけ建物に代わりました。残りの16万は下の費用に落ちました。勘定科目は修繕費です。

まとめ

最後まとめですが、開業準備における設備投資は何があったか。1.営業場所の確保、不動産(建物・土地)の取得または賃貸。2.営業用設備等の取得、パソコン、コピー機、机、いす、棚、自動車など。そして固定資産というのは、長期にわたって所有する資産のことです。

固定資産の種類は、(1)有形固定資産、具体的な姿かたちのあるもの。(2)無形固定資産は特許権など形のないもの。(3)投資その他の資産は投資を目的としたものや有形・無形に含まれないものです。

そして次、有形固定資産の取得です。1番、仕訳は借方建物などの固定資産を左側1,150、右側貸方普通預金などのお金、または借入金や未払金という負債が出ることもあります。2番、有形固定資産の取得原価は、例えば1,150ならば、購入代金の1,000と付随費用150です。付随費用の例としては取引費用、据え付け費、試運転費用、仲介手数料、不動産です。

登録免許税は不動産でかかります。整地費用は土地です。最後、修繕費の支出には2つありました。固定資産の修繕を行ったとき、1番、定期修繕や補修など、固定資産を維持する支出で収益的支出と言います。

修繕費で処理します。左側借方修繕費10、貸方普通預金10のような感じです。

2番、耐用年数を延長させたり、価値を高めたり改良としての支出は資本的支出と言います。資産を増加させます。

借方建物80、貸方普通預金80というパターンが多いと思いますので、この機会に覚えておきましょう。

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