有形固定資産の減価償却 (たのしく学ぼう日商簿記3級の超入門 第4回)

今回は有形固定資産の一生について見ていきましょう。

取得原価の決定

まずは自動車を購入しました。取得時の支出額をもとにした評価、取得時の支出額、これを取得原価と言いますが、購入代金プラス付随費用でした。

これが取得原価の決定。新品の段階の金額ですが、年月の経過とともに、新品のままの値段では売れません。だんだん安くなります。
どれぐらい安くなるかということを見積もるのが今回の主なテーマです。

減価償却の計算方法

1年が経過しました。減価償却費を計上します。2年が経過したら、また減価償却費を計上します。
この減価償却費は同じ金額でいくのか、金額を変えていくのかによって計算方法は変わりますが、今回は3級ということで、1年後も2年後も金額は変わらないという減価償却の計算があります。これを定額法といいます。

その減価償却費を計上した後は少しずつ新品の価値が中古品の価値として処分価値が減っていきます。そういったことを考えていただければいいと思います。

資産の評価と処分

1年が経過して減価償却費の計上。2年が経過して減価償却費の計上を同じように行います。その後、評価が下がっていきますが、今回のテーマとして、自動車を売却するケースも考えます。有形固定資産の売却ということです。

参考として2級レベルで、自動車を売却処分や、廃棄処分した。これは有形固定資産の売却や除却です。

売却は3級でも出てきますが、除却や廃棄したケースは2級レベルなので、参考に知っておいていただければいいと思います。売却は3級の範囲ですが廃棄処分することもあります。

そういった場合は2級でやります。廃棄損や処分損のようなものがあります。

仕訳の作成と減価償却の記録方法

今回のメインテーマに入っていきましょう。

有形固定資産を取得したときの仕訳、これは復習になります。まずは仕訳の型です。
自動車や備品などの有形固定資産を購入し、例えば普通預金から支払いました。貸方資産のマイナス普通預金1,200、借方車両運搬具1,200。1,200の内訳ですが取得原価の決め方です。

取得時の支出額、原価は基本支出額という意味なのですけれども、その支出額は本体が1,000万円で200万円は付随費用で、引取費用や、据え付け費、試運転費用、仲介手数料。これは不動産です。

登録免許税も大体不動産です。整地費は地ならしをするための費用で、土地の取得原価に含まれます。こういったものを踏まえて取得原価が決定します。

取引の例です。借方車両運搬具120、貸方現金120。これは120万円の営業車両を買って現金を払いました。ステップ1、車両運搬具120万円、物が増えました。

車両運搬具借方、左側仕訳、総勘定元帳転記です。貸方現金120万円減りました。右側貸方現金120。

今度は3番目、1年後の有形固定資産をどう評価するか。ポイントは1年経ったら中古品になるので、新品と同じ金額では売れないし、評価できません。

したがってどれぐらい下がったかを一定のイメージに基づいて、規則正しく減価償却します。120万円で買った自動車が6年間使ったあと、6年後に価値がゼロになると仮定したらどうなるか?

6年にわたって少しずつ下がったとしましょう。1年後に120がゼロになるとは考えにくい。ちょっとずつ平均的に減っていって最後ゼロになるというイメージです。

最後の6年後、耐用年数といいますが、想定される寿命が来たときにいくらで処分できるかという価値を残存価額と言います。その残存価額はゼロという想定が基本です。

問題によっては10%ということもあります。10%の場合は、例えば取得原価が120の10%で12とやって、120-12を6年間で引くというやり方もあります。

ここでは簡単に価値がゼロになるというよくあるケースを見ていきます。これは税法でもそうです。

例として、120万円で買った自動車が仮に6年間使ったあと、6年後に価値がゼロになる。6年後のことを寿命が尽きた期間で耐用年数が到来したとします。
使用に耐えると書いて、耐える、用いるで耐用年数です。

耐用年数6年、6年間使いましょう。6年後に価値がゼロになりました。
その6年後の耐用年数が到来したときの価値を残存価額と言います。ゼロになると仮定したらどうなるか。6年かけて毎年同じ金額ずつ徐々に価値が減少すると考えます。

6年かけて120万円減ります。120万円を均等に毎年同じ金額です。
月の途中で買った場合は月割り計算と言って、さらに1年分の減価償却費を12分の6や5などとやることがあります。

一応、期首で買ったと考えて、120÷6で20万円ずつ下がっていきます。
1年後は120万-20万で100万。次がまた20万引いて80万です。
この20万が減った状態をどのように帳簿に記入するかということです。

120万円は車両運搬具の取得原価です。黄色が大事です。
×年間の見積り使用期間、耐用年数は今回は6年です。×年後、耐用年数が到来したときの見積り処分価額は、残存価額と言います。

今回は0円です。毎年、一定額ずつ価値が下がると仮定するやり方を定額法といいます。2級では定率法をやります。毎年20万ずつ減っていきます。1年後は20万減って100万円に下がります。

減価償却の実務と意義

どのように仕分けをするか。取引の例です。

×1年度、営業用車両120万円を購入し現金を支払いました。
借方左側車両運搬具120、貸方現金120。1年後、決算日なりました。
1年間の使用による車両運搬具の価値減少分を見積もって、減価償却費を計上します。

これが減価償却費という減価償却による費用です。償却というのは取り除く、削除するという意味です。価値が減った分を取り除く。費用です。

借方減価償却費20、これは費用です。もう1個、減価償却累計額という分身を作ります。
車両運搬具という資産をそのまま減らしてもいいけど、でも現物はなくなっていません。
例えば車体の6分の1が消えたわけではありません。見た目は変わらないけども、古くなったという過程を表す意味で、分身を作ります。車両運搬具の分身です。

分身勘定を評価勘定と言います。資産のマイナス評価をあらわす特殊な勘定科目です。
分身のようなものです。車両から分身を作って減価償却累計額です。
あるいは車両減価償却累計額みたいに車両や備品を頭につけることもあります。
今回は簡単に減価償却累計額です。

借方減価償却費、貸方減価償却累計額20です。評価勘定という言葉も大事です。
特定の資産のマイナス評価です。ぜひ覚えていただければと思います。

1年後、決算日になりました。1年間の使用による車両運搬具の価値減少分を見積もって減価償却費という費用です。

減価を償却する費用、価値が減った分を取り除く費用です。
償却は減らす、取り除くという意味です。

120÷6年で20万。毎年一定額なので定額法と言います。
残存耐用年数6年、残存価額0円です。借方減価償却費20、貸方減価償却累計額20、1年後の決算でやることが多いです。

1年後の車両運搬具の帳簿上の価値は、取得原価から減価償却累計額を引きます。
120引く20で100万になります。減価償却累計額を引いた後の数字が帳簿上の評価で、帳簿価額または帳簿価額の簿と価かの間を取って簿価と言います。あるいは、未償却残高です。

この3つはどれも聞くことがあるので、いずれ覚えて欲しいです。取得原価引く減価償却累計額イコール100です。これを帳簿価額、簿価また未償却残高と言います。ここまでできればOKです。

最後です。2年後の評価、減価償却です。120万円取得原価、耐用年数6年、残存価額ゼロ、定額法です。2年後、120から20引いて1年後は100。

2年後は80、3年後は60、4年後は40、5年後は20、最後が0になるように減らしています。1年後は100だったから100から20減らして80になります。120と80の差し引きは40が、減価償却累計額になるはずです。

×1年度は終わりました。減価償却しました。
120万で取得して1年度の減価償却が20貯まりました。

この車両、累計額、資産負債の純資産は繰り越します。でも減価償却は繰り越しません。費用と収益はリセットします。

年収は、毎月30万円の給料をもらったら、12ヶ月で360万です。去年の私の年収は360万。それを年度が変わって、360に30を足して390万とやりますか。やりません。

去年が360だったら今年は4月になったら0から始めます。今年40万に月給が上がりました。そうしたら40万×12か月で480万です。

2年目の年収が480万と言って、1年目の360と比べて年間で120増えましたというふうに、収益と費用というのは去年と比較するために使うのです。生活費もそうです。

去年の1年間の生活で360万、今年480万と言ったら120万で、贅沢していると言うでしょう。去年と比べるので、リセットするのが収益と費用です。

今年の4月に40万増えたから、去年の360に40を足して400万と言ったアホです。年収は1年経ったらリセットです。

ゲームのリセット、リセットしないのは資産負債純資産、そのまま引き継ぎます。セーブするのです。セーブするのが資産負債純資産、あるいは資本です。

リセットするのが収益と費用で、常にゼロからです。減価償却累計額は20で繰り越します。でも減価償却費はそのままリセットしません。去年の累計額でセーブします。
その状態でさらに20減価償却しましょう。

2年後に減価償却しました。まずは借方減価償却費20。そして新たに今年1年分で20です。貸方減価償却累計額20とやって、40になりました。これがセーブした状態です。

資産負債純資産あるいは資本はセーブします。積み上がります。費用と収益は毎年リセットするので常に1年分です。結局は減価償却累計額が40なって120から40を引いて帳簿価額、簿価、あるいは未償却残高80です。これは超重要です。

減価償却は全体の中でもベスト3に入るくらい超重要です。実務でも使うし、試験でも100%出ると思っていいです。減価償却累計額と減価償却費の関係、リセットするのが費用、セーブするのが減価償却累計額、帳簿価額は、取得原価から減価償却累計額を引いた差額が評価です。

問題文を見ていきましょう。

練習です。建物の減価償却を行いました。取得原価1000です。残存価額0、耐用年数20年、償却方法は定額法です。

まずは1000万÷20年で50万。年間です。期首に買いましたということです。

借方減価償却費50です。1000万÷20で50です。貸方減価償却累計額50と書きました。
パソコン上、総勘定元帳の借方減価償却費、費用50書きました。

次、貸方減価償却累計額は50で、エンターキーを押すと資産のエリア、建物のマイナス項目、減価償却累計額というマイナス評価勘定に書かれました。

結局、差し引き1,000-50で1年後は950。帳簿価額、簿価、あるいは未償却残高が950といいます。

まとめ

今日のまとめです。

3級、自動車の例です。自動車を購入しました、有形固定資産の取得。1年が経過しました、減価償却を計上。

2年が経過しました、減価償却を計上。これは今回のテーマです。定額法です。

自動車を売却しました。これは3級でいずれやります。2級レベルは処分と言って廃棄とか処分、除却損を出すことがありますが、これは2級でやりましょう。

次に2番目、取得原価です。有形固定資産を取得したときの仕訳、復習です。仕訳の型、例えば自動車を購入し、普通預金から支払いました。

借方は車両運搬具1,200、貸方普通預金1,200。2番、有形固定資産の取得原価、1,200の決め方です。購入代金、あるいは購入代価、本体の1000万プラス付随費用200を足して1,200としました。

付随費用の例としては引取費用、据え付け費、試運転費、不動産の仲介手数料、建物土地で登録免許税、あるいは整地費用は土地の取得原価に含めます。

こういったものもあるのだということを知っておいてください。

これは復習です。3番目、1年後の評価、減価償却です。用語です。車両運搬具の取得原価、取得時の支出額は120万です。見積り処分期間、寿命です、これが耐用年数で今回は6年としましょう。6年あるいは耐用年数が到来したときの見積り処分価額は、残存価額といって今回はゼロにしました。

問題で10%と出すこともあります。毎年一定額ずつ価値が減ることを定額法と言って3級のやり方です。ずっと一直線、ストレートラインメソッドです。一直線に減っていくのでわかりやすいです。120÷6年でマイナス20万ずつ、1年後は100です。

減価償却費の仕分けです。借方減価償却費20費用、貸方減価償却累計額20、評価勘定です。資産のマイナス評価を表す特殊な勘定科目で分身のようなものです。

1年後の車両運搬具の帳簿上の価値、この事例では、120万引く20万の累計額を引いて100万円です。帳簿価額、簿価、未償却残高、いずれの言い方もあるということを知っておいてください。

そして2年後です。120-20と20で40を引いて80万になります。2年後さらに減っていきます。減価償却累計額の試算がストップ、セーブします。翌年に繰り越しますので、1年目の20と2年目の20を足して40の合計のマイナス。120から40引いて80万になります。これが資産負債、資本、あるいは純資産ポイントです。

費用と収益はリセットします。1年を終わって、去年と比較して増えたか減ったかということをやるので、収益費用はリセット、常にゼロからです。減価償却費20、2年かけて累計額が40です。ベスト1とかベスト2ぐらい大事なので、減価償却は大抵の会社はありますから、実務でも大事。会計事務所とか本社経営とか、試験でもよく出ます。

100%出ると思っていいと思います。減価償却のない会計はあり得ないと思ってください。パソコンなんか買っても出る可能性があります。参考になさっていただけばと思います。

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