今回は、3級・2級商業簿記についてお話しします。
テーマは「未渡小切手」です。
未渡小切手は、2級の銀行勘定調整表などでよく見かける重要な概念で、決算手続きや仕訳にも大きな影響を与えます。
また、場合によっては1級などの上級試験でも出題されることがあるので、この機会にしっかり理解を深めましょう。
未渡小切手の重要度は2級で星2つと評価しています。
では、その定義を見ていきましょう。未渡小切手とは、まだ相手に渡していない自社振り出しの小切手のことです。
これを考えると、一時的に当座預金が減少する状況が生じます。
小切手を振り出すと、貸方に当座預金が減少します。
小切手を作成した段階で当座預金が減っている状態で相手に渡すことになりますが、受験簿記では振り出した後にまだ渡っていない場合も考慮します。
手元に残っている小切手に記入し、相手に渡そうとしているイメージですが、実際にはまだ渡せていないケースもあります。
このような状況では、未渡小切手として当座預金を減少させたという扱いが誤りとなるため、訂正が必要です。
具体的には、借方に当座預金を戻す処理が行われます。
振り出した際に当座預金を一旦減少させたため、その減少を取り消す必要があるのです。
例えば、小切手を振り出したとき、借方に費用や買掛金がマイナスされ、貸方に当座預金が減る形になります。
しかし、支払責任者が取りに来ないなどの理由で実際には渡せなかった場合、一旦減少した当座預金が実際には減っていないことになります。
この場合、借方に当座預金を戻し、貸方には未払金を記入します。
費用は未払いの状態になるため、例えば広告費や修繕費などの借方に記入し、貸方には未払金が入ります。
具体的な取引の例として、広告費10万円を支払うために小切手を振り出したとしましょう。
この時点で当座預金が減少しますが、実際には渡せなかった場合、減少を訂正する必要があります。
結果として、借方に広告費10万円、貸方に未払金10万円という仕訳になります。
これにより、当座預金はプラマゼロ、つまり減少も増加もしていない状態になります。
もし、振り出した小切手が後に取り消された場合は、借方に当座預金、貸方に未払金を戻す仕訳が必要です。
このような流れをしっかりと理解しておくことが大切です。以上が未渡小切手についての説明でした。
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