株主以外の者からの資金調達手段 ?有利子負債?

有利子負債とは、かんたんにいうと、利払を伴う借金のことです。

有利子負債の代表例は、「借入金」と「社債」ですね。

なお、このほかには、営業保証金の預り分などに利払を伴うものもあったりしますが、それはやや特殊な部類ですね。
なお、負債には、商品の仕入れ代金の未払いを表す「買掛金」や「支払手形」といった、利払の伴わないものもあります。
買掛金は、いわば「請求書の通知のみによるつけ(未払い分)」であります。

これに対し、支払手形は、通常は「約束手形」という特別な証書に、「将来の一定期日に、手形記載の金額をあなたにお支払します」というような文言をうたったものを発行しますので、支払義務としては、法的な縛りが強いです。ご参考まで。

※買掛金と支払手形を合算して、「仕入債務」とか「買入債務」とか 言ったりもします。
そして、負債というのは、決算日の翌日から一年以内に返済があるようなものを流動負債、一年を超えて返済日がくるようなものを固定負債などと分類されます。
(ほかにも、専門的な流動・固定分類の基準があるのですが、あまり深く考えず、だいたい一年を基準にしているようなイメージで、とりあえずは十分ですよ。)

             バランスシート
       ―――――――――――――――――――
                |         |←有利子負債☆
         資  産   |   負  債  |
                |         |←無利子負債
                |―――――――――
                |
                |   資  本   ←株主の自己資金
                |
       ―――――――――――――――――――

さて、今後、非常に有望な事業があり、これまでのテスト・マーケティングの結果、多額の資金を投入すればするほど、十分な収益が上げられることが分かっているとしましょう。
たとえば、その事業に投下した資本に対するリターン(利益)が20%と見込まれるとしたら、どうですか?
その時の資本コスト(金利等の費用)率が5%なら?

   投下資本利益率20%?資本コスト5%=15%もの超過利益

が得られるので、資金を借り入れて、その事業拡張案に投下することは、経営者としてしごく当然の行動ですよね。

だって、将来の収益増は、あきらかに「企業価値」を高める行為ですから。
ここ、大事ですよ。

上場企業のように、所有(株主)と経営(取締役)の役割が分離している場合には、経営者は、所有者にとっての企業価値の増大という要望を満足するために、最大限の努力を払わなければなりません。
簡単に言えば、「現在の投下資金(出資)」に対し、将来、より多くの収益(リターン)をもたらすような事業行動を選択することが、経営者の使命なのです。
だから、景気拡大局面や、企業成長局面では、規模を追求すること自体は悪いことではありません。

むしろ、そこから得られた潤沢なキャッシュおよび利益を、自社株買いや配当の増加などで、株主に報いることが、経営者としての責務であります。
将来の有望な事業への資金投下をまったく検討せず、ただ不安だからと言って社内に利益を留保し、なんらの還元も株主にしなければ、いまどき、経営者は必ずと言っていいほどそっぽを向かれてしまいますね。
だって、株主としては、他に投資信託や●●ファンドなどの、より有利な利回りの高そうな金融商品があれば、その会社の株式と常に比較して、よりリターンの大きそうな投資機会に資金を投下しようと伺っているのですから。

つまり、株式を買うと言うことは、「将来、企業が多くの果実を生み出す」という期待があってのことですから、資本市場における企業の使命は、「いかに合法的に将来の収益性を向上させるか」に重点があるわけなのです。
自己資本をそのままにして負債を増加させ、そこからの投資で将来の利益を増やせば、当然、ROE(自己資本利益率)は向上し、株主にとっての投下資本とリターンの効率が良くなります。
他人資本の力を借りて収益を上げるのですから、まさにリバレッジ効果(てこの力による効果)といえますね。

有利子負債など、他人資本による事業拡大は、景気拡大局面や、市場が成長期にあるような局面では、非常に有効と言えるでしょう。

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>(コーヒーブレイク)会員制CD会員様からの嬉しいお便り
柴山先生
毎月ためになる講義をありがとうございます。
忙しくて課題の添削を一度も出したことはありませんが、毎月CDをipodに入れて繰り返し聞き、プリントアウトしたPDFに重要ポイントを書き込んで勉強しています。
数年前に簿記2級を取得していますが、講義を聴いてさらに知識が深まって、徐々にではありますが会計的な思考が少しづつ出来るようになっていることを実感しております。
→ http://bokikaikei.net/info-cd.html
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