柴山:内藤さん、おめでとうございます!!
内藤氏(以下、内藤):ありがとうございます。
柴山:この後懇親会をやりたいと思っていますので、そこで本音トークを聞きたいと思いますが、まずは、1級合格に向けて簿記検定の勉強を頑張っている皆さんのモチベーションになるように、大学3年生のときに1級に受かった後の1年間をどのように過ごしたのか、そして就職活動のことについてのお話を伺いたいと思います。
まず、1級に合格をしたときの印象を振り返ってどうですか?
内藤:以前この動画に出させていただいたときにもお話しましたが、発狂しそうになるぐらい嬉しくなりました。
柴山:ご両親や周囲の反応はどうでしたか?
内藤:今までこういった目標を達成するのは初めてなので、両親はとても喜んでくれました。
友人にも驚かれて、「就職活動の強みになるものがあって羨ましい」と言われました。
柴山:1級の難易度や価値を知っている人はいましたか?
内藤:就職活動で資格などを取ろうとして、色々調べている人も多いので、簿記1級の価値が高いということはわかっているようです。
柴山:就職活動をするときにはそういった資格は調べるのですね。
簿記2級でも難しいと感じる人がいるのに、1級を取ったのは凄いことだと思います。
内藤さん自身、合格してから心境の変化などはありましたか?
内藤:初めてこのような目標を達成したので自信がつきました。
柴山:周りから「変わったね」と言われたことはありましたか?
内藤:就職活動のときには、堂々としている感じに見られました。
柴山:1級に合格したということは専門的な知識が身に付いた証なので、やはり変わるでしょうね。
内藤:合格していなかったらここまで変わることはできなかったと思います。
柴山:就職活動をしていたときに、簿記の知識を活かしたことはありますか?
内藤:会社の財務諸表を見ると、1級の知識がないとわからない用語ばかりなので、そこで1級の勉強が活きたと思います。
柴山:日経新聞は読んでいましたか?
内藤:読んでいました。
1級の知識があると、スラスラ読めるようになるのを実感しました。
柴山:他にも「1級は不合格だったけれど日経新聞が読めるようになったことに驚いた」と言っていた方がいました。
受かるかどうかは別にして、1級の勉強をすることで時事ニュースの見方も変わってきますね。
内藤さんは今回上場企業に就職が決まりましたが、やはり他の学生の方も上場企業への就職を希望しているものなのですか?
内藤:人気企業に行きたいと思っている人は多いですね。
柴山:今は平均してどれぐらいの企業にエントリーするものなのですか?
内藤:最低でも30社以上はエントリーしていますね。
柴山:私が就職活動をしたときには「売り手市場」でしたので、5社ぐらいしかエントリーしていませんでした。
内定が決まるとその場で入社するかを決めなければならず、かなり拘束されたのを覚えています。
当時は1人内定を辞退すると人事考課に影響があったらしく、それで必死に囲い込みを行っていたようです。
私のような何もない人間が入れるくらいに当時は就職活動がしやすかったのですが、今は当時とは状況が違うので、就職するのには大変な努力が必要だと思います。
そのなかで、1級の資格をもっていることは強みになっていることを実感しましたか?
内藤:やはり持っていると違いますね。
柴山:周りで1級を持っている人はいますか?
内藤:いました。
予備校には通っていたようですが、サークルなどと両立しながら、会計士の短答式なども受かっていたので、それを聞いて私もモチベーションを高めることができました。
柴山:2級を持っている人はそれなりにいたのですか?
内藤:はい。
就職活動をしているときに資格の話をすると、簿記2級を持っているという話はよく聞きました。
ただ、2級は持っていて当たり前というような扱いなので、それほど強みにはならないと感じました。
特に経理の場合であればなおさらです。
2級でもいいけれど、できれば1級は持っていたほうが有利だというのは実感しました。
柴山:就職活動をするにあたって、興味のあった業種はありましたか?
内藤:簿記1級の管理会計の知識が活かせると思ったので、メーカーに一番興味をもっていました。
それから、金融にも興味がありました。
柴山:小売りや卸売りは考えていましたか?
内藤:あまり考えていませんでした。
柴山:やはり1級の知識が活かせるのはメーカーだと考えたわけですね。
柴山会計は原価計算が得意な受講生が多く、私も不思議に思うぐらいなのですが、なぜなのか、逆に内藤さんに伺いたいです。
内藤:厳選された薄いテキストで繰り返すということがとても大事で、そのおかげだと思います。
柴山式総勘定元帳も役に立ったと思います。
柴山:テキストを作った私自身も、ここまで点数が取れるとは思っていなかったので、驚いています。
内藤:それは私も同じです(笑)
薄いテキストを何回転もするというのが重要なのだと思います。
逆に言うと、あまり手広く勉強をしないほうがいいということでしょうか。
柴山:それは就職活動にも同じことが言えそうですね。
内藤:明確な目的意識をもって、業界研究をした上で進みたい道を決めないとダメだと思います。
柴山:業界研究はどのようにやるのですか?
内藤:やはり日経新聞が業界研究には役立ちました。
柴山:若い方が読むのには結構きついと思うのですが、学生の方は皆さん日経新聞を読むのですか?
内藤:本気で就職活動に取り組んでいる人は読んでいますね。
柴山:本当に意味を理解して読んでいるのですか?
内藤:多分、そこまで読み込んでいる人はいないかもしれないです。
一面と社説ぐらいしか読まない人もいるとは思います。
柴山:日経新聞が読めるようになることは、1級の勉強をすることによって得られるメリットの1つだと思います。
内藤:本当に実務に役立つ知識だと思います。
柴山:新聞以外にも就職情報を得るためには何を活用していましたか?
内藤:IR情報なども見ていました。
柴山:就職活動をしている人たちはみなさんIR情報を見ているのですか?
内藤:「有価証券報告書は見たほうがいい」と学校でも言われていますので、見ている人は多いと思いますが、きちんと見ているかどうかは人それぞれだと思います。
柴山:情報量が多いからどこを見ていいかわからないですよね。
内藤:わからないです。
なので、IR情報は大ざっぱに把握して、決算書を見て、ROEなどの指標などから、企業の特徴を理解するようにしています。
柴山:ROEという言葉が大学生の口から出ることがすごいですね。
内藤:経理を目指している人はそのあたりも勉強していると思います。
会社のことを数値の面からしっかり分析して、詳しく知っていることが評価されたので内定をもらえた部分もあります。
柴山:上場企業の場合は1級の論点がたくさん出てきますから、やはり1級の知識を持っていて良かったですね。
内藤:1級を勉強しなければ連結のこともわかりませんでしたからね。
柴山:日経新聞が読めるように、就活生向けに1級レベルの講座をやったら受講生が集まるかもしれませんね。
内藤:たしかに、ニーズはあると思います。
柴山:経理を志望している他の人たちは、実際に経理の知識がどれくらいあるのかということはわかりませんでしたか?
内藤:ほとんど個人面接でしたので他の学生と直接会う機会はほとんどありませんでしたが、税理士や会計士を目指している一部の人以外で、細かい知識までやっている人はいませんでした。
柴山:今回は経理での採用ということですが、面接ではどのようなことを聞かれたのですか?
内藤:簿記1級を取得した理由はどの段階でも触れられました。
柴山:やはり1級合格はインパクトがあるのですね。
内藤:多分、不思議な点が多かったから聞かれたというのもあるのだと思います。
柴山:なぜ不思議だと思われたのでしょう?
内藤:サークルやアルバイトと並行して難しい資格に挑戦したことが気になったのだと思います。
柴山:1級に合格したということは、それだけで「相当努力をした」という証明になるので、採用担当者から見たら印象が良いのだと思います。
内藤:知識自体ももちろん重要ですが、それ以上にそこまでの努力の部分が評価されたような気がします。
柴山:まさしく、難関資格を取得することのメリットは、資格自体のブランド以外にも、合格をするまでの忍耐力や計画性や努力をアピールできるというところにあると思います。
1級を受験した理由を聞かれて、どのように答えたのですか?
内藤:今まで、スポーツや大学受験などで自分なりに高い目標を設定して頑張ってきましたが、その目標を達成することができずに自信を失っていたので、自信をつけるためと、さらに、役に立つ資格だと思って1級を受けたと話しました。
柴山:1級に合格したときには1日どれくらい勉強していましたか?
内藤:平均3・4時間ぐらいだと思います。
柴山:勉強期間はどれくらいでしたか?
内藤:講座を受けてから7・8か月ぐらいです。
柴山:やはり、面接官は1級に合格するまでのプロセスを見ているのですね。
内藤:そうだと思います。
柴山:他に面接で印象に残った質問はありますか?
内藤:「うちの会社の財務諸表を見て何を感じたか」というような質問をされたのは驚きました。
柴山:あらためて振り返ってみて、1級に合格したこと、あるいは、1級の勉強をしたことによってどのようなメリットがあったと思いますか?
内藤:まず、自信がついたことと、周囲からの評価が変わることと、目標に向かって自分で計画を立て、実行できるようになったことです。
柴山:いわば、「成功するためのノウハウ」が手に入ったということですね。
将来は、どのような仕事をしてみたいですか?
内藤:社会を経験していないので全くわからないですが、会社の将来の方向性を決めるような提案ができるようになりたいと思っています。
柴山:意思決定とか、コストダウンとか……
内藤:あとは、予算実績の差異分析などもやってみたいです。
柴山:連結などはどうですか?
内藤:「管理会計の目標を達成するためには、会社全体のことを理解しなければいけないと思うので、連結決算も経験したい」というようなことも面接でお話しました。
柴山:最後に、将来のビジョンを教えてください。
内藤:連結決算などの、上場企業ならではの経理をしたいと思っていて、その後に会社の戦略に携われるようになれたらいいなと考えています。
柴山:応援しています、ぜひ頑張ってください。
内藤:頑張ります。
柴山:今回は内藤さんをお招きして、1級合格者の就職までの成功体験談をお伺いしました。
ぜひみなさんも参考になさってください。
今日はありがとうございました。
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