柴山政行氏(以下、柴山):月次試算表の作り方や読み方が少しずつわかってきましたので、その知識を使って、こんどはキッズベーカリーの月次試算表を見てみようと思います。
店主としてのケイイチくんはどんな商売をしているのでしょうか。
そのようなことを確かめてみましょう。
進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
そして、この番組を見ているあなたも、わかりづらいところがあったら、繰り返し見て勉強していきましょう。
昨日は、もかさんとりょうたくんに、あるお店の月次試算表を作ってもらいました。
ケイイチくんが営業を終えた後に、2人と同じように、日々集計した日計表を1か月分まとめて作った月次試算表がこちらです。
柴山:もかさん、りょうたくん、この表からどんなことがわかりますか?
もかさん(以下、もかさん):結構儲けているなと思います。
柴山:配達売上と店舗売上を足すと1,307,000シバぐらいになりますよね。
りょうたくんはどう思いますか?
りょうたくん(以下、りょうたくん):ケイイチくんは儲けすぎですね(笑)
柴山:現金のあたりを見て気付いたことはありますか?
もかさん:60,000シバしかありません。
柴山:では、普通預金はどうですか?
りょうたくん:2,723,800シバあります。
もかさん:すごいですね。
進行:ところで、この表を見て、買掛金と売掛金の部分で何か気付くことはありませんか?
もかさん:売掛金の右側の月中取引高にも数字があります。
柴山:このような形は今まで見たことないですよね。
進行:買掛金も売掛金も、逆側の月中取引高にも数字が入っていますが、これは2つとも「後払いだった」ということが関係しているのでしょうか?
柴山:少し関係あります。
竹とんぼのTの字を思い出していただきたいのですが、たとえば、喫茶ABCに対する配達売上が6月に525,000シバあったので、売掛金の左と配達売上の右にそれぞれ525,000と書きます。
一方、6月の仕入は365,000シバだったので、仕入の左と買掛金の右にそれぞれ365,000シバを書きます。
ここまではわかりますよね。
そして、ここから注意して欲しいのですが、買掛金と売掛金は、次の月にもらったり払ったりする約束でしたよね。
ですので、たとえば7月10日に普通預金に掛け代金が入ってきたとすると、普通預金の竹とんぼの左側に525,000と書きます。
複式竹とんぼは左と右がペアにならなければいけないので、もう1つの竹とんぼの右側にも金額を書く必要がありますが、どの竹とんぼに書くかわかりますか?
もかさん:売掛金です。
柴山:そうです。
売掛金の右側に書くのです。
売掛金という権利は、増えた場合は左に書きますよね。
では右に書くということは、売掛金はどうなりましたか?
りょうたくん:減りました。
柴山:そのとおりです。
6月30日にあった売掛金525,000が7月10日に525,000減ったので……
りょうたくん:プラスマイナスゼロになりました。
柴山:そういうことですね。
これで、「貸し」がなくなったということです。
いくら貸しが残っているのかをきちんと管理するために、掛け代金をもらったときには売掛金の右側に金額を書いて、売掛金の金額を消しておくのです。
ということで、試算表を改めて見てみると、売掛金の右側の月中取引高に書いてある525,000という数字は、竹とんぼの右側に書いた525,000ということになるのです。
進行:前月分の掛け代金が今月入ってきたので、それをチャラにするために逆側に書いたということですね。
もかさん:なるほど。
柴山:権利は左側に金額がくるので、反対側に金額を書くことによってチャラにするということです。
一方、買掛金のような負債の場合は右側に数字がくるので、金額を減らす場合には左側に数字を書きます。
表を見ると、買掛金の右側の前月末残高に365,000と書いてありますが、この買掛金は今月支払ったので、反対側の左に365,000と書いて、消すのです。
何となくイメージは湧いてきましたか?
もかさん・りょうたくん:はい。
進行:売掛金や買掛金の反対側にも数字が入ることを勉強したところで、キッズベーカリーの月次試算表を完成させてみましょう。
一部が空欄になっているので、その部分に数字を入れて、キッズベーカリーの月次試算表を完成させてください。
では、スタート。
…では、答えを見せてください。
2人とも左右の合計が6,072,400シバとなりました。
柴山:左右の数字が合っているということは、書き間違いがないと予想できます。
試算表を見るときには、まず売上、現金・預金、費用のあたりに注目して、どれくらい儲かったのかを確認するのがポイントです。
自分のお金に例えるなら、財布のお金と、給料の額と、生活費にいくらかかったかを気にするようなものです。
ここまで学習したような計算方法がわかれば、試算表の作成ができるようになります。
柴山:1番目、売掛金を回収したら、売掛金の竹とんぼの右側に金額を書きます。
2番目、買掛金の支払いをしたら、買掛金の竹とんぼの左側に金額を書きます。
3番目、当月末の売掛金や買掛金の残高は、通常、その月の新たな掛け売上や掛け仕入の金額と同じになります。
進行:今日は売掛金と買掛金の左右両方に数字が入る理由がわかりましたが、学習してみてどうでしたか?
もかさん:最初は売掛金と買掛金の意味がまったくわかりませんでしたが、今はきちんとわかったので、次はまっさらな状態から試算表が作れると思います。
柴山:すごい自信ですね。
進行:では、次は勘定科目なしの状態から作ってもらいましょうか(笑)
もかさん:それはまだ、もう少し待ってください(笑)
柴山:佐竹さんもなかなか厳しいことを言いますね(笑)
明日は、これまで学んだ知識をもとにして、試算表から何かわかるのかということを引き続き勉強していきます。
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