今回のお話も、私が公認会計士の受験生時代にやって、理論科目だけではなく計算の勉強でも助けられた経験があるということについてです。苦手なところというのは、そのテーマの大事なキーワードの意味がわかってないことが多いのです。
キーワードの定義が曖昧だから、曖昧な状態の連鎖反応でだんだん本当にわからなくなってしまうのです。
したがって、そのタイトル、テーマ、領域の論点の重要キーワードをしっかりと理解することです。
言葉の定義が曖昧な人というのは、なかなか仕事も勉強も上手くいきません。
私が受験生時代から行っていたことは、定義をしっかりするということです。
2級の勉強をされている方もいるかもしれないので、1級と2級に共通する論点をお話しますと、「のれん」という言葉があります。
これについて、苦手にしている方が結構多いのです。
特に1級で苦手にしている方が多いのですが、実は、のれんというのは、2級ではM&A、つまり、お金を払ってある会社や事業を買った時ののれんをやるのですが、日商検定1級になると、お金を払って買うだけではなくて、連結といって、その会社の株式を50パーセントを超えて買うと支配したということになって、連結ということをします。
子会社の財務諸表を合算したときにのれんが出てきます。
したがって、1級の場合は、お金を払って買収したケースと、その会社の株をたくさん買って、子会社として支配したケースの2つのケース、つまり、連結と現金による買収についてのれんが出てきます。
のれんが苦手な方が多いのですが、こういった形があります。
定義を書いて、そして展開してみます。
のれんの話ではありますが、1級の内容も少し入ってくるので、2級を勉強中の方はあまり気にしないでください。
のれんについて、漠然とした形でイメージしている方が多いので、のれんそのものの定義をしてみます。
のれんとは、「買収先の企業の」「純資産と買収に要した対価との」「差額である」
この3つがポイントです。
定義の中から、どれがわからないのかを探して、その部分にアンダーラインを引きます。
たとえば、このなかで、純資産がわからないとしたら、その部分にアンダーラインを引いて、仮にAとします。
そして、対価がわからない場合はBとします。
さらに、差額にもアンダーラインを引いてCとします。
このABCの3つをしっかりと理解できれば、のれんについては理解が進むだろうと考えられます。
そうしたら、まず、1個1個のパーツについて展開をします。
まずは定義を書いて、定義のどの部分がわからないのかを考えるというやり方は、特に理論の勉強に効果的ですし、計算にも効果的です。
では、純資産とは何かということですが、買収先の子会社などの資産から負債を引いたものです、しかも、ポイントは時価であることです。
時価で評価すると、1級を勉強している方の場合、時価評価差額というものが出てきます。時価で評価しているから時価評価差額が出るのだというふうに、論点に対して理解が深まります。
子会社や相手の会社の財産から、借金などを引いた差額が株主の取り分です。
株主の取り分を受け入れて、それに対して払ったお金、つまり買収代金であるとか、購入した子会社株式の額の金額です。
これは何を言っているのかというと、仕訳で考えると、たとえば貸方現金110 借方子会社株式110、子会社株式110という資産がありますけれど、その一方で現金は110払っています。
要するに支払い金額だと考えていただければ良いです。
対価とは何かというと、買収代金のある貸方現金なのです。
貸方現金で借方諸資産、貸方諸負債とやるのは2級で、1級の場合は連結が関係するので、子会社株式を買います。
子会社株式という資産が借方増えて、貸方現金を払います。
現金を払っているところが対価なのです。
110の現金を払って、受け入れた純資産が100だったらどうですか?
たとえば、資産が300、負債が200、差し引き100の純資産を買い取って、払ったお金が110だった場合は10の差が出ますので、これがのれんなのです。
このように考えればいいのです。
純資産が100で、支払対価が110で、プラス10です。
10だけ余計に払っている場合は無形固定資産になります。
このようにテキストを整理します。
あるいは、逆もあります。
たとえば、対価が95で、受け入れた会社の純資産が100の場合は5のマイナスになります。
これは安く買えたと考えますので、特別利益という話になります。
このあたりの理論は日商検定1級で出たことがあるのですが、のれんの無形固定資産のあたりは割と2級でやっています。
買収代金で払った貸方現金が110で、借方諸資産が300、貸方諸負債が200だったら差し引き100になります。
100のものを時価で受け入れて110払ったらのれん、というように、アンダーラインを1個1個、定義のキーワードを見ていくのです。
そうすると、差額とは何かというと、今回の事例でいうと、対価は110に対して純資産は100なので、10だけ余計に払っています。
余計に支払った部分が無形固定資産の取得だと考えられるのです。
あとは、これに対して20年の償却とかがあります。
このようにどんどん定義を展開していくと、定義の周辺がすべてテキストのノートになっているのです。
これは結構使えます。
だから、定義を中心に、定義のパーツをどんどん展開していくやり方をすると、あなただけのオリジナル弱点補強ノートになります。
私はこのようなやり方でよく勉強しました。
わからないのは一部の言葉の定義だけなのです。
事例でいくと、純資産、対価、差額という部分のイメージが掴めていないから、のれんの全体がわからないと思ってしまうのです。
そういう場合は、パーツに分解して、1つずつ言葉を吟味して、1つずつ潰していけばいいのです。
これを、電車の移動中や隙間時間に見直すだけで苦手論点がどんどん削れていきます。
ぜひ、困ったら、定義を書いて展開してみてください。
定義の中の、1つ1つの言葉でわからないものだけをピンポイントで調べていくと、苦手論点が自力で解決できるようになります。
これは、税理士の財務諸表論や公認会計士の理論や簿記1級の理論で役に立ちます。
2級でも、損益分岐点や、特殊商品売買や、委託販売など、わかりづらいところでこの方法を使って克服できます。
委託販売がわかりづらいと思ったら、「委託販売とは」という定義を、テキストから抜き出して書いてみるのです。
1つ1つの言葉を吟味して、わかる言葉とわからない言葉を選別して、わからない言葉には最もわからないものから2つ3つを優先的にアンダーラインを引いて、1つずつ自分で説明を加えていくのです。
ピンポイントに定義の中のわからないところだけを説明するように調べてみてください。
1個か2個のキーワードがわかると、一気に理解が進むことがありますので、困ったらやってみてください。
でも、あまり時間をかけてやり過ぎないようにしてください。
少しやって20分30分と時間をかけてもわからない場合は先に進んでいいです。
わかったつもりで先にいくのです。
どうしてもやってみたいものについては、1個2個やってみるといいです。
何回やってもわからなかったり、どうしても苦手なところは、このように考えてみるのも、苦手を得意に変える1つのコツです。
こればかりやっていると回転が遅くなるので、どうしても気になるときには、この方法をやってみてください。
私はいつもあなたの1級合格を心より応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。
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