柴山政行氏(以下、柴山):使っている設備が毎年一定の金額で減っていくということは学びましたが、今度は、それを帳簿に書き写す作業をします。
進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
今回はさっそくお勉強からです。
財産(金・物・権利)が減ったときの書き方についてですが、これは復習も兼ねているので、2人とも今までのことを思い出しながら答えていってください。
それでは、柴山先生お願いします。
柴山:では、例題です。
「文房具を買って、現金1,000シバを支払った」
これは簡単ですよね。
現金の竹とんぼの右側に1,000と書いて、消耗品費の左側に1,000と書きます。
では、次です。
「今月分の家賃50,000シバが、普通預金口座から引き落とされた」という取引はどう書くでしょうか。
もかさんに答えてもらいましょう。
もかさん(以下、もかさん):普通預金の竹とんぼの右側に50,000シバを書いて、支払家賃の左側に50,000シバと書きます。
柴山:正解です。
支払家賃の左側に書く理由ですが、50,000シバを払うことでその部屋に住めるということで少し良いことがありました。
なので、支払家賃という費用の左側に書きましょうということでした。
では、次の問題はりょうたくんに答えてもらいましょう。
「100万シバの自動車を、路上駐車していたら盗まれてしまった」という取引を書いてもらいたいのですが、これは少しわかりづらいので、分解してみます。
まず、自動車の勘定科目はなんでしたか?
りょうたくん(以下、りょうたくん):何でしたっけ……わかりません。
柴山:では、もかさん、助け船を出してあげてください。
もかさん:車両です。
柴山:そうですね。
では、車両は盗まれると、増えますか?減りますか?
りょうたくん:減ります。
柴山:減るということは、左右どちらに書きますか?
りょうたくん:右側です。
柴山:そのとおりです。
車両の右側に100万と書きます。
では、車両の金額が減るので、相手の竹とんぼはどちら側に金額が入りますか?
りょうたくん:左側です。
柴山:そうですね。
さて、問題は勘定科目ですが、これは「盗難損失」となります。
今やった3つの内容に共通しているのは、財産が減ると、別の損失または費用の名前の左側に金額を書くということです。
財産が減ると、費用(または損失)になるのです。
今までは、良いことがあったら左に書くと覚えていたと思いますが、「良いことがなくても、しようがないから入れておこう」ということもあるのです。
大きなルールとしては、財産が減ったら費用になると思っておけばいいのです。
費用の90パーセントぐらいは、家に住めたり、タクシーに乗れたりという嬉しいことですが、なかには、泥棒に盗まれてしまってしまったときの費用も1割ぐらいはあるということです。
そのような特殊事例を今回は学んだと思ってください。
進行:財産が減ったら費用になるということはわかりました。
ということで、そのルールを頭に入れて、昨日のおさらいをしましょう。
400,000シバで買った自動車を耐用年数の6年で割ると、1年あたり66,667シバずつ価値が減っていくと考えられます。
毎年同じ金額ずつ減っていくことを「定額法」といいます。
定額法でこれを計算すると、400,000シバで買った自動車の価値は、1年後に333,333シバに減ると考えられます。
この数字を帳簿に書けば良いのかを、柴山先生に説明してもらいましょう。
柴山:車両を買ったときと、1年後の価値の書き方です。
1月1日に400,000シバを現金で支払って配達用の自動車を買った場合、現金の竹とんぼの右側に400,000シバを書いて、車両の左側に400,000シバを書きます。
これは1月1日の時点での新品の価値です。
そして、1年使ったら古くなりますので、400,000では売れません。
ですので、400,000を6年で割って価値がゼロになるという、定額法で計算します。
400,000シバを6で割ると66,667シバ(小数点以下切り上げ)になって、その分だけ価値が減るので、車両の竹とんぼの右側に66,667と書きます。
財産が減ったら費用になりますが、費用の名前はとりあえず後にして、まずは左側に66,667記入します。
費用の名前をまだ言っていませんが、とりあえず、費用が発生するということだけわかっていただければ良いです。
進行:この名前は何というのでしょうか?
柴山:それは、「減価償却費」という名前です。
ケイイチくんも「漢字ばかりでお経みたいだね~」と呑気に言っています。
昔、キッズBOKIをやっていたときには、「中国語みたいだね」と言っていた小学生がいました。
減価償却費という言葉の意味なのですが、これは言葉を分けてみるとわかりやすいです。
建物・車両・備品などの設備が古くなった分を、ある仮定(たとえば6年後にゼロになるなど)にもとづいて見積り計算をして、毎年の決算日の時点で費用にあげる項目です。
この説明の文章自体がお経のようですが、私はいつも「長い言葉は一口サイズに切って食べると食べやすい」と言っています。
言葉を細かく分解してみると、このようになります。
「減価」+「償却」+「費」です。
まずは「減価」の「減」という言葉を訓読みすると何と読みますか?
もかさん:「減る」
柴山:減価の「価」は価値の「価」なので、「価値が減る」というふうに考えます。
次は「償却」という言葉ですが、これは何かを消すという意味です。
「焼却炉」の「焼却」のように、何かを焼いて消してしまうというイメージでも構いません。
償却というのは、何かを消すという「消去」のイメージです。
ですので、減った価値を消す費用と考えれば、少しはイメージが湧いてきますね。
これを減価償却費といいます。
進行:というわけで、減価償却費は覚えましたか?
もかさん・りょうたくん:はい。
進行:ここで、練習問題です。
パソコン100,000シバの減価償却をしましょう。
図の空欄部分に、100,000シバで買ったパソコンを減価償却する際の金額と勘定科目を書き入れてください。
「1月1日に100,000シバの現金を支払ってパソコンを買った」「12月31日に、1年経ったので、その間に古くなった分の金額を見積ってパソコンの評価をしました。古くなった分の金額は4年後に価値がゼロになると考える。定額法で計算」という条件です。
では、スタートしてください。
…では、答えをお願いします。
2人とも頭が「減価償却費」で左側に25,000と書いてあります。
もかさんは備品の右側にも25,000を記入してくれていますね。
先生、どうでしょうか。
柴山:答えは、備品の右側に25,000を書いて、減価償却費の左側に25,000を書きます。
減価償却費は1年間の商売の通信簿を書くときに、とても大事なものになってくるので、これも書けるようになってください。
柴山:1番目、財産が減ると、費用が発生します。
2番目、車両などの設備が古くなった分の費用を「減価償却費」といいます。
3番目、100,000シバの備品を4年の定額法で減価償却すると、100,000シバ÷4年=25,000シバの減価償却費になります。
進行:今日の学習はどうでしたか?
もかさん:やはり、最初のほうが難しくて、後になると簡単になるという傾向がありますね。
りょうたくん:漢字が難しくて、竹とんぼの頭を書くだけでも一苦労です。
進行:先生、明日の内容を教えてください。
柴山:明日は第10週のまとめです。
今週は「決算日」という区切りの日に、1年に1回の商売の通信簿の読み方、そこに書き込むための設備の価値の計算の方法、「減価償却費」という勘定科目やその書き方について勉強してきましたが、それらの大事な点について、もう1度確認しましょう。
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