進行:柴山先生、これからよろしくお願いいたします。
進行役の佐竹美緒です、よろしくお願いいたします。
そして、一緒に勉強してくれるのは、もかさんとりょうたくんです。
2人ともよろしくお願いします。
柴山先生、最初はどんなことから勉強していくのでしょうか?
柴山政行氏(以下、柴山):まず、お店を始めようと思っても、明日からすぐに始められるものではありません。
そこで、最初の4週間をかけて、主人公のケイイチ君が開店をするまでの様々な準備などを確認していきます。
進行:もかさんとりょうたくんも、ケイイチ君になったつもりで一緒に考えてください。
今回は「お店を開くのに何が必要?」というテーマです。
主人公のケイイチ君は、自分の貯金30万シバでお店を始めることにしたのですが、ここで最初の質問になります。
お店にある商品を売って、買ってくれたお客さんからお金をいただくことを「商売」といいます。
では、その商売の目的は何かわかりますか?
もかさん(以下、もかさん):お金を儲けるためです。
りょうたくん(以下、りょうたくん):自分が美味しい料理をたくさん作れるようになるためです。
柴山:2人とも素晴らしい答えですね。
では、正解というわけではありませんが、一般的な答えを見てみましょう。
「営利」というのは、利益を得るということです。
利益というのは、儲けということです。
ケイイチ君が働く人として、世の中の人たちからお金をもらうということは、先程、もかさんが答えてくれましたね。
そして、お金をもらったら、そのお金はどうするのかというと、全部自分のために使ってしまうわけではなくて、必要なものを買ったりします。
働く人に給料を払ったり、材料を買ったりします。
色々なことにお金を使うのが1つ目です。
お2人に質問ですが、2人の得意なものは何ですか?
もかさん:とうもろこしを綺麗に食べることです。
柴山:すごいですね(笑)とうもろこしを綺麗に食べるところを見て幸せになれる人がいるかもしれません(笑)
りょうたくん:持っていったお金で収まるように計算して買い物ができることです。
柴山:お金の計算が得意なことを世の中に役立てることもできますよね。
2人とも色々得意なことがあるかもしれませんが、そのなかで世の中の役に立ちそうなことを、商品やサービスという形で提供します。
そうすると、それによって世の中の人たちが喜びます。
例えば、私は会計のお仕事をしているので、お金の計算をしてあげるというように、みなさんの得意なことで世の中の役に立つことをしているのです。
得意なことであれば、多少つらくても頑張れますよね。
得意なことに専念して、それぞれがみんな得意なことで世の中の役に立つという、「公共目的」というものも大事なのです。
進行:お金儲けも大切ですけど、そればかり考えても良くないということですね。
柴山:まずはサービスとして喜んでもらって、その次にお金が来るという感じです。
以上が2つの目的のお話です。
進行:「金は天下の回りもの」ということわざがありますが、私はこういうことを考えていたのですが……
柴山:このことわざを2人は知っていますか?
もかさん・りょうたくん:いいえ。
柴山:このことわざは何かというと、世の中に色々とお金が回っているというイメージです。
物を売ったり買ったりすることで、お金を人から人へやり取りするということです。
その回っているお金の一部がケイイチ君にも回ってくるということです。
その貯めたお金で、ケーキ屋さんという形でお店を始めましょうということです。
試験には出ないかもしれないけれど、「金は天下の回りもの」ということわざをぜひ覚えておいてください。
世の中にたくさんお金が回っているほうが豊かになりそうですよね。
お金が回っていないことを「デフレ」といいます。
もかさん:デフレは聞いたことがあります。
柴山:逆に、お金の動きが速くなることを「インフレ」といいます。
知らない人がいたら教えてあげてください。
進行:商売の目的や、お金が世の中をぐるぐる回っていくということはわかりました。
では、商売を始めるためには何が必要なのかということを、もかさんとりょうたくんに聞いてみたいと思います。
お店を始めるときに何が必要だと思いますか?
もかさん:売る物ですか?
りょうたくん:家ですか?
柴山:2人ともなかなか良いことを言ってくれましたね。
ここで、商売を始めるのに必要なものは何かということを見ていきましょう。
まず1つ目は、「人」です。
経営者や従業員という人たちが必要になります。
経営者というのは会社の社長さんです。
2つ目は、「物」です。
お店を開くためには場所が必要です。
それから、機械や自動車などの設備と、さきほどもかさんが答えてくれたように、材料も必要です。
売る物がないと困るので、商品も必要です。
そして3つめが、「金」です。
お金がないと、従業員に給料を支払ったり、必要なものが買えなくなってしまいます。
このように、「ヒト、モノ、カネ」という、3つの要素があるということを覚えてください。
進行:これをケイイチくんに当てはめてみますと、ケイイチ君は経営者なので、「ヒト」に関しては大丈夫ですよね。
「モノ」に関しては、場所は自宅の1階を借りたので大丈夫ですけれど、設備などはまだ無いという状態です。
「カネ」に関しては、貯めた30万シバがあるので、これも大丈夫だと思います。
ここから次はどうでしょうか。
柴山:まず、お金に関して、30万シバは自分で持っているのですが、それを自分の貯金箱や財布から出して、別なところに移さなければいけません。
例えば、りょうたくんの財布の中にお金があったら、それが自分のお金かお店のお金かわかりませんよね。
そういう場合はどうしますか?
りょうたくん:貯金箱に入れます。
柴山:でも、そうすると商品などの必要なものが買えなくなってしまいますよね。
だから、自分のお金と会社のお金を意識してきっちり分けなければいけません。
進行:ということは、ここでやることは、貯金箱から金庫に入れるということですか?
柴山:自分の財布から移して、お金を分けるということが大事なのですね。
進行:もう少しその部分を詳しく教えていただけますか。
柴山:ここは「資本」というお話になります。
こちらの画像をみてください。
個人としてのケイイチ君がお金を持っていますが、これは、消費の目的で持っています。
このままでは、好きなことに使ってしまいます。
もかさんは好きなことに使うとしたら、どんなことに使いますか?
もかさん:友達と一緒にディズニーランドに行くかもしれないです。
柴山:そうですよね。
でも、そうしたら、商品などが買えなくなってしまいますよね。
りょうたくんはどうですか?
りょうたくん:おもちゃを買います。
柴山:そうしたら、商売に必要なお金が無くなってしまいますよね。
このような、自分の手元にあるお金のことを「私財」といいます。
これを、お店用のお金として分けるのです。
そうやって分けておくと、お店のお金でディズニーランドに行こうとは思いませんよね。
お店の分として分けたお金で商品を買ったら、その商品をもっと高い値段で売るので、お金は増えますよね。
このように、増やすためにお店に置いておくお金を「資本」といいます。
資本の「資」というのは、財産のことです。
財産の元になるもので、元になるということは、増やす目的です。
私財から資本という性質に変わるのです。
進行:金庫を変えただけで目的が変わるのですね。
柴山:そうなんですよ。
ここは大人でも知らない人が多いと思います。
進行:それでは、さっそくお金を移したいと思います。
ここにケイイチ君の貯金箱があります。
そして、こちらにはキッズベーカリーの金庫があります。
ケイイチ君の貯金箱には10万シバが3枚入っていますが、これをキッズベーカリーの金庫に入れます。
柴山:これで、私財が資本になりました。
柴山:1番目、商売の目的は「公共」と「営利」です。
2番目、商売に必要なものは「ヒト」「モノ」「カネ」の3つです。
3番目、「資本」とは、増やすことを目的にしてお店に入れたお金のことで、個人の消費を目的とする「私財」と区別されるものです。
以上の3つになります。
進行:もかさん、りょうたくん、今日は第1回目の勉強でしたが、どうでしたか?
もかさん:簿記って難しそうなイメージがありましたが、ケイイチ君のこととか色々考えたら面白いと思いました。
楽しいです。
柴山:そう言ってもらえて私も嬉しいです。
進行:それでは、りょうたくんは?
りょうたくん:「ヒト・モノ・カネ」は絶対忘れません。
進行:柴山先生、明日の内容を教えてください。
柴山:明日は「お金が増えたらどう書くの?」というお話です。
お店の金庫にお金が増えたら、それを記録しなければいけません。
その記録の方法を学びます。
いよいよ、「帳簿」という、簿記の言葉の一部が出てきます。明日も楽しくお勉強しましょう。
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