柴山政行氏(以下、柴山):「費用」という言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、言葉の本当の意味はなかなか考える機会がありません。
お店でかかる費用にはどのようなものがあるのかを一緒に勉強していきましょう。
進行:今回ももかさん、りょうたくんの2人と一緒に勉強していきます。
開店資金の80万シバを使って商売に必要な設備を買い揃えてきたケイイチ君ですが、ふと、「設備のような大きなもの以外に、細かい日々の支払いや毎月の支払いはバカにならないな」と考えました。
さて、もかさんやりょうたくんの周りで、日々支払っているものや毎月支払っているものってどんなものがありますか?
りょうたくん(以下、りょうたくん):家賃です。
もかさん(以下、もかさん):水道代とか電気代などです。
進行:先生、こういう支払いのことを「費用」と言うのですか?
柴山:そうです。
以前勉強した「設備」というのは、比較的大きくて長持ちするものですが、電気代や家賃など、サービスを受けたときに日々支払う、細々としたものが「費用」になります。
もう少し詳しくみていきます。
お客さんからの売上を得るために支払ったお金にはどのようなものがあるかというと、たとえば、水道光熱費や文房具代や新聞代などの、細々とした支払いのことを費用といいます。
進行:費用という言葉の意味がわかったところで、費用にはどんなものがあるのか、2人に考えてもらいたいと思います。
思いつく限り書いてください。
……では、りょうたくんから書いたものを読み上げてください。
りょうたくん:食費、電気代、光熱費、水道代、ガス代、学校の旅行の代金、洋服代、塾の月謝、市役所から学校へのお金です。
進行:市役所から学校とは?
りょうたくん:「市役所から学校へ色々な費用を払っている」と先生が言っていました。
進行:では、もかさんお願いします。
もかさん:家賃、水道代、電気代、ガス代、材料、文房具、通話料金、食料、洗剤、ティッシュ、トイレットペーパー、服です。
進行:生活全般に必要なものですね。
柴山:費用に入れようと思えば、全部入りますね。
生活に身近なものというのは、商売でも使いますから。
驚いたのは、トイレットペーパーが出るとは思いませんでした。
ただ、事務所にもトイレットペーパーはありますからね。
色々挙げてもらいましたが、費用にはどのようなものがあるのかを改めて確認してみましょう。
まず1番目の内容としては、ノート、鉛筆、その他の文房具、コピー用紙、印鑑、はがき、切手、プリンターのインク、新聞、電池などがあります。
2番目は、電車代、タクシー代、クリーニング代、電気代、ガス代、水道代、宅配便、従業員の給料、設備の修理などもあります。
3番目に、家賃、駐車場代、リース代、レンタル料などがあります。
進行:3つに分けてあるのは、なにか理由があるのでしょうか?
柴山:費用の種類ごとに分けています。
1番目の費用は、普段使う細々とした物の購入代金です。
2番目の費用は、何かをしてもらったときのサービス代金です。
物を買うのではなくて、人に何かをしてもらうことを「サービスを受ける」と言います。
たとえば、タクシーに乗るとどのようなサービスを受けますか?
もかさん:歩かずに目的地に移動できます。
柴山:では、クリーニング代の場合はどうですか?
りょうたくん:服を出せば綺麗になって戻ってきます。
柴山:そうです、そうなると嬉しいですよね。
お金を払うことによって嬉しい思いをするというメリットがあるから、費用になるということを覚えておいてください。
3番目の費用は、他人から物を借りて使ったときの使用料です。
以前、レンタルのお話をしましたよね。
当然、タダで借りるわけにはいきませんので、何かを借りて払ったお金も費用になります。
このように3つの種類があるのです。
次に、「費用」は、先週勉強した「設備」と何が違うのかということを確認します。
設備については、投資とも言って、1回の支払い金額が大きくて、長期間継続して使い、将来の売上にも貢献するものが該当します。
一方、費用は消費とも言って、1回の支払金額が小さく、使った分だけ消えてなくなり、今の売上に貢献するものが該当します。
この違いを覚えていただければいいかなと思います。
では、このことを踏まえて、例題を出してみます。
これから言うものが「費用」なのか、「設備」なのかを答えてください。
プリンターのインクはどちらでしょうか?
もかさん:費用です。
柴山:では、プリンターは?
りょうたくん:設備です。
柴山:正解です。
では、自動車は?
もかさん:設備です。
柴山:正解です。
では、自動車を走らせるためのガソリンはどうでしょう?
りょうたくん:費用です。
柴山:正解です、完璧ですね。
これで何となくわかっていただいたかと思います。
柴山:1番目、「費用」とは、商売のために必要な物を買ったり借りたりした時の代金のことです。
2番目、費用には、普段使う物の購入代金、サービス料、使用料があります。
3番目、費用(消費)と設備(投資)では、金額の大きさ、使う期間、将来の売上への貢献に違いがあります。
進行:今日の内容はどうでしたか?
もかさん:費用と設備の違いがわかりましたが、シャーペンは費用と設備のどちらになるのですか?
柴山:長く使うのかもしれませんが、シャーペンを設備というのは無理がありますし、細々としたものなので、費用になります。
進行:りょうたくんはどうでしたか?
りょうたくん:今日は感想もないくらい難しかったです。
柴山:今日はちょっと疲れましたね、そういうときもあります。
進行:では柴山先生、明日の内容を教えてください。
柴山:明日は「文房具を買ったらどう書くの?」という、りょうたくんの得意な竹とんぼのお話になります。
2週目では自動車やパソコンなどの備品を買ったときの竹とんぼの書き方を学びましたが、明日は、文房具などの細かい費用が発生したときにはどのように書くのかということを学びます。
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