論点の足りないところは、例題の“落ち穂拾い”で十分間に合いますので、基本的に柴山式の効率学習のスタンスは、「例題と過去問」です。
後半の勉強は、8割ぐらいを過去問に割いてください。
過去問をやって、実践形式に慣れてください。
最近の出題は偏っているので、過去問で取り上げられていない論点は例題でフォローするという相互関係が最も合理的です。
それ以上の問題は、ほぼやる必要はありません。
過去問の取り組み方について質問を受けることが多いですが、過去問の取り組み方には初級編・中級編・上級編とあって、これに関しては小冊子などのガイダンスブックを作って、これに関してのセミナーをやってもいいぐらいだと思っていますが、まず、過去問は最初の段階が大事で、取り組みにはできれば2か月、最低でも1か月半は必要です。
最初の1か月ぐらいはほとんど出来ず、砂を噛むような思いをします。
そのときに、どのように取り組むかということをもう少し体系的にお話してみたいと思います。
今回は初級編ということでお話をしますが、まず、「初級」の定義をします。
どういう方が初級なのかというと、問題を見てみて40点いかない人です。
3割から4割以下の方です。
「何が望ましいか」「どうなっていたいか」という目標値を決めるのですが、実際に合格できる最低ラインを考えますと、望ましい状態の最低ラインというのは、過去10回から13回程度の過去問を、だいたいコンスタントに制限時間内で8割以上取れるのが最低ラインです。
本番というのは過去問と同じ問題が出るわけではないので、過去の問題で8割取れなければ、本試験で7割取るというのはありえません。
私であれば9割から満点を狙いにいきますが、最低8割を取ってください。
6月に合格した方も過去問で8割を取ることを目標にしていたみたいですが、私はもう少し目線を上げて9割、回によっては満点を取ってほしいです。
しかし現状は、最初はほぼ0点の人が多いと思います。
0点から40点以下の方は初級です。
初級の段階で時間を計って解くことは時間の無駄なので、こういうときには実践形式でやらないほうがいいです。
実践形式が一部導入できるのは中級以上です。
私の感覚では、中級というのは40点から60点の間で、上級が70点以上です。
初級の方は、過去問に慣れていないですし、基礎力にもかなりバラつきがある状況なので、まだ土台ができていません。
そういった状態の方はどうするのかというと、解くことを諦めてください。
時間内に解くのはやめましょう。
まずは慣れましょう。
コンセプトは「慣れる」ということです。
まずは、問題文を3回音読してください。
《次の資料に基づき、答案用紙の貸借対照表を完成させなさい》とか、《次の表に基づき、問1から問4の各問に答えなさい》とか、声に出して読み、まずは問題文を身体の中に入れてください。
とにかく音読してください。
そして、音読をしたら答えと解説を見てしまいましょう。
「なぜこのような解説になるのか」ということがわからなければ解けません。
だから、まずは解説をじっくり読んで、問題文と解説を行ったり来たりして、自分のわかっているところをどんどん消してください。
問題文をコピーして、わかるところはどんどん潰します。
そして、どこがわかってどこがわからないのかをチェックしてください。
わからないところにラインマーカーを引いて、そこを調べるという作業をコツコツ行います。
ただし、時間制限があるので、無制限にやってはいけません。
勉強時間は必ず1単位45分としてください。
なぜなら、1科目45分だからです。
ただ、実際には、商業簿記は60分で会計学は30分になりますが、工簿・原計は45分ずつなので、45分をワンセットでやってください。
45分を身体で覚えて欲しいです。
だから1回の勉強は45分を超えない範囲でやって、不十分でも次に行ってください。
なので、ダラダラやらないことです。
1問に丸1日かけるようなことはしないでください。
せいぜい1時間で1問ならば良いです。
どうせ全部できないので、時間制限を設けてください。
完璧に納得する必要はありません。
まずは回数をこなしてください。
初級の段階から「答えを埋める」という癖を付けて欲しいのです。
ということで、初級の方にやっていただきたいのは、問題文を読んで、解説をすぐに見て、どこが分かってどこが分からないかの確認をするということです。
テキストを確認したら、すぐに先へ行ってください。
完璧を目指しても、どうせできないレベルなのですから、あまり深く考えすぎて、完璧を目指してはいけません。
まずは「確認」に徹して、「答え見て埋める」ということを行ってください。
やっていくうちに分かってきます。
初級のときの取り組みが大事なのです。
実際に過去問を解いて40点もいかない場合は、問題文を読み込んで、解説を見て、分かるところと分からないところのチェックをして、答えを埋めるという作業を、1時間に1科目やってみてください。
集中して行うために、時間制限を設けてください。
ダラダラやってはいけません。
1科目は1時間以内にやってください。
不十分でも構わないので、時間が来たら次に進んでください。
このやり方を試してみてください。
私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。
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がんばろう日商簿記簿記1級合格、今回は「過去問の取り組み方・初級編」というテーマでお話をしたいと思います。
勉強の仕上げというのは、過去問をある程度完璧にするというところで実践力が身に付きます。