そして、左上が「Ⅰ資産」、右上が「Ⅱ負債」、右真ん中が「Ⅲ純資産」、右下が「Ⅳ収益」、左下が「Ⅴ費用」となる5つのエリアをつくります。
この5つは「簿記の5要素」といって簿記4級や簿記3級で学ぶことですが、この5要素を意識しながらT字を書くと非常に理解しやすいです。
そして、連結が苦手な方にも、1つの例として成果連結というのですが、未実現利益の控除、まずは棚卸資産の控除について非常に理解が進まなくて困っている人がいますが、これは期首を無視してやるとわかりやすいです。
期首というのは前期末の再現、いわゆる開始仕訳というのが出てくるので、まずは当期末の繰越商品と、これの内部利益の控除についてお話をしたいと思います。
まず、一般的には“仕入・繰商・繰商・仕入”をやります。
これは会計ソフトや実務でやるときには仕入勘定を3つに分けていて、最初はこれに戸惑うのです。
実務でも使うので、ここをまず覚えておいてください。
費用勘定は、仕入に関しては3つあります。
「売上原価(期首)」は、仕入勘定の期首の分と、仕入勘定の当期仕入と、仕入勘定の売上原価です。
仕入勘定というのは、決算書では売上原価になるので、売上原価として同じ意味です。
簿記上の仕入勘定というのは、購入する段階では仕入高なのですが、決算整理後は売上原価という意味に変わります。
仕入勘定というのは売上原価という意味も入っているのですが、簿記の中級レベルまでは最初にここで混同してしまうのです。
よくあるのが、試用品販売とか委託販売のときに、試用品や委託品を売ったときには「借方売掛金、貸方試用売上」と仕訳した後に、たとえば、「借方仕入、貸方試用品」というように、試用品や積送品を仕入勘定に振り替えるところが分からない人がいるのです。
これは何故かというと、仕入勘定の理解が不十分だからなのです。
仕入勘定というのは当期仕入高ではなくて、本来は売上原価という意味なのです。
それを、ただ「仕入」という言葉を代用しているだけであって、本当は売上原価でやるべきなのです。
ただ、ある意味面倒なので、そこは省略して仕入勘定でシンプルにやっているものだから、簿記3級や簿記2級の方、あるいは簿記1級でも商品売買が苦手な方が、「仕入勘定は仕入高」と勘違いしているのです。
仕入勘定は「仕入れた分」という意味ではありません。
スタートの段階で教わっている人がいますけれど、これは間違いです。
仕入というのは、最後は売上原価勘定なのです。
とすると、売上原価(期首)の振替と、売上原価(当期仕入)と、売上原価(期末)が分かれば簡単なのです。
例えば、「貸方買掛金、借方仕入」と仕訳するときに、借方仕入11,000として、これは構わないのです。
一般の簿記でやる3分法というのは、いったん「貸方買掛金11,000、借方仕入11,000」とやって、期末の決算整理で「貸方仕入2,200、借方繰越商品2,200」というように、仕入勘定でやるので、分からなくなるのです。
実務でも仕入勘定は使いますが、期末商品棚卸高とかP/L勘定に合わせてやるケースが多いのです。
弥生会計などは仕入勘定ではなく、「当期仕入高」や「期首商品棚卸高」や「期末商品棚卸高」というように、名前が違っているから最初は戸惑うのですが、これは仕入勘定です。
それぞれ「仕入勘定の期首商品棚卸高」「仕入勘定の当期商品仕入高」「仕入勘定の期末商品棚卸高」というように読み替えればすぐに分かります。
しかし、受験簿記上では面倒なので、「仕入」勘定1本でやるのです。
学問上は「貸方買掛金、借方仕入」でいいのですが、実務上は「貸方買掛金、借方売上原価(当期仕入高)」ですので、これも覚えておくといいです。
そうすると連結がわかりやすいのです。
最初に連結で分からないのは、「借方仕入200、貸方商品200」とする場合、損益計算書表示では仕入勘定を使わずに売上原価でやるので、「借方売上原価200、貸方商品200」というのがピンとこないで丸暗記している人がいますが、分かってしまうと簡単なのです。
期首の仕入高は今回無視します。
当期仕入高の仕入が、「借方売上原価(当期仕入高)11,000、貸方買掛金11,000」とします。
そのときに、連結決算上、親会社から仕入れた内部利益というのは、本支店会計と同じように公表用の連結財務諸表では内部利益を控除しますが、これを「未実現利益」といいます。
だから、本支店会計が分かっているとさらに分かりやすいのです。
親会社から仕入れたときに10パーセントの利益を付加したとして、親会社の原価は10,000だけれども、子会社には11,000で売ります。
そうすると、「貸方買掛金11,000、借方仕入高(売上原価(当期仕入高))11,000」となります。
売上原価(当期仕入高)は、これでおしまいなのです。
仕入勘定のなかで差し引きするから分からなくなるのであって、3つの勘定科目があると思えばいいです。
ということは、当期仕入高は11,000なのです。
これを後で連結決算上は相殺消去します。
もう1つ問題なのは、実務上は売上原価(期末)というのは貸方金額で、費用のマイナスなのです。
そもそも、期末の商品棚卸高というのは売上原価のマイナス項目なので、貸方に出てきていいのです。
問題は、この2,200が、親の仕入ベースだと2,000のはずなのです。
200は内部利益です。
そうすると、「貸方売上原価(期末商品棚卸高)2,200」ということで、貸方費用を引きます。
そして、「借方繰越商品」とやるから、どう見ても、この「貸方期末商品棚卸高2,200」という記帳と「借方繰越商品2,200」という記帳は200過大です。
ここを直すためにどうするかというと、未実現利益を控除するために、200マイナスして残高を2,000にします。
商品勘定の貸方を200にして、2,000にします。
では借方はどうするかというと、引きすぎている売上原価(期末)勘定の2,200を修正するために、売上原価(期末)の借方を200とします。
引きすぎているものを戻すということで、200を戻して、期末商品のマイナス項目も2,000に直します。
全体で見ると、「借方商品2,200、貸方売上原価(期末)2,200」というように、引きすぎているものを戻しただけです。
つまり、連結決算上は、「貸方商品200、借方売上原価(期末)200」となります。
売上原価のプラス項目の部分が苦手な人が多いのです。
売上原価のプラスというのは、私も最初の頃は分からなかったのですが、引きすぎている200を「借方200」として訂正しただけです。
引きすぎた200を訂正したと思えば簡単です。
そして、これが翌期首の期首商品棚卸高にも生かされますが、これはまた別の機会にお話します。
今回は期末商品棚卸高で理解をしてください。
個別決算上は内部利益が含まれている状態でもいいのですが、連結の場合は親子間の取引はなかったことにするので、親と子の間で商品を移動したときに内部取引で付加した未実現利益はありません。
親会社が仕入れた原価で表示しなければいけないので、期末商品は2,000にしなければいけないのです。
こういった、連結決算上の未実現利益の控除は、期を跨いで翌期首になるとさらに分からなくなりますが、期首商品の振り替えも柴山式でやってみるとスッキリ分かります。
公認会計士講座の上級基礎(日商1級レベル)でもこれを徹底的にやったら、受講した方の8割はできるようになって、4年以内に受かっています。
私は5人とか10人の少人数教室で教えていますが、このように柴山式の元帳を使ってまずは理解してもらうというやり方を会計士講座の財表でもやっています。
とにかく、柴山式総勘定元帳は連結決算ですごく威力を発揮します。
もちろん、仕訳も大事で基本なのですが、理解の補助ツールとして柴山式総勘定元帳を使っていただくと非常に役に立つということをご理解ください。
今回は、いわゆる「仕入勘定」を「売上原価(期首)」「売上原価(当期仕入)」「売上原価(期末)」と分けて考えると非常に分かりやすいということを、柴山式総勘定元帳に関連づけてお話しました。
みなさんの連結の勉強の参考になれば幸いです。
私はいつもあなたの簿記1級合格を応援しています。
頑張ってください。
以上で今回のお話を終わりにしたいと思います。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。
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