孫子全13章70テーマのなかのテーマ4について一緒に読んでみたいと思います。
「算多きは勝ち、算少なきは敗る」というテーマです。
「夫れ未だ戦わざるに廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。
未だ戦わざるに廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。
算多きは勝ち、算少なきは敗る。況んや算无きにおいてをや。
吾れ此を以て之れを観るに、勝負見わる。」
ここで大事なのは「廟算」「算」という言葉です。
「廟算」とは、「詭道(相手を欺く行為)」によってその「算」をいかに高めうるかを検討することです。
では「算」とは何かというと、「五事七計」ということを以前にやりましたが、5つの要素と7つの項目で相手と自分達の戦力の差を評価したもので、これを高めることが「算が多い」となります。
「五事七計」についておさらいすると、「五事」は「道」「天」「地」「将」「法」で、より具体的な7つの算定項目には「主」「将」「天地」「法令」「兵衆」「士卒」「賞罰」がありました。
こういったものの総合的な比較検討によって、相対的な評価を高めることが「算多き」です。
それを事前に見積もることが「廟算」です。
「『五事七計』によって得られた相対的な評価が高ければ勝ち、低ければ負ける」という解釈の仕方もあります。
しかし、私が通信講座で学んだ「孫子塾」という所の解釈だと、「兵は詭道なり」という言葉の「詭道」という言葉を受けて、スタートの段階の「五事七計」だけで本当の勝敗が決まるわけではなくて、臨機応変の作戦によって高めることができるということです。
私は「スタートの段階で五分五分か若干劣っていた状態でも」というふうに解釈しました。
「詭道」を上手く活用することによって、勝つチャンスを得ることができる、高めることができるかどうかの検討を含めて「廟算」と私が受けた講座では解釈しています。
「スタート時点での『五事七計』が優れている」という感覚もあるかもしれませんが、プラス、そのあとの臨機応変の策(詭道)によってその算を高められるのではないかという検討までした上で「算多ければ勝ち」というイメージです。
詭道を用いて算を高めるというところまで意識しているのではないかということが非常に深いです。
「その後の臨機応変な詭道による策によっても勝算を高めることができる、ならば勝負が見われてくる」というふうに、スタートの段階の「五事七計」とその後の「詭道」を一体で見ているというのが面白いです。
いろいろな解釈があると思いますが、みなさんなりに考えてみてください。
ぜひご参考になさってください。
以上で今回のお話を終わりにしたいと思います。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
PREV
「仕入」勘定と「繰越商品」勘定の関係(簿記3級、2級、1級)
|
NEXT
忘れることを恐れずに、何度でも繰り返そう!
|