今回は「連結超入門」の5回目ということで、非支配株主持分というテーマについて勉強してみたいと思います。
今回のお話は入門レベルから一歩踏み込んだ内容で、11月に行われる第147回の簿記2級試験で出題されてもおかしくない、本試験レベルに近い論点です。
ですので、第1回~第4回までの動画を事前にご覧になると今回の話がより分かると思います。
前回までは100パーセント出資子会社という最も分かりやすいケースでお話をしましたが、今回は一部出資(残りは他人の資本)のケースを勉強するので、より実践的で実務に近い内容になっています。
では見ていきましょう。
(例1)A社は600万円(60%)を出資して、X社を設立した。残り400万円(40%)はB社が出資した。
今回はA社以外にも、A社とは全く何の関係もない他人のB社と話し合って、出資しあって子会社を設立しました。
ただ、A社のほうが若干多めに支配しています。
50%を超える出資をしているほうが形式的には支配している親会社となります。
従って、持株比率が40%であるB社は支配まではしていないので、B社にとってX社は子会社とはなり得ません。
厳密には「関連会社」となって、重要な影響を与えている状態となります。
20%以上50%以下の持株比率の場合は「関連会社」となって、支配に準ずる状態となるのです。
関連会社のお話はまた別の機会にやるとして、今回は60%を出資した親会社であるA社の立場とX社の合算B/Sを見てみます。
まずA社のB/S(出資前)ですが、借方は現金1,700、土地800で合計2,500の資産を持っています。
一方、貸方は資本金1,500と利益剰余金1,000で合計2,500の資金を持っています。
2,500の資金を現金1,700と土地800の状態で持っていました。
そこから子会社設立のため600万円を出資しましたので、現金を600減らして1,100になります。
そして、子会社株式という資産勘定が増えました。
仕訳は(借方)子会社株式600 (貸方)現金600です。
では例2としてX社設立後のB/Sを見ていきます。
A社のB/Sは、借方が現金1,100、土地800、子会社株式600で、合計2,500です。
設立前と比べて現金は1,700から1,100に減りましたが、その分子会社株式600が新たに出現したので、総資産は2,500で変わりません。
一方、B社はどうなっているかというと、借方は現金600(A社から)で、貸方は資本金600(A社出資分)です。
ちなみにA社における子会社株式600とX社におけるA社から受けた資本金600は重複しています。
この600の部分は第4回目までお話してきた相殺の対象となりますが、残りの資本金400は別の名前に変わります。
それでは例3を見てみます。
A社の連結1年度目(期首)の合算B/Sですが、借方は現金2,100(A1,100+X1,000)、土地800、子会社株式600で、合計3,500です。
合計が3,500になる理由ですが、A社の資産が合計2,500で、X社の資産は1,000なので、2,500+1,000で3,500になります。
現金はA社の1,100とX社の1,000を合わせて2,100になります。
それを踏まえて続けて見ていきます。
気をつけてほしいのは資本金で、ここは2,500と増えていますが、内訳はA社の1,500とX社の1,000です。
X社の1,000の内訳をさらに分析すると、1,000のうちA社から引き受けた出資が600で、これは子会社株式600との相殺対象になりますが、問題は残り400で、これはB社から受け取ったものなので完全に消すことができません。
資本金という名前はなくなり、「非支配株主持分」という名前に置き換わります。
40%の分は非支配株主持分となるのが今回の最大のポイントです。
まずは資本金2,500のうちXの1,000を消します。
資本金1,000のうち600を子会社株式600と相殺します。
問題は残りの400で、これは「資本金」から「非支配株主持分」に名前を変えます。
ですから、「子会社株式」が減ると同時に「非支配株主持分」という新たな項目が出現しました。
従って、資本金は2,500から1,500に減りました。
1,000減少したうちの600は子会社株式600との相殺で減っているので、連結B/Sの資産は3,500-600=2,900になっています。
そして、残り400については資本金から非支配株主持分に変わっています。
この仕訳は(借方)資本金1,000 (貸方)子会社株式600 非支配株主持分400となります。
これは次回の試験で最も狙われやすい部分ですので、この仕訳を10回書いて覚えてください。
ちなみに、正式名称は「子会社株式」ですが、簿記の学習上「X社株式」「S社株式」のように子会社の名前で呼ぶことがあります。
非支配株主持分まで問われない問題が出る可能性もありますが、非支配株主持分が出現する仕訳の基本形を覚えておきましょう。
本当に試験に出るのは設立後の利益剰余金がある状態で買うケースだと思いますが、これについては次回お話します。
まずは会社設立の最も簡単なケースで、非支配株主持分が出現する(借方)資本金1,000 (貸方)子会社株主600 非支配株主持分400という仕訳を覚えてください。
「非支配株主持分」というのは子会社に対する親会社以外の株主の持分です。
ですから、今回はX社に対するA社以外の株主、要するにB社の持分のことです。
今回の動画でお話した内容がそのまま仕訳問題で出題される可能性があるので、連結を得意にする1つのターニングポイントとしてこの動画の内容をしっかりと記憶してください。
この動画を3回ぐらいご覧頂いて、仕訳を10回ぐらい書いて覚えてください。
これをやって頂くと、この後のご自身の学習、あるいは柴山式の簿記2級講座を受講されている方はスムーズに講義が理解できると思います。
ぜひご参考になさってください。
私はいつもあなたの日商簿記検定2級合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。
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