原価計算は、メーカーなどにおいて正確な製品原価を計算することを目的に、昭和30年代につくられたもので、半世紀経った現在まで1度も改訂されていない普遍的なものです。
簿記検定や公認会計士試験は、この原価計算基準の大元になっています。
原価計算基準のなかには原価の目的が5つありますが、実務で1番大事なことは2つです。
財務諸表とは、貸借対照表と損益計算書を考えていただければ良いです。
貸借対照表には棚卸資産という、製造業では完成した製品、未完成の仕掛品、原材料の3つの在庫を正確に計算して、これは真実の原価といいますが、貸借対照表の期末の在庫として資産評価します。
貸借対照表が棚卸資産ですが、損益計算書は売上原価です。
売上原価とは、払い出した製品の完成品の原価です。
製品の計算の1つなので、損益計算書ならば売上原価、貸借対照表ならば棚卸資産、つまり製品、仕掛品、原材料の合計4つの項目の数字を真実を歪めず正しく計算するために原価計算があります。
ただし、正確な集計であっても、時間がかかって発表が遅くなっては意味がありません。
そして、外部の株主もそうですが、管理会計ともいいますが、内部管理のための会計報告を毎月、迅速に内部の意思決定者、つまり内部の意思決定者は経営者で、外部の意思決定者は株主で、外部報告は貸借対照表と損益計算書、棚卸資産や売上原価で、株主や銀行など外部の人に対する意思決定情報としての外部会計の財務諸表です。
外に向けては財務諸表の作成が第1の目的ですが、会社内部の意思決定、つまり経営管理者の意思決定に役立つ情報を提供することが第2の目的です。
内部の経営者の意思決定のために報告することを管理会計といいます。
管理会計と財務会計はよく聞くと思いますが、財務会計は外部の株主などに発表するための正確な原価の計算です。
しかし、内部の経営者は、実は、正確な計算はある程度大まかでもよくて、あるべき数字を早く出すという迅速性が大事になってきます。
最近の財務会計は四半期報告といって、3ヶ月に1度決算報告をするように、迅速な会計情報というのも大事になっていますが、さらに計算の迅速さが大事になってくるのは経営者に報告する内部会計です。
内部会計は、管理のための会計ということで管理会計といいます。
計算の迅速性という価値観が大きくクローズアップされるのが、原価計算の第2の目的、原価管理目的です。
2級の勉強をしている方は、原価管理目的が出てきて悩むことが多いと思いますが、標準原価計算というのは、原価管理目的の計算の迅速性というところで非常に重視されています。
その他に、実際原価計算という実際にかかった金額を集計するやり方もあります。
これに関しては、予定原価、予定価格、予定配賦率、予定計算というものがありますが、計算の迅速性を少し意識しています。
今の話の後半は2級を勉強していないと厳しいところもありますが、原価管理は集計のスピード化、ある程度細かいところは無視して、多少の誤差は出てもいいから早く情報を出すことが原価管理目的の1つのポイントです。
誤差をどうするかについては、2級で原価差異を勉強してください。
今の私の話がだいたい9割わかったという方は、2級の工業簿記の勉強がかなり進んでいます。
後半部分がまったくわからなくても構いません。
覚えていただきたいのは原価計算の2つの目的、1つは外部報告のための財務諸表の作成、正確な棚卸資産と売上原価、2つ目は会社の内部の報告、内部管理会計、経営者に報告する迅速な意思決定のための原価管理目的。
計算の迅速性が非常に大事になってきます。
1本、筋が通りますよ。
日々の工業簿記の勉強のときに、原価計算の目的を意識して第1の目的、第2の目的、今はどちらを重視しているのかということを考えると理解が深まると思います。
2級の工業簿記の勉強はとても実務に役立ちます。
ぜひ自信をもって頑張ってください。
私はいつもあなたの2級合格を心から応援しています。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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